工藤弘子 句集「若菜摘」
上州の歴史の深さと長さーそれを弘子さんはゆったりと、それでいてしかっりとつかまえている。妙な力みを持たない人だからだと思う。
<加古宗也・(序文)帯文より>
加古宗也抽出12句
毛糸編む男の夢の端にゐて
手足凍てきし重監房の跡地
冬あたたか盲導鈴は語るごと
神還る毛野に五つの活火山
友の輪へ行つたきりなり卒業子
逢へば子のふと眩しくて春の雪
断乳の胸熱からむ夜の濯ぎ
初厨ふたりの嫁に挟まりて
浅間嶺の風の色被て凍豆腐
嬬恋の星をいただき芋煮会
湯の街や夜霧の底に硫黄臭
道広く掃いて煤の日終りけり