若竹ウェブ句会 選句報告

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2024年 第43回(1月)~第54回(12月)
2023年 第31回(1月)~第42回(12月)
2022年 第19回(1月)~第30回(12月)
2021年 第7回(1月)~第18回(12月)
2020年 第1回(7月)~第6回(12月

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〈初めて投句される方へ〉
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第71回ウェブ句会(2026年5月募集)

☆作者名は( )内に記述。
8点句 石垣の残る山城余花の雨(荒 一葉)
特選 八千代(コメントなし)
入選 しっとりとした風情がいいですね。神島六男
入選 ひっそりとした山城の佇まいがよくでてます。良仙
入選 光雲2・一徳斎・龍野ひろし・おさむ・雅風

6点句 水の香や暮色まとへる初蛍(みさゑ)
特選 「水の香」という嗅覚から入り、「暮色」という視覚的な奥行きへとつなげる構成が優雅。荒 一葉
特選 光雲2(コメントなし)
入選 暮色に痺れました。アイビー
入選 雅風・立野音思・順一

6点句 葉桜の揺れて濃淡風の詩(良仙)
特選 かめしち(コメントなし)
入選 「風の詩」というのがユニークな表現。アイビー
入選 光雲2・みな子・おさむ・彰

6点句 偉そうに葉に鎮座する雨蛙(捨吉)
特選 修懿(コメントなし)
入選 確かに小さいのに偉そう。神島六男
入選 てふてふ・雅風・かめしち・ケン

5点句 をんな見る女のまなこ蛇苺(荒 一葉)
特選 捨吉(コメントなし)
入選 をんなが何か特別な気を発しているんでしょうか。神島六男
入選 光雲2・てふてふ・順一

4点句 若葉風ひとり遊びの女の子(龍野ひろし)
特選 「ままごと遊び」でもしているのかな。垣内孝雄
特選 今時少ないのか、普通でないことへ目を向け称揚。彰
特選 何をして遊んでいるのでしょうか。初夏のさわやかさが出てます。良仙
入選 ケン

4点句 初節句祖父の見立ての武者人形(神島六男)
特選 きっと元気のあふれる人形なのでしょうね。立野音思
入選 一徳斎・雄一郎・雅風

4点句 静もれる光の渦や柿若葉(みさゑ)
入選 17音がそつなく醸し出している。垣内孝雄
入選 「光の渦」の表現が、柿若葉のみずみずしさをより一層強く表現されていると思いました。佳楓
入選 静もれる光の渦とはちょっと不思議な表現ですね。良仙
入選 かめしち

4点句 春昼や磨り心地よき京の墨(一徳斎)
入選 京都は、墨の名産地と聞いております。さぞかし、素晴らしい作品が出来上がりました事でしょうね。「春昼」の季語が、書を仕上げる幾つかの条件の一つに合った事と思います。佳楓
入選 帰心・みな子・立野音思

4点句 初夏や農家の宿のピザかまど(一徳斎)
入選 農家の宿にピザかまどとは変わって取り合わせですね。良仙
入選 雄一郎・みな子・おさむ

3点句 さあ朝だパパママ起きてよ子供の日(良仙)
特選 子どもの元気さに比べ、大人はうんざり顔。アイビー
入選 修懿・八千代

3点句 退院の車にうな重匂ひ立つ(雄一郎)
入選 退院の鰻重の味は格別でしょう。垣内孝雄
入選 待ちに待った退院、病院食はどうも…好物のうなぎを用意してお祝いですね、おめでとうございます。みさゑ
入選 瞳人

3点句 母の日や居間にはにかむ鉛筆画(八千代)
特選 我が家にも母の肖像画が。雄一郎
入選 瞳人・帰心

3点句 母の日や嘆く八十路の親不孝(かめしち)
特選 この年にやっと気が付く、なんとやらですね。瞳人
入選 雄一郎・捨吉

3点句 空豆を六四に分け夫婦酒(帰心)
入選 「空豆」美味しいですよね。垣内孝雄
入選 瞳人・捨吉

3点句 ひなげしや気づけばみんな笑つてる(てふてふ)
入選 すーちゃん・珉汰・かめしち

3点句 昭和の日振り子時計に耳澄まし(修懿)
入選 昭和の一場面を観るような‥。百代
入選 てふてふ・かめしち

3点句 目まとひにもてあそばるる余生かな(佳楓)
特選 上五中七から、目の病(飛蚊症、白内障、緑内障)も想起される。「もてあそばるる」が切ない。帰心
特選 ケン(コメントなし)
入選 得も言われぬ可笑しみがある。アイビー

3点句 田植機を補ふ妻の手植えかな(荒 一葉)
特選 農家さんのご苦労、細かいところは矢張り手植えになるんですよね。みさゑ
入選 帰心・百代

3点句 伝法で男勝りで蛇ぎらひ(アイビー)
特選 威勢のいい、それでいてちょっと可愛らしい女性像が見えてきました。すーちゃん
入選 ユーモラスな句ですね。リズミカルですね。良仙
入選 百代

2点句 マネキンの腕まづ外し更衣(龍野ひろし)
入選 視点が面白い。荒 一葉
入選 一瞬を捉えて鮮やか。百代

2点句 尼寺の穢れ知らざる白牡丹(雅風)
入選 白牡丹と尼寺とてもお似合いです。みさゑ
入選 光雲2

2点句 さんざめく若葉を抜けてコンビニへ(八千代)
特選 若葉を抜けて歩いてコンビニに出かける爽快感。五月らしい。みな子
入選 すーちゃん

2点句 春愁や膝抱く胸に鐘の音(立野音思)
入選 一徳斎・捨吉

2点句 花あやめ滅紫(けしむらさき)の帯解く(光雲2)
入選 立野音思・八千代

2点句 骨無しに種なし買うて春行けり(すーちゃん)
特選 食べ易さに反して春を惜しむ気持ちが湧き起こったのかもしれません。順一
入選 修懿

2点句 鳥の恋ひかり零るる阿弥陀堂(立野音思)
入選 おさむ・八千代

2点句 風光る鳶の描く弧の晴ればれと(みさゑ)
入選 捨吉・立野音思

2点句 ジャムパンに似た雲流れ五月晴れ(捨吉)
入選 彰・順一

2点句 仏和辞典の下線は緑風薫る(帰心)
入選 龍野ひろし・てふてふ

2点句 缶ビール八十路の喉を無事通過(かめしち)
入選 八十路ともなりますと、食べ物がいろいろと喉に支えて、水でさえ噎せる事が度々です。大好きなビールが、無事に喉を通過して、細りゆく枯れてゆく喉を潤してくれて、何よりでしたね~。佳楓
入選 一徳斎

2点句 ほとばしる駝鳥のいばり夏来る(良仙)
入選 このうまさ、いつまでも。瞳人
入選 季語「夏来る」と、駝鳥が盛大にゆばりをするのとよく合っている。アイビー

1点句 鯉幟子ら笑う日々いつまでも(修懿)
入選 龍野ひろし

1点句 麦の秋たれもゐぬ道風通ふ(彰)
入選 一面の麦畑が思い浮かぶ。垣内孝雄

1点句 山暗く星なき八十八夜寒(修懿)
特選 ぞくっと来る寒さですね。百代

1点句 夏めきて食道切除の浮世かな(ケン)
入選 ビールや氷水の美味しい夏が来ると言うのに、作者は食道を切除されたのですね~。何とも、悔しい限りですね。しかし、現在の医学の進歩を信じて、気長に養生なさって下さいませ。失礼がありましたらお許しを。佳楓

1点句 蒼天に鴎際立ち夏に入る(捨吉)
入選 鴎の白と夏空の青の対比が見事です。神島六男

1点句 ぼうたんやせなに彫るには未熟者(てふてふ)
入選 順一

1点句 建売の幟はためく若葉晴(雅風)
特選 景が見える。若葉晴がこの建売住宅がある場所も暗示している。珉汰

1点句 繰り返しくりかへし見き樟若葉(彰)
入選 八千代

1点句 水張って風真っ平佐久平(佳楓)
入選 みな子

1点句 薫風や銀のスプーンのクロスして(珉汰)
入選 すーちゃん

1点句 封緘の花びら剥がす夜半の春(すーちゃん)
特選 花びらの封緘に春を感じる。龍野ひろし

1点句 島んちゅのおじいおばあの日焼顔(神島六男)
入選 修懿

1点句 鶯や雲のゆききを聴くごとし(立野音思)
入選 彰

1点句 露座仏も気持ち良さげな翠雨かな(百代)
特選 いい句材と思います。下五翠雨の響きが良いですね。一徳斎

1点句 池の石の上の四匹亀の鳴く(みな子)
入選 すーちゃん

1点句 薔薇園やメイド服にて撮り合へり(雄一郎)
入選 帰心

1点句 聖五月艶髪なびく女子高生(龍野ひろし)
特選 神島六男(コメントなし)

1点句 十五日テレビ桟敷の五月場所(かめしち)
特選 雅風(コメントなし)

1点句 子供の日家族揃ふファミレスに(垣内孝雄)
入選 修懿

1点句 郷愁にも似てメーデーを懐かしむ(アイビー)
入選 彰

1点句 若夏の花屋の彩を買ひにけり(佳楓)
入選 龍野ひろし

1点句 目えつむり虎造とくむ新茶かな(瞳人)
特選 「目をつむり」ではなくて、「目えつむり」と表現したところに、何となく渋い、浪曲の世界へと、引き込まれて行く感じがしました。新茶が一層景を深くしましたね~。佳楓

1点句 ばくばくと鰹のたたき食ふ五歳(神島六男)
入選 ケン

< 俳句気まぐれエッセイ62 ピアス〉       今泉 かの子
ピアスを開けたのは、還暦を過ぎてしばらくしてから。干支は六十年で一巡する。いろいろなことは時効となり、ここからまた新たな人生がスタートとなる。と割と素直に受けとめて、気になっていたことを思いきってやることにした。その手始めがピアス。耳たぶに小さく光るピアスは、かねてより好きな装身具の一つだった。
指輪せぬ指でここまで蝶の昼            かの子
とりあえず、「身体髪膚(しんたいはっぷ)、之を父母に受く。あえて毀傷(きしょう)せざるは、孝の始めなり。」なので、母に耳に穴を開けてよいか、お伺いをたてた。すでに八十を過ぎていた母は、したいならすればいいと応えてくれたものの、「わたしゃ、やだよぉ。」と怖そうに言った。
そのピアスもつけ外しが面倒になり、つけないまましばらく間が空いてしまった。久々につけようとしたら、うまくいかない。どうも穴が塞がってしまっているらしい。しかも片方だけ。後で聞けば、よくあることだそう。仕方がないので、医者に行き、再度開けてもらった。が、左右の位置が微妙にずれている。医者いわく、同じ所に穴は開けられない、気にすることはない。確かに気になるのは、私だけ。他の人は気にも留めないことだった。
また、ピアスを失くすこともよくあること。初めは、留め具も特別注文したほど大事にしていたが、ある時、入れた筈のバッグの中に無い。霊験あらたかな何とかいう山の祠に、油揚げをもってお詣りに行ったが、出てこなかった。外した時に、何気なくティッシュにくるんでバッグにしまった。これがあだとなり、たぶんゴミと思って捨ててしまったのだと思う。
万緑やひかり遮る塵の世を          かの子
以来、今のピアスはつけたままにしている。が、やはり落とすのだ。あきらめていたら、翌朝、風呂場の洗い場の隅で光を放っていた。また、ある時は、なんと浴槽の真ん中で燦然と残っていてくれた。排水の流れの勢いに耐えて。さすが、かけらといえども本物のダイヤ。そして今回―。いつどこで失くしたのか、皆目見当がつかない。二階から庭まで捜索したが無い。今までこのピアスだけは必ず出てきてくれたのに、ついに運に見放されたような気になった。ところが、思いもよらない所から出てきた。何週間も前に、たった数日滞在した山の家で見つかったのだ。いつもゴールデンウイークは山の家で、愛知県下の小中高の学校へ向けて発送する「夏季俳句指導講座」の封入作業をしている。約千七百通に及ぶ封書を扱ううちに、何のはずみか落ちたのだろう。
以前、人とのつながりの不思議に「えにし」というものを感じることはあったが、モノについてもそう思わざるを得ない。
卯の花曇かけらにおはす付喪神         かの子

 



第70回ウェブ句会(2026年4月募集)

☆作者名は( )内に記述。
12点句 見えぬ風見せて城址の桜かな(荒 一葉)
特選 桜を揺らす風を風が見えると表現。龍野ひろし
特選 城郭の無い城跡に桜が舞って風の道。目に浮かびます。百代
特選 具体的な風景を詠まなくても「みせて」の一言で城址のイメージがひろがり凄いと思いました。八千代
特選 立野音思(コメントなし)
特選 光雲2(コメントなし)
入選 「見えぬ風」とは何でしょうかね~。城址と言うからには、様々な事が思われます。奥の深いお句と思いました。佳楓
入選 飛花落花でしょうか。順一
入選 みさゑ・捨吉・雅風・てふてふ・彰

6点句 リハビリの試歩の廊下や春日影(雅風)
入選 手術後に初めて歩く時の、怖さ、不安を季語「春日影」が優しく励ましてくれている景が目に浮かびました。頑張って下さいね。佳楓
入選 立野音思・てふてふ・一徳斎・帰心・ 雄一郎

6点句 鳴き交はすうぐひす森を膨らませ(光雲2)
特選 かめしち(コメントなし)
入選 鶯の鳴き声という聴覚的感覚を「森が膨らむ」という視覚的かつ触覚的なイメージに変換した点が手柄。荒 一葉
入選 すーちゃん・みさゑ・百代・雅風

6点句 躓きてふと知る老いや養花天(荒 一葉)
特選 ほんとに、老いを知らせる、この躓き!よ。瞳人
特選 本当にそうですね。まだまだと思っていても、何でもないところで躓いてしまいます。季語「養花天」が余生を明るく、前向きにしてくれました。佳楓
入選 同感です。老いはまず足から、用心用心です。八千代
入選 まさにその通りですね。良仙
入選 光雲2・一徳斎

5点句 悼・黒田杏子 おかつぱともんぺ姿の花遍路(垣内孝雄)
特選 亡き黒田杏子先生、ありありと目に浮かぶようだ。アイビー
特選 お姿が目に浮かぶようです。神島六男
特選  偲ばれますね。順一
入選 帰心・おさむ

5点句 何事も無かったように花は葉に(百代)
特選 捨吉(コメントなし)
入選 葉桜の力強さを感じます。神島六男
入選 「何事も無かったやうに」上手く表現されましたですよね。佳楓
入選 みさゑ・修懿

4点句 夜桜や次はお前が奢る番(てふてふ)
入選 次が有ってほしいです。雄一郎
入選 きっぱりとした言い方に夜桜が映えます。順一
入選 帰心・かめしち

4点句 担任の美はしき板書や入学す(帰心)
特選 字が綺麗ですと人柄まで窺がえそうで…女教師を思い浮かべました。みさゑ
入選 これからの学校生活の期待感が感じらレます。良仙
入選 てふてふ・おさむ

4点句 伊吹山笑ふや湖国の水奔る(佳楓)
入選 「山笑う」は、こういう風に使うとよい。お手本みたいな句。アイビー
入選 立野音思・すーちゃん・みさゑ

3点句 行き場なき芥押しやる春の潮(アイビー)
入選 雅風・一徳斎・帰心

3点句 さえずりの昨日(きんの)と違う屋根の鳥(彰)
特選 我が家にも毎日交代で来てます。雄一郎
入選 さえずりを昨日と違うと感じる作者の心の弾みが伝わります。八千代
入選 みな子

3点句 ちっぽけな願い事あり花手折る(良仙)
入選 帰心・修懿・捨吉

3点句 雲流る白詰草に寝そべれば(龍野ひろし)
特選 草に寝そべって、何年前のことかなぁ・・。彰
入選 地面と空の白が響きあっていますね。神島六男
入選 俳味があると思いました。順一

3点句 ふんはりと風に広がる春ショール(龍野ひろし)
特選 雅風(コメントなし)
入選 「上五」に惹かれる。垣内孝雄
入選 立野音思

3点句 リモコンがカバンの底に万愚節(すーちゃん)
入選 とぼけた味わいが万愚節にあっている。アイビー
入選 テレビを見ていたリモコンをうっかりカバンに。龍野ひろし
入選 うっかりですね。順一

3点句 朧夜やだらり帯ゆく先斗町(雅風)
入選 舞妓さんが行く先斗町 朧夜がぴったり。龍野ひろし
入選 まさしく京の「景」ですね。垣内孝雄
入選 光雲2

3点句 故郷は疎遠となりしよもぎ餅(かめしち)
入選 おじ、おばはすでに無く、いとこには慶弔の知らせはしないことに。故郷は浜のさざ波。彰
入選 すーちゃん・百代

2点句 蝌蚪の紐ほどき淡海の風変ふる(佳楓)
特選 琵琶湖の景として読める。全体として景が大きい。蝌蚪の紐と淡海の風の対比が響き合っている。上手い。珉汰
入選 光雲2

2点句 幼な日の淡き初恋桜草(龍野ひろし)
特選 誰しも覚えのある「初恋」。垣内孝雄
入選 上五中七下五すべてに郷愁を誘う言葉が並んでいますね。神島六男

2点句 お地蔵の金襴緞子春闌けて(すーちゃん)
入選 普通は赤い前掛けだがこの地蔵は豪華な衣装 大事にされているのだろう。龍野ひろし
入選 景は明確。珉汰

2点句 人と人並ぶ自転車初桜(藤川雅子)
入選 若干のモタモタはあるが、景として伝わる。下五「飛花落花」だと動きが見えてこないだろうか。珉汰
入選 てふてふ

2点句 石段に眠る猫の背花散るや(捨吉)
入選 みな子・かめしち

2点句 老桜なぜに散り急く有馬寺(瞳人)
入選 神戸の有馬にあるお寺でしょうか。神島六男
入選 光雲2

2点句 花吹雪縦列歩行の少年団(良仙)
入選 捨吉・彰

2点句 日の濃さを撥ね返す三椏の花(みさゑ)
特選 春の光の密度と、輝く花の一瞬を「撥ね返す」と捉え、躍動感ある句になった。荒 一葉
入選・アイビー

2点句 坂の上脇侍桜の地蔵さま(捨吉)
入選 百代・みな子

2点句 入学を報告の子の声太し(八千代)
特選 「声太し」の措辞から、一歩大人へと成長した子の頼もしさが伝わってくる。帰心
入選 百代

2点句 蛤つゆの溶かし呉れけり鬱一つ(瞳人)
特選 食べ物は偉大だ。みな子
入選 すーちゃん

2点句 過ぎ行くは昭和の記憶春の夕(瞳人)
特選 しみじみと老いを感じる日々。昔日の思いが伝わります。一徳斎
入選 修懿

2点句 そばにいて言えぬひとこと月淡し(修懿)
入選 「そばにいて」という近さと、「言えぬ」という心理的遠さの対比が面白い。季語は検討の余地ありか?荒 一葉
入選 彰

2点句 チョーク箱かたかた鳴らし新教師(帰心)
入選 新学期、緊張するのは子どもだけではないようです。新任の教師にとっても新しいステージの始まり。その緊張感が伝わります。八千代
入選 緊張している新教師。上五下五を入れ替えても句意は通じるだろう。珉汰

2点句 白黒がカラーに変わる春野かな(捨吉)
入選 白黒とカラーの対比の表現が良く表現されていると思いました。佳楓
入選 修懿

1点句 里桜恩師句碑より芭蕉句碑(垣内孝雄)
特選 身近なところに咲く里桜の存在感と恩師への敬愛の念が、響き合っている。恩師の句碑から歴史を遡っての芭蕉句碑が、さらに時空を超えた距離感を感じさせ、季語が揺るがない。すーちゃん

1点句 春泥に付与する靴の形かな(順一)
入選 みな子

1点句 鶯の初音に寄せしティーショット(おさむ)
入選 ゴルフの句は珍しい、ただ初音は鶯に決まってるのだが…。アイビー

1点句 制服を着ても帰れぬ花冷えや(修懿)
入選 面白い構成。「着ても帰れぬ」に少々のアイロニー。「花冷えや」の位置を揚句でどう解釈するか。珉汰

1点句 父母と祖父の墓石や菜種梅雨(垣内孝雄)
入選 遠くの遠くから、手を合はせけり。瞳人

1点句 ギア落とすグイと踏み込む風光る(神島六男)
入選 かめしち

1点句 ホスピスに向かふ車窓や飛花落花(珉汰)
入選 ご自身のことか、あるいは誰かを見舞う為なのか、どちらにしても心穏やかではない状況かなと。季語に胸が熱くなりました。八千代

1点句 穏やかな村は栄えよ山笑ふ(かめしち)
入選 穏やかなることの、いかに尊きことよ。瞳人

1点句 売家の札の揺れをり春の月(珉汰)
入選 立野音思

1点句 菜の花の残像にじむ伊良湖岬(光雲2)
入選 一徳斎

1点句 二匙の九重味醂蕗の味噌(帰心)
入選 捨吉

1点句 愛犬もカメラ目線や花の山(アイビー)
入選 かめしち

1点句 四月馬鹿騙すつもりが騙されて(雅風)
入選 おさむ

1点句 湧水の砂躍らせて夏模様(一徳斎)
入選 砂躍らせての表現がいいですね。良仙

1点句 花冷ゆるガン病棟の談話室(佳楓)
入選 ガン治療も進歩している昨今。垣内孝雄

1点句 あら可愛いアイスクリームの売り子さん(神島六男)
入選 楽しくなる句。垣内孝雄

1点句 早食いを競う姉妹や桜餅(かめしち)
入選 おさむ

< 俳句気まぐれエッセイ61 桃源郷且つ阿鼻叫喚〉 今泉 かの子
何とかなる、そうは思っていたが、無事に四月を迎えることができた。同居することになった二人の孫の保育園入園が決まって。いろいろな紆余曲折を経て。
思えば、三月は「果報は寝て待て」の月であった。娘の赴任が決まったのは、新年度入園の一次募集終了後。役所からは、この辺りは激戦区で二人一緒は難しいという話だった。入園希望の願書を提出しただけで、当然ではあるが、こちらからは何の手だても講じられない。拙宅の前に保育園はあっても、横目で見るだけ。とりあえず上の孫だけでも入園できる私立園を決め、制服の採寸から、指定のバッグ、靴等を購入。娘は、前後に子どもを乗せる電動自転車も購入した。慣らし保育が始まった五日目の午後、役所から姉妹そろって入園できる認可保育園があるとの知らせが入った。しかも徒歩でも通園可能な距離。有り難い知らせではあるが、時の流れを呪いたくなる。家族で話し合って結局、通園の便を考え認可園に決めた。
しかしながら、昨今の世情に疎い祖母は、三月に退園(しかも通園は五日間だけ)しても、四月五月分の保育料の支払義務があると聞いたときには、詐欺かと思ってしまった。どうもそれは明記されていたらしい。さらに驚いたのは、制服の白い小さな綿ブラウスが、万を超える値段と聞いた時だった。なにゆえ?デザイン料にしてもと、いぶかしく思ったが、なんせ当事者ではないので、そこはスルーして。とまあ、いろいろあるにはあるが、右往左往して四月はスタートした。
春の窓開けてはじまるあかさたな         かの子
幼児も入れての五人分の夕食は、食べやすさも大事な条件。元々、大食いの家なので、毎夕のごはんは四合か五合、パンも肉もあっという間になくなる。食品の新陳代謝は抜群によくなり、調味料も大びんに代えた。
事程左様に、老夫婦二人の静かさは一変した。絵本に食器、テレビ番組等々、孫中心の生活である。元気で機嫌よく居てくれるのが何よりの祖父母孝行。朝から泣き声や叫び声が響き渡る日もある。原因は、ないものねだりや他愛もないこと。が、姉妹そろってのわめき声は、金切り声の応酬となり、凄まじい。忽ちに我が家は阿鼻叫喚の場と化してしまう。
しかしその一方、「おはよう」と笑顔でこちらへ突進してくるときは、桃源郷の朝となるのである。「じいじ、私もあーんして!」なんぞともてはやされれば、夫は至極ご満悦の体となり、「グランマ(グランドマザーの略)のお料理、サイコ~」とほめそやされれば、私もうれしさ満杯の笑顔となる。「おいしいね。」「おいしいね。」とうなずき合って食べる食卓は、もうシャングリラの感である。
四才の孫に「いいのかな。そんなことをしていたら、お姫様にはなれないよ」といえば、たちどころに優しい声になるし、無茶している手をとめる。「お姫様になれない」は、今のところ通用しているが、いつか有効期限の切れるときがくるのだろう。
今は、否まだ当分、桃源郷と阿鼻叫喚、綯い交ぜの暮らしが続きそうである。
地団太を踏む子に聞く児春行けり         かの子



第69回ウェブ句会(2026年3月募集)

☆作者名は( )内に記述。
8点 クロッカス母を諫めし夜の悔い(荒 一葉)
特選 わかっていてもつい言葉を荒げて言ってしまう。そのやり切れなさが胸に沁みました。八千代
入選 「中七」に惹かれる。垣内孝雄
入選 百代・光雲2・捨吉・すーちゃん・彰・珉汰

7点 海見ゆる無人改札春寒し(藤川雅子)
入選 江ノ電のとある駅の風情ですね。垣内孝雄
入選 一徳斎・てふてふ・雅風・彰・珉汰・立野音思

6点 あれこれで通ずる会話春うらら(良仙)
特選 体験的な共感。下五「日向ぼこ」も考えられるだろう。珉汰
特選 穏やかで優しい時間が浮かびました。わかまる
特選 まさに、その通りですよね。「春うらら」の季語が優しくて良かったです。会話も弾みそうですね。佳楓
入選 類句がありそう。句の形、内容ともに並。荒 一葉
入選 てふてふ・捨吉

6点 風のように生きたき余生山笑ふ(良仙)
特選 そんな風に、生きてみたいものです。捨吉
入選 共感します。神島六男
入選 まさにその通りですよね。余生を風のようにきままに、過ごせたら、どんなにかいいでしょうね。佳楓
入選 すーちゃん・立野音思・かめしち

5点 春兆す臥竜の松の荒肌に(みさゑ)
特選 「春兆す」と「荒肌」の取り合わせが絶妙。「無骨なものにも春はやってくる」というメッセージが温かい。帰心
入選 おもむき深いものを見てしまったようです。順一
入選 百代・おさむ・八千代

4点 夜さり雨の雫を宿す猫柳(一徳斎)
特選 雅風(コメントなし)
入選 すーちゃん・おさむ・捨吉

4点 啓蟄や子にうつすらと髭の影(荒 一葉)
入選 子供が大人になったと思う瞬間。神島六男
入選 啓蟄と、少年の髭が生え初めてきている様子が、良く響き合っていると思いました。佳楓
入選 おさむ・八千代

3点 春塵や再開発で消えた路地(良仙)
入選 そこはかとなき味わい。垣内孝雄
入選 昔勤めていた八重洲が正にそれでした。神島六男
入選 珉汰

3点 青空を侵さんとするミモザかな(てふてふ)
入選 侵すほどの勢いのあるミモザに、春への期待が膨らみます。わかまる
入選 ミモザの企みが印象的でした。順一
入選 おさむ

3点 金釘の寄せ書き熱し卒業生(みさゑ)
入選 50年後にみてみれば。瞳人
入選 一徳斎・立野音思

3点 今年また妻と飾りぬ古雛(垣内孝雄)
特選 立野音思(コメントなし)
特選 かめしち(コメントなし)
入選 老夫婦、それでよか。瞳人

3点 ハンケチを拾つてくれた人が妻(神島六男)
特選 ハンカチをハンケチと表現することで、長い時間を共に過ごしてきた老齢の夫婦であると4文字で表現したのが秀逸だと思いました。修懿
特選 あれから、いろいろありにけり。瞳人
入選 みな子

2点 幼児らも千年を知る雛祭り(山田渡海)
入選 てふてふ・帰心

2点 水草生ふ生ふて流れに逆らはず(龍野ひろし)
入選 雅風・彰

2点 涅槃図の絵解きにはまる信徒かな(雅風)
特選 光雲2(コメントなし)
入選 帰心

2点 青空や絵馬をみてゐる受験生(立野音思)
特選 合格祈願の「絵馬」、希望が叶いますように。垣内孝雄
入選 かめしち

2点 荷台から溢(あふ)るキャベツや山笑う(わかまる)
入選 農家の人びとの苦労の成果を良く表現されていると思いました。キャベツでも、白菜でも、何でも出来すぎても困るそうですね。農家の方々の苦労が忍ばれました。佳楓
入選 一徳斎

2点 諍へる後の苦さや春寒し(八千代)
入選 そうですよね。何ごとも人とあらそった後は何となく気持ちの悪いものですね。春寒しの季語が良く生きていると思いました。佳楓
入選 百代

2点 風ひかる五色の幕のはためきて(立野音思)
入選 幕を見詰めてしまったのかもしれません。順一
入選 みな子

2点 指切りの時効消滅ちり椿(光雲2)
入選 切なさの伝わってくる句だと思いました。修懿
入選 雅風

2点 たんぽぽの絮髭に猫もどり来ぬ(雅風)
特選 たんぽぽの絮髭に、で切れて猫もどり来ぬと読みたい。たんぽぽの絮毛をつけて戻って来た猫の可愛さがよくわかる。みな子
入選 百代

1点 雛遊びあーんと口開く離乳食(荒 一葉)
入選 珉汰

1点 高枝に掛かりし凧の尾を振つて(龍野ひろし)
入選 みな子

1点 赤いべべ羽織るゑびすや山笑ふ(八千代)
入選 春ですね。垣内孝雄

1点 皺の手や春の蚊にさえ逃げられて(捨吉)
入選 「にさえ」という表現が良いなと思いました。修懿

1点 なんとまあ桃色椿のあっけらかん(彰)
入選 あっけらかん、ということばの響きが好きです。丸く咲いた椿に、目を丸くしている様子がうかびました。わかまる

1点 鈴木姓多きわが村山笑ふ(雅風)
入選 てふてふ

1点 雪とけてひかりあふるるここかしこ(立野音思)
入選 ただごとのように、みえても、それでよし。瞳人

1点 テラス席予約してをりスイートピー(すーちゃん)
入選 帰心

1点 幼にして男女意識や雛の客(百代)
入選 雅風

1点 佐保姫の微笑み浮かぶ朝寝かな(藤川雅子)
入選 一徳斎

1点 春めく日幼なの宮は六十六歳(瞳人)
入選 捨吉

1点 春蘭の花芽無いかと葉を捌く(彰)
入選 帰心

1点 重くとも本は平熱春の風(すーちゃん)
特選 本は平熱、の視点がいいですね。神島六男

1点 永き日の独り読書のカプチーノ(珉汰)
入選 カプチーノで眠気を防いでいたのでしょう。順一

1点 年かさね夫婦円満老いの春(かめしち)
特選 ほのぼのとした仲良し老夫婦いつまでもお健やかに。一徳斎

1点 啓蟄や糞(まり)落す鳥見てしまふ(帰心)
入選 みな子

1点 卒業式悪所こはごは覗きみて(瞳人)
入選 立野音思

1点 枯山水のこりし雪の雲のごと(おさむ)
入選 光雲2

1点 若き日や逃げ水追ふが如きもの(光雲2)
入選 同感です。八千代

1点 幾代経し防塁跡の忘れ雪(一徳斎)
入選 すーちゃん

1点 病室にそれぞれの息吹春あした(一徳斎)
入選 かめしち

1点 とんかつ屋一つ閉店二月尽(みな子)
入選 百代

1点 鳥帰るそこここ病む我置き去りに(佳楓)
入選 かめしち

1点 春暁の屋台の幌のほどけをり(珉汰)
特選 これから始まる何か、そんな予感がいいと思いました。順一

1点 凸凹に膨らむ土手や地虫出づ(佳楓)
特選 立ち上がる春の訪れを感じます。百代

1点 さらさらと2B鉛筆山笑ふ(龍野ひろし)
特選 さらさらと山を詠んでくだされました。彰

1点 乾電池取り換え進む老いの春(かめしち)
入選 光雲2

1点 春泥の球児ヘッドスライディング(神島六男)
入選 彰

1点 里山に誰が降らすか柳絮舞ふ(百代)
入選 光雲2

1点 いつもより鉛筆多め大試験(帰心)
入選 緊張が伝わってきます。八千代

1点 祖母の聲聞こえるような古雛や(捨吉)
入選 代々受け継いできた雛人形でしょうか。先祖皆で春を待つような気持ちになりました。わかまる

〈俳句気まぐれエッセイ60 えにし〉      今泉 かの子
久しく会っていない奥三河在住の従妹Nちゃんから、電話があった。私の祖父である窪田五郎について話を聞きに、東京から客人が来ることになり、ついては同席してもらえないかということだった。
祖父について話せることなど特にないが、私が知っている祖父の人となりについて、ざっと。五郎はその父や祖父と同様、北設楽郡の尋常高等小学校を巡り、校長を歴任。昭和の初め、任を終えた五郎は、その日その日を気ままに暮らしていたようで、農家や指物師など様々な職業の地元民だけでなく、大学の研究者等とも親しく交流したと聞いている。特に民俗学の折口信夫や早川孝太郎、財界人の澁澤敬三とは親交が深かったらしい。今も祖父の家には、敬三氏自筆の「楽亭壁書」と題された長文の額がかかっている。また、昔は釈超空(折口信夫)自筆の〈葛の花踏みしだかれて色あたらしこの山道をゆきし人あり〉の歌が書かれた和紙もあった。
さてさて、三月のある日。私が名古屋から駆けつけたときには、すでに、客人二人がおいでになっていた。奥三河郷土館(道の駅したら)の館長さんが橋渡し役となり、関東の大学で民俗学を研究している先生をお連れしたということだった。
先生によると、澁澤敬三の足跡をたどり、北設楽郡の津具、名倉等の地域の各点を調べていくと、その点がつながる中心に窪田五郎という人物に行き当たる。そこで今回の来訪となった、という話だった。実際に足を運んでゆかりの家で話を聞く、現場主義ということなのだろう。刈谷の重原藩から飛び地である田口へ出役した説明に納得されたり、私が持参した資料を写真に収めたり。
また、先生のご出身が群馬と聞いて、思わず「村上鬼城」の名前を出したところ、その方面はとんと疎くて…と、いたく恐縮されてしまった。が、そのおかげか?話がはずみ、この家は千客万来の家という話題になった。多くの来客の中に、佐々木味津三(『旗本退屈男』『右門捕物帳』の作者)や、今泉浦治郎の名前も出た。この浦治郎は、日本で初めてサイラスマーナー(英国の小説)の翻訳や北設楽郡歌等の作詞も手がけた国文学者。私の夫の縁戚関係にあたる人である。      かつて、五郎と浦治郎が親しく行き来し、書院造のこの部屋で語らうこともあったのだ。彼らがどんな話をしたのか想像もできないが、私の祖父と夫の親戚がはるか昔にすでに出会い、交流していた奇遇に驚く。この不思議な縁を思う。
帰られた後、名刺の住所を見たら、なんと群馬の今泉町!
何だか、おもしろい一日となった。
ままごとの土筆うけとる書院窓          かの子



第68回ウェブ句会(2026年2月募集)

☆作者名は( )内に記述。
6点句 折り鶴の腹に仕上げの春息吹(良仙)
特選 きちんと綺麗に折り上げた鶴、最後に春の息吹を吹き込みます。この地球上に戦無き世を願う息を精一杯吹き込みます。佳楓
特選 龍野ひろし(コメントなし)
特選 雅風(コメントなし)
入選 春の気分を込めてふっ。神島六男
入選 満願を願っての千羽鶴を想像しました。八千代
入選 おさむ

5点句 豆撒きや物理で学ぶ放物線(てふてふ)
入選 受験生ですかね。何でも勉強に見えてしまう。神島六男
入選 おさむ・龍野ひろし・珉汰・順一

5点句 札所への百の石段春寒し(雅風)
特選 お遍路さんを想う。垣内孝雄
特選 中七と季語の組み合わせが良いと思います。一徳斎
入選 八千代・立野音思・みさゑ

5点句 駐車場いつ出せるやら猫の恋(神島六男)
入選 クラクションしたら。雄一郎
入選 てふてふ・捨吉・かめしち・順一

4点句 残雪や阿蘇やまなみの夕茜(一徳斎)
入選 「阿蘇やまなみ」とは阿蘇五岳のことでしょうね。数年前、熊本へ行った折、あの雄大な阿蘇五岳を見ました。残雪に映える阿蘇やまなみを、一度見てみたいものです。佳楓
入選 雄大な阿蘇の春の光景が広がっていますね。良仙
入選 雅風・みさゑ

4点句 鬼役は実は良い奴福は内(てふてふ)
入選 鬼役も、福役も、みんな良い人なんでしょうね。百代
入選 龍野ひろし・帰心・雅風

4点句 節分や誰に似せたか鬼の面(八千代)
特選 手作りの鬼の面。無意識のうちに いつも描いてる顔になっちゃうのかな。百代
入選 かくもありなん。垣内孝雄
入選 龍野ひろし・帰心

3点句 産小屋へ続く小道や紅椿(帰心)
入選 子牛の誕生が近いんですかね、春らしさが出てます。良仙
入選 立野音思・珉汰

3点句 草青む空家になりてはや三年(垣内孝雄)
入選 雄一郎・珉汰・彰

3点句 恵方巻ハーフサイズの福招き(百代)
特選 例えハーフサイズでも福が来ると嬉しいですね。神島六男
入選 雅風・順一

3点句 誇らしき背中の傷の通し鮎(ケン)
特選 立野音思(コメントなし)
入選 「通し鮎」初めて知りました。通常一年で寿命を迎える鮎の中で、まれに冬を越して翌年迄生き残る鮎とのこと。背中の傷が痛々しいですね。冬の季語で「止まり鮎」「越年鮎」とも呼ばれる。佳楓
入選 荒 一葉

3点句 つくつくと道にあらくさ春隣(八千代)
入選 「つくつく」に実感。百代
入選 十七音の醸し出す世界。垣内孝雄
入選 すーちゃん

3点句 あー坊と呼ぶ人絶えて春寒し(雄一郎)
特選 春寒し。寂しい気持ちが良くわかります。捨吉
入選 幼い頃からの愛称なんでしょうか。そんな愛称を知る人もいつの間にかいなくなったと言う寂しさが胸に沁みました。八千代
入選 彰

3点句 ぱんと張るデニムの腿や蓬摘む(荒 一葉)
入選 蓬摘に夢中の様子が目に見えます。春が来た喜びが伝わります。八千代
入選 ちょっと色気のある句ですね。春ですね。良仙
入選 すーちゃん

3点句 薄氷に噛まれし草の息づかひ(佳楓)
特選 薄氷にかまれしの措辞に惹かれました。八千代
特選 「噛まれし」に惹かれました。順一
入選 帰心

3点句 菰透かし紅(くれない)零す寒牡丹(光雲2)
特選 春を待ちわびる気持ちが間接的な表現で良く出ていると思います。良仙
入選 百代・立野音思

3点句 淡雪や校舎そのまま道の駅(良仙)
入選 帰心・立野音思・みさゑ

2点句 春一の洗礼受くる願ひ絵馬(雅風)
入選 光雲2・捨吉

2点句 水郷の風焦げ臭き二月かな(佳楓)
入選 光雲2・珉汰

2点句 麦を踏む別れた人の文届き(珉汰)
入選 かめしち・彰

2点句 恋の猫精一杯の甘き声(龍野ひろし)
特選 かめしち(コメントなし)
入選 そうですよね。動物も人間も、恋は命がけです。甘い声も、どすの利いた声も出すのではないでしょうか?「精一杯」が良かったですね~。佳楓

2点句 木漏れ日の障子を揺らす初音かな(荒 一葉)
入選 てふてふ・順一

2点句 梅ふふむ御礼参りの女学生(神島六男)
特選 進学先への合格のお礼参りだろう。珉汰
入選 なごやかな「景」ですね。垣内孝雄

2点句 落第を唸る寝汗や八十三つ(瞳人)
入選 進級手続き不備の夢。私も未だに飛び起きさせられます。百代
入選 捨吉

2点句 寒月や不夜城となるコンビナート(みさゑ)
特選 太古からの変わらぬ月の光と、人工的なコンビナートの明かり。その間にある人の営みを思う、冴え冴えとした月の夜。すーちゃん
入選 一徳斎

2点句 あどけなき笑顔覗かす雪割草(おさむ)
入選 光雲2・かめしち

2点句 投票日足首沈む春の雪(雄一郎)
入選 ご苦労様でした。垣内孝雄
入選 すーちゃん

1点句 冬北斗輝く野辺に耐え忍ぶ(藤川雅子)
特選 道端の荒草に芽吹きの青、気付きに共感。みさゑ

1点句 蕗味噌を小鉢にそふる小料理屋(垣内孝雄)
入選 龍野ひろし

1点句 握りしむ雪のカーブへ対向車(すーちゃん)
入選 雄一郎

1点句 午祭屋号はためく旧花街(百代)
入選 すーちゃん

1点句 少しだけ春混じるかな背中の陽(捨吉)
入選 背中に感じる暖かみに春を感じる感性が素敵です。神島六男

1点句 パステルの光を残し春夕焼(龍野ひろし)
入選 光雲2

1点句 春の野や草木ぐいと背伸びする(八千代)
入選 「ぐいと背伸びする」に春めく息吹を感じました。佳楓

1点句 春の川ダイヤのごとくひかり撥ね(龍野ひろし)
入選 おさむ

1点句 終列車ライトに滲む残る雪(一徳斎)
特選 情景がありありと浮かぶ秀句。帰心

1点句 組む梁のうねりて木霊山眠る(すーちゃん)
入選 一徳斎

1点句 春近し二代目住職の美声(神島六男)
入選 若い住職の意気込みが伝わって来るようです。良仙

1点句 豆撒きや首の軋める肩車(てふてふ)
入選 雄一郎

1点句 寄り添へば押されて泣くな春近し(藤川雅子)
入選 かめしち

1点句 白梅や寺の事情は文字に有り(順一)
入選 てふてふ

1点句 我絵を見ゴッホ我観る春の闇(捨吉)
入選 てふてふ

1点句 雪つもり空き家の多さに気づきけり(おさむ)
特選 空き家の前だけ雪が残って。雄一郎

1点句 薄氷や飛び越す空に白き雲(立野音思)
入選 捨吉

1点句 蝦蚪生まれ棚田に万の風のこゑ(佳楓)
特選 光雲2(コメントなし)

1点句 髪切って友は句会へ春立てり(帰心)
入選 清清しい句。垣内孝雄

1点句 料峭や蛇笏龍太の甲斐の国(雅風)
入選 風格が感じられる句。垣内孝雄

1点句 幻と過ごした日々や返り花(立野音思)
入選 彰

1点句 早春の霰選挙に不平降り(順一)
入選 雅風

1点句 若き人除雪車のごと開く道(おさむ)
入選 一徳斎

1点句 名知らぬ樹小さき小さき芽それも春(捨吉)
特選 そんな小さな目立たぬものを、よく認めてくだされました。私のまはりも、何もない春に見えます。彰

〈俳句気まぐれエッセイ59 談話室よりAI顛末〉 今泉 かの子
このところ、AI機能(人工知能)が凄まじい。検索すれば、なんでも簡単に教えてくれるのはもちろん、心の相談にのったり、なんなら文章も代わりに書いてくれるそうである。使ったことはないが、俳句の世界でも「AI一茶くん」が開発されて久しい。
先月(一月)の若竹ウェブ句会の最高点句は、
風の筋たぐり寄せたる絵凧かな           佳楓
であった。投句者二十七人中十人が選び、そのうちの四人が特選に選んだ。入選評には「絵凧の細い糸を手繰る景。『風の筋たぐり寄せたる』は詠み手の発見だろう。」というコメントが寄せられていた。
若竹ウェブ句会(夏雲システムを利用)は、「談話室」という意見交換できる場があるが、選句結果が発表された二十一日、ある声が届いた。「〈風の筋たぐり寄せたる絵凧かな〉この句は、高浜虚子の句集『七百五十句』に収録されています。」この投稿を見てまず思ったのは、「すごい。専門的な研究をしている人がいるんだ。」という単純な驚きだった。とりあえず、ネットでできる限り調べてみたが、該当句は見つけられなかった。
そこで一応管理者として、どのような方法で虚子の句と判明したのか、まずは確認すべきと考え、投稿者に宛ててお尋ねすることにした。実は、別の作者による〈鳶悠々糺の森の冬ぬくし〉の句についても、同じ指摘があったのだ。つまり、今月のウェブ句会の約八十句のうち二句が虚子と同じ句であるということになる。
また、違う方からは、本句はグーグル検索で句集『五百句』に収録されているとの追加報告があった。
そして、作者の佳楓さんご自身から、本句についての説明があった。三度推敲し、一度目は上五を「風の彩」つぎに「空の彩」そして最後に「風の筋」に至ったとのこと。また近くの図書館に出かけ『七百五十句』等を調べたが、同じ句は見つからず。再度図書館に出かけ、レファレンスサービスで国立国会図書館のデータベースにかけて調べてもらったが、該当なしの結果だったという。
最終的に、虚子と同一句と指摘した投稿者からは、その後一度も応答がなく、説明責任は果たされていない。これらのことを踏まえて、この句は佳楓さんのオリジナル句と考えるのが妥当なところ。よってホームページにも、本誌一月号にも掲載することにした、という次第である。
そして実は、この作者は若竹同人。しかも毎年のように若竹賞に応募され、その都度、準賞、佳作と入賞を果たしている実力者である。近年は、体調を考え句会へ出かけることもほとんどなくなったという。厳しい寒さの中、図書館へ足を運んで実際にご自分の目で確かめられた姿勢に、頭の下がる思いである。と同時に、そこには自分の作品に対する矜持があったのだとも思う。ともあれ、我々自身が、納得する一句を作っていくことに尽きるのだろう。
最後に若竹ホームページ管理人の投稿より。「AIには、ハルシネーション(幻覚、誤作動)という現象があり、実際には存在しない、あるいは間違った情報を生成してしまうことがあります。(中略)AIの利用にはご注意ください。AIが嘘をつくという所以です。」
ころがしてうらなふ鉛筆春炬燵         かの子



第67回ウェブ句会(2026年1月募集)

☆作者名は( )内に記述。
10点句 風の筋たぐり寄せたる絵凧かな(佳楓)
特選 言いえて妙。龍野ひろし
特選 グイと糸を引く力強さを思いました。八千代
特選 ケン(コメントなし)
特選 立野音思(コメントなし)
入選 正月の光景が良く出てますね。良仙
入選 「風の筋」の発見が手柄。荒 一葉
入選 絵凧の細い糸を手繰る景。「風の筋たぐり寄せたる」は詠み手の発見だろう。珉汰
入選 すーちゃん・Senyu・みな子

5点句 寄り添へば言葉は無用寒雀(荒 一葉)
入選 確かに。龍野ひろし
入選 老夫婦が縁側で片寄せあって日向ぼっこでもしているのでしょうか。良仙
入選 光雲2・帰心・ケン

5点句 暮れ残る空へ溶け込み冬桜(みさゑ)
特選 澄んだ空の色と冬桜の淡い色が溶け合っています。梦月
入選 光雲2・立野音思・彰・みな子

5点句 一言でその場を収めちやんちやんこ(アイビー)
特選 ちやんちやんこがよく効いていますね。Senyu
特選 説得力のある言葉だったのでしょう。巧みに下五の季語「ちやんちやんこ」に着地しました。順一
入選 年長者の貫禄ですね。八千代
入選 そうです、そうですよね。何かと揉め事が発生したとき、その場を上手く収める長老が一人は見えますよね。日常の生活の中の一コマを上手く詠まれたと思いました。佳楓
入選 捨吉

4点句 六花外湯巡りの下駄の音(神島六男)
入選 雪が散らつく温泉郷の景が五感に丸ごと迫ります。百代
入選 うつらうつらしていたのかもしれません。順一
入選 立野音思・捨吉

4点句 退院の夢は女房と初詣(ケン)
入選 睦まじいご夫婦ですね。垣内孝雄
入選 もうすぐ、です。瞳人
入選 入院されておられるのですね~。早く退院されて、お世話をお掛けした奥様と仲良く初詣されますことをお祈りしております。佳楓
入選 帰心

4点句 木枯しや海鳴る町の赤電話(立野音思)
特選 「海鳴る町の赤電話」という表現がいいですね。鄙びた海沿いの町の光景が赤電話と季語で良く出てます。良仙
特選 山口誓子の例の句を踏まえた句だろう。赤電話に特攻で亡くなった青年からの着信音、それが海鳴るだろう。心象句でもある。珉汰
特選 光雲2(コメントなし)
入選 ぽつんと赤電話。龍野ひろし

4点句 初ごよみ通院予定を三つ書く(おさむ)
入選 今年も「健康第一」。垣内孝雄
入選 私は二つです。雄一郎
入選 類句ありそうだが、「三つ」の具体性が良い。荒 一葉
入選 ケン

4点句 路地裏の風うならする喧嘩独楽(佳楓)
入選 こういう遊びも減った。龍野ひろし
入選 Senyu・ケン・立野音思

3点句 この今もどこかに戦火去年今年(アイビー)
入選 全くですね。なぜ争いが絶えないのでしょうか。良仙
入選 本当にそうですね。地球上では今、戦火が絶えず、幾万の命が消えて行っている悲惨な有様です。早く戦の無い平和な地球に戻って欲しいと願うばかりです。佳楓
入選 八千代

3点句 コンビニにたむろしてをり雪だるま(神島六男)
特選 たむろするのは中学生だけと思ってました。雄一郎
入選 Senyu・帰心

3点句 歓声が静寂つきぬけ初日の出(光雲2)
特選 初日の出の抑えきれぬ感動が鮮やかに描かれています。帰心
入選 一瞬の静寂、やがて歓喜の初日の出。アイビー
入選 初日の出に歓声が上がる、元旦の喜びの景です。梦月

3点句 男には七人の敵破魔矢買ふ(雅風)
入選 物騒な句ですが、気持ちはわかりますね。良仙
入選 威力がありそう。神島六男
入選 いや、本当は八人です。最後の敵はおのれ自身です。破魔矢買っても簡単にはおのれ自身には勝てない事を自覚している詠み手に共感。珉汰

3点句 読初や池田澄子の軽やかさ(帰心)
入選 読初にこの句集、いいですね。百代
入選 私も軽やかな句を詠んで見たいものです。順一
入選 みな子

3点句 電飾の潤む街角小夜しぐれ(みさゑ)
入選 時雨に滲む電飾の光は冬の風物詩ですね。梦月
入選 光雲2・雅風

3点句 底冷の京群青の甍かな(龍野ひろし)
特選 詠み出しの七音「底冷えの京」で一旦軽く切れて、続く「群青の甍」から美しくも厳しく冷える古都の佇まいが伝わってきました。すーちゃん
入選 光雲2・雅風

3点句 冬靄や墨絵と変わる三河湾(捨吉)
特選 雅風(コメントなし)
入選 みな子・立野音思

2点句 初茜遥か沖より遠汽笛(良仙)
入選 雄大な「景」がひらけています。垣内孝雄
入選 新年の夜明けに聞こえる汽笛、趣のある句です。梦月

2点句 初詣まづはこの日を感謝して(おさむ)
入選 すーちゃん・雄一郎

2点句 小正月腰のくびれし砂時計(龍野ひろし)
入選 砂時計は確かに腰がくびれている。だから小正月。女正月であれば少々リアル過ぎる景。珉汰
入選 おさむ

2点句 春泥の革靴参列者の黙(神島六男)
入選 すーちゃん・おさむ

2点句 とじた目に目薬たらす寒さかな(ケン)
入選 薬が落ちた瞬間、目が寒くて思わずつむってしまうのはよくありますが、差す前に閉じるとは面白いです。神島六男
入選 帰心

2点句 がん病棟「おめでとう」から初診察(Senyu)
特選 がん病棟でも、新年には患者さんに〔おめでとう〕と挨拶をされるのですね。初めて知りました。先生の優しいお心遣いが何だか嬉しく思いました。佳楓
入選 お正月は誰にでも、何処にでもやって来ます。頑張る患者さんとお医者さんの新たな闘いの始まり、頑張って下さい。八千代

2点句 角打ちの見知らぬ人と年忘れ (垣内孝雄)
入選 盛り上がりそう──神島六男
入選 こう言う景は実感がある。「角打ちに」であれば更に景が明確だろう。珉汰

2点句 着膨れて水切り競う父と子と(八千代)
入選 比較的広い川だったのかもしれません。順一
入選 捨吉

2点句 友垣の点検整備賀状書く(Senyu)
入選 雄一郎・雅風

2点句 新年や賀状の束の薄さかな(雄一郎)
入選 年々減る年賀状。龍野ひろし
入選 てふてふ

2点句 のんほいと顔出すカバや園小春(すーちゃん)
入選 「のんほい」の方言?が効いている。荒 一葉
入選 のんほいのオノマトベが絶妙。八千代

2点句 雑煮餅の数問ふ母の声高し(荒 一葉)
特選 お正月の一コマ、私にも経験があります。垣内孝雄
入選 お正月の朝、昔はこうだったと思い出されます。百代

2点句 くちびるをあいうえおにしかんのべに(雅風)
入選 一読して思わず、笑いを頂きました。口紅をひく時の様子が如実に表現されていて、自分自身が脳裏に浮かびました。〔かんのべに〕を平仮名表記にし、十七文字全てを平仮名にされて一句を仕立てられました。佳楓
入選 Senyu

1点句 連鎖する故障家電や去年今年(百代)
入選 いや、ほんとに。瞳人

1点句 あどけなき子役の口上初稽古(良仙)
入選 微笑ましい句ですね。垣内孝雄

1点句 鳶悠々糺の森の冬ぬくし(瞳人)
入選 自然の雄大さとその恵みを感じます。百代

1点句 訛りなき冬みちのくの小学生(龍野ひろし)
入選 てふてふ

1点句 香り立つひかり灯すや蝋梅花(光雲2)
特選 寒中に咲く蝋梅を讃えてゆかしい。百代

1点句 恩寵や冬芽の零す陽の欠片(光雲2)
入選 てふてふ

1点句 東京の澄みし青空三日かな(梦月)
入選 いまも、そうですか。瞳人

1点句 好物のごまめ仕込むる古女房(垣内孝雄)
特選 亭主の好きなあかえぼし?瞳人

1点句 紅白をじっくりビデオの年はじめ(おさむ)
入選 雅風

1点句 吹くたびに七草粥の野の香かな(荒 一葉)
入選 捨吉

1点句 歯ごたえの手強き海鼠ふっと消ゆ(八千代)
入選 すーちゃん

1点句 毎日をしっかり噛んで去年今年(佳楓)
入選 ケン

1点句 満天の星の衝突なき聖夜(Senyu)
入選 近そうで、遠いんですね。瞳人

1点句 蝋梅に透けし鳥語や無人駅(ケン)
特選 蝋梅の香りに鳥語が重なっていると思う。無人駅に香りと鳥語が訪れている。みな子

1点句 ゴミアート引きずりてゆく寒鴉(藤川雅子)
入選 ユーモラスの中にもペーソスがあると思いました。生きるのに必死な鴉にゴミを荒らされまいと言う人間の必死さは伝わらないのかもしれません。そんなニュアンスが「ゴミアート」と言う表現に表れていると思いました。順一

1点句 「楽だの湯」知らぬ同士の交わす賀詞(百代)
特選 本当にある銭湯の名前ですかね。面白い名前が新年にぴったりですね。神島六男

1点句 冬晴や最後の一本草を抜く(雄一郎)
入選 てふてふ

1点句 新玉の箱根駅伝旗の波(良仙)
入選 「荒玉」は新年(季語)ですが、箱根駅伝小田原中継所のある新玉地区でもあります。梦月

1点句 落葉降る手押しポンプのぽつねんと(すーちゃん)
特選 「手押し」と「ぽつねん」が良くあっていると思います。捨吉

1点句 今日あるを感謝合掌初詣(百代)
入選 祷るより感謝の多い初詣。アイビー

〈俳句気まぐれエッセイ58 新しい年の始まりに〉 今泉 かの子
この四月から育休明けの娘が、いきなり名古屋に赴任する見込みとなった。今は、四才と一才半の子を育てながら、婿と四人で東京に暮らしている。
育休中ということで内々に、赴任先を知らされた娘は、ショックだったらしい。仕事上の都合とはいえ、婿と別居を余儀なくされる名古屋になろうとは…。幼い子を抱えての職場復帰ということは、あまり考慮されなかったようだ。四才の孫も事態はわからないものの、パパと離れて暮らすという話を聞かされた時は、涙したという。もちろん、婿も驚いたが、東京での仕事を簡単にはやめられない。
そして、名古屋へ来るということは、実家である名古屋の家に同居するということである。一つ家に娘と二人の孫を入れて五人。私たち夫婦も驚いた。なんせ、姑を見送り、二人の子も家庭を持ち、今は、夫婦それぞれ好きな時に山の家を行ったり来たりしている暮らしである。半ば別居しているような、しかし至極快適なこの生活は、もう十年以上になる。
数か月に一度ランチをする同世代の友達は、皆さま開口一番、「大変ねぇ。」とおっしゃる。そして口をそろえたように「かわいいだろうけどねぇ。」と付け足される。「無理は禁物。余計な口出しは無用。」とのアドバイスも拝聴した。すでに記憶の彼方となった、育児の日常。その海へ漕ぎだす不安はあるが、出航はもう二か月先に迫っている。あれこれ心配するより、とりあえず、受け入れ態勢を整えねばならない。
が、私はここで暗澹たる気持ちになる。今まで、不要になった生活用品は、なんでも二階の部屋にぽいぽい上げて、なかったことにして暮らしてきた。それは、服やら本やらカセットデッキやら、大量のモノ。いつかは片づけるつもりでいたのだが、先延ばしで今日まで来てしまった。新しく三人が住めるようにするには、今の私の部屋を明け渡し、あのぽいぽい部屋に私が移るのが妥当なところ。まずは、リサイクル、ゴミ、保留の分別である。
数へ日やゴミをほしがるゴミ袋          かの子
想えば、これも一つのきっかけ。「いつか」は「今」やることとして、手を付けるきっかけを貰ったのだと思う。また、古希を過ぎた老夫婦とはいえ、働きながら子育てをする母親を手助けできる手足を、二人とも持っている。今ならまだなんとかサポートできる。赴任期間の三年間ぐらいは、やってやれる。
前に「考慮されてない」と書いたが、育休明けの赴任先として、案外、実家の存在が考慮されていたのかもしれない。
この新年は、保育園、幼稚園への見学に約一週間、毎日通った。赴任先がわかった時点で、入園の一次募集は終わっていた。すでにもう出遅れている。無事に入園できるか、二人が同じ所へ入園できる可能性はあるのか、今はまだわからない。この春、扉の向こうには、どんな海が広がっているのだろうか。
読初は声張り上げて『がらがらどん』        かの子