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第67回ウェブ句会(2026年1月募集)
☆作者名は( )内に記述。
10点句 風の筋たぐり寄せたる絵凧かな(佳楓)
特選 言いえて妙。龍野ひろし
特選 グイと糸を引く力強さを思いました。八千代
特選 ケン(コメントなし)
特選 立野音思(コメントなし)
入選 正月の光景が良く出てますね。良仙
入選 「風の筋」の発見が手柄。荒 一葉
入選 絵凧の細い糸を手繰る景。「風の筋たぐり寄せたる」は詠み手の発見だろう。珉汰
入選 すーちゃん・Senyu・みな子
5点句 寄り添へば言葉は無用寒雀(荒 一葉)
入選 確かに。龍野ひろし
入選 老夫婦が縁側で片寄せあって日向ぼっこでもしているのでしょうか。良仙
入選 光雲2・帰心・ケン
5点句 暮れ残る空へ溶け込み冬桜(みさゑ)
特選 澄んだ空の色と冬桜の淡い色が溶け合っています。梦月
入選 光雲2・立野音思・彰・みな子
5点句 一言でその場を収めちやんちやんこ(アイビー)
特選 ちやんちやんこがよく効いていますね。Senyu
特選 説得力のある言葉だったのでしょう。巧みに下五の季語「ちやんちやんこ」に着地しました。順一
入選 年長者の貫禄ですね。八千代
入選 そうです、そうですよね。何かと揉め事が発生したとき、その場を上手く収める長老が一人は見えますよね。日常の生活の中の一コマを上手く詠まれたと思いました。佳楓
入選 捨吉
4点句 六花外湯巡りの下駄の音(神島六男)
入選 雪が散らつく温泉郷の景が五感に丸ごと迫ります。百代
入選 うつらうつらしていたのかもしれません。順一
入選 立野音思・捨吉
4点句 退院の夢は女房と初詣(ケン)
入選 睦まじいご夫婦ですね。垣内孝雄
入選 もうすぐ、です。瞳人
入選 入院されておられるのですね~。早く退院されて、お世話をお掛けした奥様と仲良く初詣されますことをお祈りしております。佳楓
入選 帰心
4点句 木枯しや海鳴る町の赤電話(立野音思)
特選 「海鳴る町の赤電話」という表現がいいですね。鄙びた海沿いの町の光景が赤電話と季語で良く出てます。良仙
特選 山口誓子の例の句を踏まえた句だろう。赤電話に特攻で亡くなった青年からの着信音、それが海鳴るだろう。心象句でもある。珉汰
特選 光雲2(コメントなし)
入選 ぽつんと赤電話。龍野ひろし
4点句 初ごよみ通院予定を三つ書く(おさむ)
入選 今年も「健康第一」。垣内孝雄
入選 私は二つです。雄一郎
入選 類句ありそうだが、「三つ」の具体性が良い。荒 一葉
入選 ケン
4点句 路地裏の風うならする喧嘩独楽(佳楓)
入選 こういう遊びも減った。龍野ひろし
入選 Senyu・ケン・立野音思
3点句 この今もどこかに戦火去年今年(アイビー)
入選 全くですね。なぜ争いが絶えないのでしょうか。良仙
入選 本当にそうですね。地球上では今、戦火が絶えず、幾万の命が消えて行っている悲惨な有様です。早く戦の無い平和な地球に戻って欲しいと願うばかりです。佳楓
入選 八千代
3点句 コンビニにたむろしてをり雪だるま(神島六男)
特選 たむろするのは中学生だけと思ってました。雄一郎
入選 Senyu・帰心
3点句 歓声が静寂つきぬけ初日の出(光雲2)
特選 初日の出の抑えきれぬ感動が鮮やかに描かれています。帰心
入選 一瞬の静寂、やがて歓喜の初日の出。アイビー
入選 初日の出に歓声が上がる、元旦の喜びの景です。梦月
3点句 男には七人の敵破魔矢買ふ(雅風)
入選 物騒な句ですが、気持ちはわかりますね。良仙
入選 威力がありそう。神島六男
入選 いや、本当は八人です。最後の敵はおのれ自身です。破魔矢買っても簡単にはおのれ自身には勝てない事を自覚している詠み手に共感。珉汰
3点句 読初や池田澄子の軽やかさ(帰心)
入選 読初にこの句集、いいですね。百代
入選 私も軽やかな句を詠んで見たいものです。順一
入選 みな子
3点句 電飾の潤む街角小夜しぐれ(みさゑ)
入選 時雨に滲む電飾の光は冬の風物詩ですね。梦月
入選 光雲2・雅風
3点句 底冷の京群青の甍かな(龍野ひろし)
特選 詠み出しの七音「底冷えの京」で一旦軽く切れて、続く「群青の甍」から美しくも厳しく冷える古都の佇まいが伝わってきました。すーちゃん
入選 光雲2・雅風
3点句 冬靄や墨絵と変わる三河湾(捨吉)
特選 雅風(コメントなし)
入選 みな子・立野音思
2点句 初茜遥か沖より遠汽笛(良仙)
入選 雄大な「景」がひらけています。垣内孝雄
入選 新年の夜明けに聞こえる汽笛、趣のある句です。梦月
2点句 初詣まづはこの日を感謝して(おさむ)
入選 すーちゃん・雄一郎
2点句 小正月腰のくびれし砂時計(龍野ひろし)
入選 砂時計は確かに腰がくびれている。だから小正月。女正月であれば少々リアル過ぎる景。珉汰
入選 おさむ
2点句 春泥の革靴参列者の黙(神島六男)
入選 すーちゃん・おさむ
2点句 とじた目に目薬たらす寒さかな(ケン)
入選 薬が落ちた瞬間、目が寒くて思わずつむってしまうのはよくありますが、差す前に閉じるとは面白いです。神島六男
入選 帰心
2点句 がん病棟「おめでとう」から初診察(Senyu)
特選 がん病棟でも、新年には患者さんに〔おめでとう〕と挨拶をされるのですね。初めて知りました。先生の優しいお心遣いが何だか嬉しく思いました。佳楓
入選 お正月は誰にでも、何処にでもやって来ます。頑張る患者さんとお医者さんの新たな闘いの始まり、頑張って下さい。八千代
2点句 角打ちの見知らぬ人と年忘れ (垣内孝雄)
入選 盛り上がりそう──神島六男
入選 こう言う景は実感がある。「角打ちに」であれば更に景が明確だろう。珉汰
2点句 着膨れて水切り競う父と子と(八千代)
入選 比較的広い川だったのかもしれません。順一
入選 捨吉
2点句 友垣の点検整備賀状書く(Senyu)
入選 雄一郎・雅風
2点句 新年や賀状の束の薄さかな(雄一郎)
入選 年々減る年賀状。龍野ひろし
入選 てふてふ
2点句 のんほいと顔出すカバや園小春(すーちゃん)
入選 「のんほい」の方言?が効いている。荒 一葉
入選 のんほいのオノマトベが絶妙。八千代
2点句 雑煮餅の数問ふ母の声高し(荒 一葉)
特選 お正月の一コマ、私にも経験があります。垣内孝雄
入選 お正月の朝、昔はこうだったと思い出されます。百代
2点句 くちびるをあいうえおにしかんのべに(雅風)
入選 一読して思わず、笑いを頂きました。口紅をひく時の様子が如実に表現されていて、自分自身が脳裏に浮かびました。〔かんのべに〕を平仮名表記にし、十七文字全てを平仮名にされて一句を仕立てられました。佳楓
入選 Senyu
1点句 連鎖する故障家電や去年今年(百代)
入選 いや、ほんとに。瞳人
1点句 あどけなき子役の口上初稽古(良仙)
入選 微笑ましい句ですね。垣内孝雄
1点句 鳶悠々糺の森の冬ぬくし(瞳人)
入選 自然の雄大さとその恵みを感じます。百代
1点句 訛りなき冬みちのくの小学生(龍野ひろし)
入選 てふてふ
1点句 香り立つひかり灯すや蝋梅花(光雲2)
特選 寒中に咲く蝋梅を讃えてゆかしい。百代
1点句 恩寵や冬芽の零す陽の欠片(光雲2)
入選 てふてふ
1点句 東京の澄みし青空三日かな(梦月)
入選 いまも、そうですか。瞳人
1点句 好物のごまめ仕込むる古女房(垣内孝雄)
特選 亭主の好きなあかえぼし?瞳人
1点句 紅白をじっくりビデオの年はじめ(おさむ)
入選 雅風
1点句 吹くたびに七草粥の野の香かな(荒 一葉)
入選 捨吉
1点句 歯ごたえの手強き海鼠ふっと消ゆ(八千代)
入選 すーちゃん
1点句 毎日をしっかり噛んで去年今年(佳楓)
入選 ケン
1点句 満天の星の衝突なき聖夜(Senyu)
入選 近そうで、遠いんですね。瞳人
1点句 蝋梅に透けし鳥語や無人駅(ケン)
特選 蝋梅の香りに鳥語が重なっていると思う。無人駅に香りと鳥語が訪れている。みな子
1点句 ゴミアート引きずりてゆく寒鴉(藤川雅子)
入選 ユーモラスの中にもペーソスがあると思いました。生きるのに必死な鴉にゴミを荒らされまいと言う人間の必死さは伝わらないのかもしれません。そんなニュアンスが「ゴミアート」と言う表現に表れていると思いました。順一
1点句 「楽だの湯」知らぬ同士の交わす賀詞(百代)
特選 本当にある銭湯の名前ですかね。面白い名前が新年にぴったりですね。神島六男
1点句 冬晴や最後の一本草を抜く(雄一郎)
入選 てふてふ
1点句 新玉の箱根駅伝旗の波(良仙)
入選 「荒玉」は新年(季語)ですが、箱根駅伝小田原中継所のある新玉地区でもあります。梦月
1点句 落葉降る手押しポンプのぽつねんと(すーちゃん)
特選 「手押し」と「ぽつねん」が良くあっていると思います。捨吉
1点句 今日あるを感謝合掌初詣(百代)
入選 祷るより感謝の多い初詣。アイビー
〈俳句気まぐれエッセイ58 新しい年の始まりに〉 今泉 かの子
この四月から育休明けの娘が、いきなり名古屋に赴任する見込みとなった。今は、四才と一才半の子を育てながら、婿と四人で東京に暮らしている。
育休中ということで内々に、赴任先を知らされた娘は、ショックだったらしい。仕事上の都合とはいえ、婿と別居を余儀なくされる名古屋になろうとは…。幼い子を抱えての職場復帰ということは、あまり考慮されなかったようだ。四才の孫も事態はわからないものの、パパと離れて暮らすという話を聞かされた時は、涙したという。もちろん、婿も驚いたが、東京での仕事を簡単にはやめられない。
そして、名古屋へ来るということは、実家である名古屋の家に同居するということである。一つ家に娘と二人の孫を入れて五人。私たち夫婦も驚いた。なんせ、姑を見送り、二人の子も家庭を持ち、今は、夫婦それぞれ好きな時に山の家を行ったり来たりしている暮らしである。半ば別居しているような、しかし至極快適なこの生活は、もう十年以上になる。
数か月に一度ランチをする同世代の友達は、皆さま開口一番、「大変ねぇ。」とおっしゃる。そして口をそろえたように「かわいいだろうけどねぇ。」と付け足される。「無理は禁物。余計な口出しは無用。」とのアドバイスも拝聴した。すでに記憶の彼方となった、育児の日常。その海へ漕ぎだす不安はあるが、出航はもう二か月先に迫っている。あれこれ心配するより、とりあえず、受け入れ態勢を整えねばならない。
が、私はここで暗澹たる気持ちになる。今まで、不要になった生活用品は、なんでも二階の部屋にぽいぽい上げて、なかったことにして暮らしてきた。それは、服やら本やらカセットデッキやら、大量のモノ。いつかは片づけるつもりでいたのだが、先延ばしで今日まで来てしまった。新しく三人が住めるようにするには、今の私の部屋を明け渡し、あのぽいぽい部屋に私が移るのが妥当なところ。まずは、リサイクル、ゴミ、保留の分別である。
数へ日やゴミをほしがるゴミ袋 かの子
想えば、これも一つのきっかけ。「いつか」は「今」やることとして、手を付けるきっかけを貰ったのだと思う。また、古希を過ぎた老夫婦とはいえ、働きながら子育てをする母親を手助けできる手足を、二人とも持っている。今ならまだなんとかサポートできる。赴任期間の三年間ぐらいは、やってやれる。
前に「考慮されてない」と書いたが、育休明けの赴任先として、案外、実家の存在が考慮されていたのかもしれない。
この新年は、保育園、幼稚園への見学に約一週間、毎日通った。赴任先がわかった時点で、入園の一次募集は終わっていた。すでにもう出遅れている。無事に入園できるか、二人が同じ所へ入園できる可能性はあるのか、今はまだわからない。この春、扉の向こうには、どんな海が広がっているのだろうか。
読初は声張り上げて『がらがらどん』 かの子
第66回ウェブ句会(2025年12月募集)
☆作者名は( )内に記述。
8点句 平穏といふ幸のあり大根洗ふ(荒 一葉)
入選 なるほどと共感出来ます。Senyu
入選 これぞ、幸子の幸。瞳人
入選 穏やかな日々の様子が季語に表れてますね。良仙
入選 一徳斎・光雲2・てふてふ・雅風・アイビー
7点句 ドリブルを抜く子防ぐ子息白し(八千代)
特選 元気いっぱいの子らに拍手。梦月
特選 攻防の双方、息白しに実感。アイビー
入選 サッカーかバスケットボールか、グラウンドでの子らの真剣な目つきや息遣いまでが目に浮かぶようです。百代
入選 一徳斎・帰心・雄一郎・雅風
6点句 吊るされてなほ鮟鱇の腑に落ちず(アイビー)
特選 鮟鱇の景。珉汰
特選 鈍感な我が身を見るよう。おさむ
特選 鮟鱇の七つ道具,腑に落ちずの着地で絶妙。みさゑ
特選 吊るされている鮟鱇の気持ちをとぼけた風に詠まれたのが、面白いと思いました。佳楓
特選 不満気な鮟鱇の顔を想像して思わずクスリと笑ってしまいました。八千代
入選 てふてふ
6点句 入区する貨車の一笛冬日濃し(一徳斎)
特選 詠み出しから場面の状況が確定され、十七音の言葉が効果的に使われている。整備を受けるべく、務めを果たした貨車の鳴らす汽笛が余韻となって残る、冬の日の明るい情景を思う。すーちゃん
特選 龍野ひろし(コメントなし)
入選 鉄オタにはたまらない風景。神島六男
入選 貨車の汽笛が聞こえて来そうです。一瞬の切り取り方が上手いと思いました。八千代
入選 雅風・みな子
6点句 ふるさとの重き蒲団の眠りかな(みさゑ)
入選 親に持たせてもらった婚礼布団は 高価な軽い羽毛布団でした。今 里の客布団の重さに、改めて親を思う情景が浮かびました。百代
入選 そうですね。確かに実家の蒲団は重たいですよね。だけど、何となく心地よい眠りにつけるものです。佳楓
入選 すーちゃん・龍野ひろし・おさむ・彰
5点句 御首(みしるし)のごとく白菜並べられ(雅風)
特選 人の首のように白菜が見える、あまり生臭くは感じられないのが良い。みな子
入選 景が直ぐに浮かぶ的確な描写だと思います。Senyu
入選 御首のごとしとは言いえて妙!荒 一葉
入選 確かに首に見えますね。神島六男
入選 彰
5点句 冬の蚊やゆつくり歩く事に決め(順一)
入選 冬の蚊に自分を見たのでしょう。同感。Senyu
入選 そうですね。この歳になると何ごとも急ぐ事は叶いませんです。平均寿命迄ゆっくりと歩くことに、私めも考えておりました。佳楓
入選 雄一郎・ケン・捨吉
5点句 巫女の手の細き指先札納め(良仙)
特選 神事などを務める巫女の(白衣緋袴ではなく)指にフォーカスして、清冽な印象が鮮やかです。百代
特選 光雲2(コメントなし)
入選 一徳斎・てふてふ・みな子
4点句 過去のかげ引きずってをり寒鴉(Senyu)
入選 龍野ひろし・梦月・捨吉・順一
4点句 余白なき母の手紙や冬薔薇(荒 一葉)
特選 「余白なき」の措辞に、作者を思う母心があふれていて胸を打つ。「冬薔薇」との取り合わせも秀逸。帰心
入選 お母さまの深い思い。垣内孝雄
入選 光雲2・アイビー
4点句 冬の夜や妻とふたりの小鍋立て(垣内孝雄)
入選 だいこ千本、浅蜊を入れて、下戸の連れを相手に、サカヅキなめるをまねごとで。瞳人
入選 二人暮しの小鍋立て、共感致しました。みさゑ
入選 雄一郎・梦月
3点句 霜払ふ窓に朝日のまだ淡し(雄一郎)
特選 「まだ」が、情景が浮かんで良いですね。捨吉
入選 凛とした冬の早朝──みさゑ
入選 すーちゃん
3点句 やはらかき冬日揺らして藍の甕(みさゑ)
入選 「藍」のお世話も念入りに。垣内孝雄
入選 藍甕に焦点を合わせた上手いなあと感じた。アイビー
入選 すーちゃん
3点句 藁苞に日を集めたる寒牡丹(龍野ひろし)
入選 冬の情景が良く出てますね。良仙
入選 光雲2・梦月
3点句 赤い靴捨てて故郷へ年暮るる(瞳人)
入選 赤き靴に託した夢。その夢も破れたのか。珉汰
入選 光雲2・彰
3点句 冬山椒今ならわかる父のこと(荒 一葉)
入選 老いて知ることの大切さ。垣内孝雄
入選 すーちゃん・捨吉
3点句 三島忌や老いて増したる腹の肉(てふてふ)
特選 ゆるゆるの皮に刃も立ちませぬ。瞳人
入選 三島由紀夫の肉体を思うと滑稽。荒 一葉
入選 順一
3点句 病室を覗けば笑顔ラガーマン(帰心)
特選 スッキリとした季語がいいですね。病室にいても笑顔で迎えてくれるラガーマン、いい句と思います。一徳斎
入選 病室でも豪快?アイビー
入選 おさむ
3点句 麻酔覚め浄土と惑ふ小六月(百代)
入選 麻酔された時はちゃんと目覚めるかどうか、いつも心配になります。神島六男
入選 麻酔から覚めた折の、あの世ともこの世ともしれぬ、うつろな状態を上手く詠まれたと思いました。佳楓
入選 おさむ
2点句 くだら野や杖突く妻に腕貸して(帰心)
特選 十七音の醸し出す「世界」。垣内孝雄
入選 二人寄り添い暮らせる幸せ。心温まる句です。八千代
2点句 雪一椀供へし母の枕元(神島六男)
入選 正岡子規とはまた違った緊張感。珉汰
入選 おさむ
2点句 良き知らせ降おりて来さうな朝紅葉(梦月)
入選 帰心・捨吉
2点句 この俺が傘寿は笑止おでん酒(アイビー)
入選 ホント、自分がもうその年齢だとは思えないですよね。でもそんな風に思えるのは元気な証拠。米寿、白寿目指してください。八千代
入選 雄一郎
2点句 矢印の「そこ」つてどこよ冬の雨(八千代)
特選 「そこ」がわからない苛立ちってありますよね。季語冬の雨の陰鬱な響きが効いていると思います。Senyu
入選 龍野ひろし
2点句 寂寥がふっと貌出す石路の花(光雲2)
入選 石和の花はそんな雰囲気を持ってますね。良仙
入選 みな子
2点句 冬枯れの木々瞑想に入りをり(光雲2)
入選 何かを瞑想しているのかと思いますね。Senyu
入選 擬人化。そんなふうにも見えます。百代
2点句 マスクして人みな孤独深海魚(光雲2)
特選 マスクして表情の不確かな人の群れと深海魚の対比はなるほどと思わせますね。良仙
入選 深海魚とは言い得て妙だと思いました。街中を黙々と歩く姿は異形ですよね。八千代
2点句 高千穂の神のきざはし雪しづる(一徳斎)
入選 龍野ひろし・雅風
2点句 枯野ゆくかばん一つの軽さかな(すーちゃん)
特選 そうです。身軽がいいです、かばんがいいです。彰
入選 順一
2点句 寒月やグラス一つの白ワイン(捨吉)
特選 寒月と白ワインが相乗効果を発揮して、おたがいを高め合っていると思いました。順一
入選 今は一人で嗜む白ワイン、味わい深い句。垣内孝雄
1点句 鉄塔や冬草原に異常なし(順一)
入選 てふてふ
1点句 きかんきのホームの母へ熱燗を(ケン)
入選 帰心
1点句 東京都西新宿や泡立草(珉汰)
入選 繁華街と泡立ち草の対比が面白いです。良仙
1点句 解体の足場に旋回冬の蜂(百代)
入選 みな子
1点句 柚子湯して一合ほどの酒を酌む(垣内孝雄)
入選 ケン
1点句 寒夜ひとり一刀彫の熊の尻(良仙)
入選 帰心
1点句 君編みしマフラーを巻き君を待つ(捨吉)
特選 昭和な風景が郷愁を誘います。神島六男
1点句 クリスマス一人娘の誕生日(垣内孝雄)
入選 この静けさが何よりです。瞳人
1点句 冬の日や焼きそばソースたつぷりと(梦月)
入選 順一
1点句 手の届くようで届かぬ冬北斗(龍野ひろし)
入選 都会でも冬は空気が澄んで、星がはっきり見えます。みさゑ
1点句 着々と萎えてゆく身や神の留守(佳楓)
特選 ケン(コメントなし)
1点句 干蒲団ひなたの匂ひ抱きしめて(みさゑ)
入選 一徳斎
1点句 甘酒や人形町に鐘太鼓(神島六男)
入選 景が見える。珉汰
1点句 納豆の執念深さと格闘す(佳楓)
入選 ケン
1点句 清水の舞台狂わす六の花(ケン)
入選 清水のあの大舞台を狂わんばかりに雪が舞う情景が、目に浮かびました。「六の花」の季語が美しくその場の景をよりいっそう深めますね。佳楓
1点句 冬ざれや鉄扉閉ざせし修道院(龍野ひろし)
特選 雅風(コメントなし)
1点句 アイパッド持ちこのごろの雪女郎(佳楓)
入選 ケン
1点句 バスの来るまでを屈伸凍つる朝(八千代)
入選 句またがりと「屈伸」の語の相性も、季語の取り合わせもいいなと思いました。百代
1点句 いのち立つ華やぎにあり冬木立(すーちゃん)
特選 「いのち立つ華やぎ」とは斬新な捉え方!寂寥感漂う冬の景色に、生命の息吹と美しさを掬い上げた見事な句。荒 一葉
1点句 陽だまりの冬薔薇高く薄紅に(みな子)
特選 寂しい冬の庭に紅一点バラが咲いているのが目に浮かびます。雄一郎
1点句 一軒家の廁にはらり六の花(ケン)
入選 彰
〈俳句気まぐれエッセイ57 鳥語〉 今泉 かの子
テレビを見ていたら、松任谷正隆氏(ユーミンの夫)が、愛犬を散歩させながら、うちの犬は野鳥と話ができると話していた。この野鳥とはカラス。何でも「(カラスが)妙に慣れてうちによく遊びに来てて、こいつ(犬)と話をしてるみたいだった」という。(カァとワンのやりとり?)一緒にいた相手が「ふつうワンちゃんいると、なかなか来ないですけどね。」と一般常識の返しで応えていたが、続きがあって「そいつ(カラス)が来なくなっちゃって、たぶん結構な年だったんだと思うんですよ。それで、僕がこいつ(犬)に『また呼んできてよ』って言ったら、また別のカラスが来るようになったんですよ。すごくないですか。」相手は「すごいです。すごいです。」と激しく同意されていた。
不確実な要素が多く、なんだかなぁ感はあるものの、犬もカラスも共に記憶力のいい賢い動物だ。学習能力に長けたカラスと、感情に寄り添うことができる犬。よほど、相性が良かったのかもしれない。
きき耳頭巾寒風は遠吠えす かの子
動物のコミュニケーションといえば、鈴木俊貴氏。動物言語学という、世界に初めての分野を拓かれた氏は、今も青年のままの風貌だ。シジュウカラの鳴き声に意味があり、鳴き声(単語)を組み合わせて文を作ることができることを発見。「ジャージャー」は蛇、「ヂヂヂヂ」は集まれ、「ピーツピ」は警戒。「ピーツピ・ヂヂヂヂ」と鳴けば、「警戒して集まれ」という意味になる。以前、ゴジュウカラも親戚なのでこの鳥語を理解しているようだと話されていた。五、六年前に聞いた話だが、研究はまだまだこれからなのだろう。
そして鳥語といえば、加古宗也主宰の
〈鳥語より詩語の生まるる小春かな〉
である。言語学に先んじて、理性よりも感性で詠まれた鳥語の世界。諳んずれば、小春の穏やかな明るさに包まれる。
(写真は西尾市近衛亭の句碑)

第65回ウェブ句会(2025年11月募集)
☆作者名は( )内に記述。
10点句 身の丈の暮しに慣れて根深汁(荒 一葉)
特選 上五中七と下五の取り合わせが心地よい。帰心
特選 色々頑張った人生だったけど今の暮らしを良しとする感慨が伝わります。八千代
特選 「身の丈の暮し」と「根深汁」良いですね。捨吉
入選 年金生活に入られたのでしょうか。季語がいいですね。良仙
入選 そうですよね、それなりの暮らしを無駄に繰り返している自分の事のように、読ませて頂きました。根深汁の季語が余生を暖かくしてくれます。佳楓
入選 龍野ひろし・瞳人・一徳斎・雅風・順一
8点句 伸びをして猫も出かける小春かな(雅風)
特選 酷暑の夏であったが今冬は日差しがうれしい。彰
特選 龍野ひろし(コメントなし)
入選 おさむ・一徳斎・すーちゃん・みな子・梦月・捨吉
6点句 笑ってる顔が一等運動会(すーちゃん)
特選 全く同感です。神島六男
入選 運動会の楽しさが伝わってきます。良仙
入選 詠み手のお孫さんへの挨拶句。運動会、確かにそうです。珉汰
入選 雄一郎・一徳斎・ケン
6点句 落ち葉掃き浮世は無駄の積み重ね(良仙)
特選 そのとおり。雄一郎
特選 達観と言うか、俳句の感受性が研ぎ澄まされた瞬間があったのかもしれません。順一
入選 龍野ひろし・帰心・てふてふ・ケン
5点句 さはさはと風の囁き芒原(龍野ひろし)
特選 芒原の様子を共感できる詠み。雅風
入選 芒の揺れている様を風のつぶやきとなりし表現されました。すごいですね〰️。特選に次ぐ秀逸句と思いました。佳楓
入選 光雲2・彰・梦月
5点句 膝に来る嬰に小春の匂ひかな(荒 一葉)
特選 簡潔な一句です。一徳斎
特選 可愛さひとしお、小春日の縁先です。梦月
特選 光雲2(コメントなし)
入選 愛しさが溢れてます。八千代
入選 すーちゃん
4点句 文化の日鳥に文法あるを知る(みな子)
入選 鳥の文法とは?鳥の鳴き方に一定のリズムがあることか。それなりに面白い。「鳥」の具体性があればさらに面白くなるだろう。珉汰
入選 龍野ひろし・おさむ・てふてふ
4点句 白菜のお尻の張りを買ひにけり(佳楓)
特選 「お尻の張り」の把握が手柄。荒 一葉
入選 今晩は白菜料理ですかね。ユーモラスを感じる句です。良仙
入選 みな子・ケン
3点句 姉さんの紅きおべべを七五三(垣内孝雄)
入選 詠み手の懐古だろう。「紅きおべべ」に詩情を得る。「を」を「や」とする手もあるか。珉汰
入選 てふてふ・捨吉
3点句 自然薯の試行錯誤の形かな(アイビー)
特選 自然薯のぼこぼこした形を試行錯誤の形と言ったことが良いと思う。みな子
入選 なるほど。あの形は試行錯誤のあとだったか。神島六男
入選 帰心
3点句 居酒屋の明かりこぼるる小夜時雨(雅風)
入選 雰囲気のある句。アイビー
入選 荒 一葉・百代
3点句 とろろ汁一日長く年早し(てふてふ)
入選 同感です。八千代
入選 百代・おさむ
3点句 冬霧のともしび仄か湯布の里(一徳斎)
入選 温泉に浸りたくなりますね。熊が怖いけど。神島六男
入選 光雲2・てふてふ
3点句 熱燗やだまされやすきが玉に瑕(きず)(佳楓)
入選 大らかな句。垣内孝雄
入選 荒 一葉・すーちゃん
3点句 枝折戸を軋む雨音石蕗の花(一徳斎)
入選 風情がある句。垣内孝雄
入選 梦月・雅風
3点句 月の夜や猫とおはなしできる椅子(すーちゃん)
特選 ほのぼのとした句。十七音が醸し出す世界。垣内孝雄
特選 ロッキングチェアなんでしょうか、メルヘンチックな句ですね。良仙
入選 月の夜ならなんでもあり得そうな気がします。神島六男
3点句 木の実踏むこの小ささにこの響き(帰心)
入選 日常の何気ない暮らしにあるちょっとした驚き、面白いと思いました。八千代
入選 すーちゃん・みな子
3点句 毬栗を踏みし児童の飛六方(ケン)
特選 痛さに思わず飛び跳ねた様が[飛六方]という、気の毒ながら笑いが溢れる一瞬の情景を捉えられた句に拍手です。百代
特選 細かく観察されましたですね。飛六法の表現でその場の慌てふためく子供の情景が、目に浮かびました。「飛六法」が効きましたね。佳楓
入選 アイビー
2点句 小癪にも入れ歯を逃ぐる生海鼠(荒 一葉)
特選 あはは、小癪なやつめ、まだ生きてをる。瞳人
入選 ユーモラスな句。アイビー
2点句 朝寒や振れ幅大き血圧値(みさゑ)
入選 えっ、何で今朝はこんなに血圧が高いの?朝寒のせいですかね。良仙
入選 雅風
2点句 襟抜きの女の粋や石蕗の花(龍野ひろし)
入選 一徳斎・ケン
2点句 縄張りのモズの高音や天高し(ケン)
入選 鳥の繁殖期には、とりわけ鳴き声が高いそうですね。天高し の季語でますますその場の緊張感が伝わります。佳楓
入選 光雲2
2点句 障子貼り妣さんの部屋明るうす(佳楓)
特選 ケン(コメントなし)
入選 色々な状況を想像しました。想いの深い句だと思いました。八千代
2点句 小春日や隣の猫の毛づくろひ(雄一郎)
入選 光雲2・百代
2点句 独り身を労り合って薄紅葉(百代)
入選 夫人に先立たれた者同士と解釈した。男の悲哀と薄紅葉の取とり合わせが良い。アイビー
入選 帰心
2点句 一月遅れの金木犀は街の角(みな子)
入選 瞳人・彰
2点句 句も成らず老ひに飽きたり冬初め(彰)
入選 一読して、自分の事と思ってしまいました。句もならずリハビリ通ひに、内科外科、耳鼻科に眼科、もうすぐ師走です、長生きも、なかなかに大変ですよね。「老ひに飽きたり」が絶妙です。佳楓
入選 捨吉
2点句 路地裏の釘刺しごつこ秋の暮(梦月)
入選 大釘を地面に投げ挿し陣地を延ばし敵を封ずる遊び。当地方では「釘くすげ」とよびます。彰
入選 捨吉
1点句 正常と機械の告ぐる文化の日(アイビー)
入選 少々アイロニーが伺える。今のAI時代への警告か。珉汰
1点句 どっこいしょ声出して立つ小六月(良仙)
入選 彰
1点句 カーナビも時に間違ひ神の留守(アイビー)
入選 梦月
1点句 ボランティアの布団干されて寺の縁(すーちゃん)
特選 気重なりを巧みに避けたところが上手いが、「寺小春」としても良かったように思う。アイビー
1点句 BZてふ歌手に酔ひたる夜長かな(珉汰)
入選 順一
1点句 大木槿咲くや如庵はすぐそこに(帰心)
入選 みな子
1点句 仲秋や買物まろきものばかり(おさむ)
入選 帰心
1点句 五センチの石に入院神の留守(八千代)
入選 瞳人
1点句 伏姫の涙のしづく山ぶどう(光雲2)
入選 龍野ひろし
1点句 古書店にうず高き本文化の日(龍野ひろし)
入選 雅風
1点句 雨粒のささやゐている菊花展(八千代)
入選 順一
1点句 告解にくれなゐ零す萩の庭(光雲2)
入選 心象風景として、ドキリとさせられます。百代
1点句 小六月石の庭掃く音すなり(雄一郎)
入選 順一
1点句 ゆく秋や木犀の香とすれ違ふ(彰)
入選 おさむ
1点句 コスモスの畑の前の停留所(みな子)
特選 田舎の利用者が少ないバス停。その寂しさと対極にあるコスモス畑。コントラスが明確。詠み手が何時も利用しているバス停だろう。詠み手は田舎暮しに至福の一時。「の」の連続で焦点化していく句法。成功している。珉汰
1点句 深窓の猫と目が合ふ秋の暮(百代)
入選 「中七」の安らぎ。垣内孝雄
1点句 風吹くな残り少なし柿紅葉(捨吉)
入選 瞳人
1点句 暮の秋また半年の灯油缶(おさむ)
入選 雄一郎
1点句 ちちははの最後の法事鳥帰る(八千代)
入選 「鳥帰る」が良いですね。垣内孝雄
〈俳句気まぐれエッセイ56 本の話〉 今泉 かの子
本はやはり紙がいいと、長い間思ってきた。手元に置いて読みやすいし、また作り手の好みやこだわりが感じられる装丁も、実感できる。昭和も半ば生まれなので、元々電子書籍というものに馴染みがない、ということもあるのだろうと思う。
そんな私にとって、二年前に芥川賞を受賞した『ハンチバック』は衝撃的だった。ハンチバックとは、背骨が曲がった状態を指す言葉。自らをせむしの怪物と呼ぶ主人公は、経済的に恵まれた重度の障がいをもつ女性。生と性を描く内容もさることながら、その中に紙の本に対する憎しみ、健常者の無知ゆえの傲慢に対する憎しみがぶちまけられていた頁があった。重度の障がい者にとって、紙のページをめくる、読書の体勢を維持するそのこと自体が、すでに「背骨に負荷をかける」難しいことだったのだ。それは紙の本への呪いの言葉のようでもあった。
作者の市川沙央(さおう)氏自身も、電動車いすと人工呼吸器を使う在宅療養者である。『ハンチバック』は当事者文学として、書籍一般の電子化が遅々として進まず、読みたい本が読めないという現状を糾弾していた。
自分は、知らない間に健常者優位の立場に立っていたと思う。まさしく無知だった。痛烈な批判だった。「読書バリアフリー」という言葉も初めて知った。
当たり前の足もとを穴冬に入る かの子
他方、誰でも自由に無料で電子書籍を読めるウェブサイトに「青空文庫」がある。発足から約三十年。著作権が切れた作品や公開を許された作品が、ボランティアの手により電子化され提供されている。
現在、出版界は不況といわれ雑誌の休刊、廃刊も相次いでいる。そんな中、昨年新文芸誌として「GOAT」が発売された。先だって手にした最新号は、また衝撃的だった。紙の本の良さが存分に生かされている。うぐいす色にわかくさ色、黒枠で囲まれた紙など、色もとりどり。中に折りこまれた忍法帖なるものは、大きさも字体も他の紙面とは異なる仕様。当代を代表する作家も多く、「紙の本を憎んでいた。」と作中人物に語らせた市川沙央氏も、執筆者に名を連ねている。
中でも特筆すべきは、朝井リョウ氏の「キトヴォラの今」と題された小説。この小説は、初めに紙の指定があって執筆依頼されたものだという。それは究極の黒い紙、「NTラシャ漆黒」。漆黒の紙に銀色で印字され、内容や形式も斬新である。
そして今、発行部数も驚異的に伸びているらしい。すべて読み切りなのも買う気になる。五百超のページ数がありながら、なんとお代は五百十円。「GOAT」の題に因んで。
衰退を跳ね返すべく、趣向を凝らしたこの画期的な雑誌に、勝手に活力をもらったような気がしている。
北風の見えるところに机置く かの子

第64回ウェブ句会(2025年10月募集)
☆作者名は( )内に記述。
7点句 坂道を海へと下る秋日傘(龍野ひろし)
入選 鎌倉を思い出します。垣内孝雄
入選 [貼り絵]のようでもあり、映画の一コマのようでもあり、景色が目に浮かびます。百代
入選 故郷には踏切と坂を下って海に出る小径があった。おしゃれな人など見ない昭和中頃、今も田舎である。彰
入選 対象をよく見ていると思いました。順一
入選 光雲2・おさむ・雄一郎
5点句 色褪せし父の表札松手入(雅風)
入選 おそらくお父さんは故人なのであろう。表札だけはそのままにしてある。アイビー
入選 既に亡くなった父(昔で言えば家長)の表札がある家。詠み手は長男か。松手入で詠み手の邸宅も見える。珉汰
入選 てふてふ・雄一郎・ 八千代
5点句 秋の薔薇一輪棚に待合所(梦月)
入選 さりげない気配りを感じます。垣内孝雄
入選 心が和みます。百代
入選 みな子・おさむ・雄一郎
5点句 船笛は遠く尾を曳き十三夜(一徳斎)
特選 横浜で揚句の経験をした。景が明確。珉汰
入選 船笛(汽笛)は音数合わせかと思いますが、「曳き」は引きが妥当かと感じました。彰
入選 光雲2・みな子・すーちゃん
5点句 ひと振りの塩を決め手に秋刀魚焼く(荒 一葉)
特選 焼き上がりの秋刀魚の美味しさが伝わるようです。一徳斎
特選 雄一郎(コメントなし)
入選 塩梅って言いますものね。みさゑ
入選 焼き魚は塩加減が味を左右しますよね。当たり前の事をすんなりと上手く詠まれたと思いました。秋刀魚が大きくなってくれて良かったですね。佳楓
入選 ケン
4点句 静けさの秋を深めて夜さり雨(一徳斎)
特選 [夜さり雨]がいいですね。百代
特選 端正な句。アイビー
特選 雅風(コメントなし)
入選 龍野ひろし
4点句 風呂敷に結ぶ新米届きけり(すーちゃん)
入選 嬉しい出来事ですね。垣内孝雄
入選 風呂敷と言うからには実家の新米であろう。アイビー
入選 風呂敷と新米が斬新。新米が効いている。珉汰
入選 帰心
4点句 鑿痕の光る隧道涼新た(良仙)
入選 青洞門か。珉汰
入選 みな子・雅風・梦月
4点句 秋の燈の水面に揺るる舟屋かな(雅風)
特選 水面に揺れる舟屋の灯が一幅の絵として浮かび来る。荒 一葉
特選 水面に揺るるが良い。みな子
入選 一徳斎・すーちゃん
4点句 難聴のゴルファー色なき風をよむ(ケン)
特選 ゴルフをした事の無い私ですが、一読して胸にぐっと来るものがありました。「色無き風をよむ」が抜群に効いていると思いました。佳楓
特選 精進の末の「風の読み」、袖山 哲朗選手を想像します。梦月
特選 光雲2(コメントなし)
入選 八千代
4点句 満月を海に引き込む小舟かな(ケン)
入選 海に映っている月でしょうか。みさゑ
入選 幻想的な景が脳をよぎりました。小舟は夜釣りの舟でしょうか?数年前沖縄に移住したおりに、携句を真夜中にマンションの窓から目にしましたが、句に出来ませんでした。特選に次ぐ秀句と思いました。佳楓
入選 光雲2・すーちゃん
4点句 だんじりの屋根の漢に育ちけり(神島六男)
特選 お子さんでしょうか?この句から、成長した息子さんの姿に目を細めている作者の横顔が見えてきます。帰心
特選 成長した晴れ姿への思いを下五に感じます。今まで見守ってきた時の長さと背景の祭りの伝統としての長さと。地域に根付く力が二重に重なっているようです。すーちゃん
入選 親の喜びが溢れていますね。八千代
入選 梦月
3点句 晴れわたるみすヾの空に鰯雲(アイビー)
入選 一徳斎・みな子・梦月
3点句 稲架かけの続く信州伊那の風(すーちゃん)
入選 とても気持ちの良い句だと思いました。八千代
入選 荒 一葉・光雲2
3点句 同郷とわかり寄り合ふ芋煮会(荒 一葉)
入選 芋煮だけでも同郷感あるのに更に町や校区とかも同じだったのかな。神島六男
入選 同郷と分かり、急に親近感がわいてきた。アイビー
入選 帰心
3点句 柚子入れし小袋六個句会へと(帰心)
入選 句会の句友に差し上げるのかな。垣内孝雄
入選 奥ゆかし、柚子の香。瞳人
入選 おさむ
3点句 折詰めの赤い細紐敬老日(良仙)
特選 「赤い細紐」に込めた思いやり。垣内孝雄
入選 紐に目がいくところが素敵です。神島六男
入選 龍野ひろし
3点句 木の実独楽地軸鎮めて止まりけり(佳楓)
入選 地球の重力を感じさせる句ですね。良仙
入選 龍野ひろし・ケン
3点句 雁渡し蔵の小窓は切手ほど(みさゑ)
特選 比喩が効いている。龍野ひろし
特選 蔵の小窓を切手ほどと喩えに恐れ入谷の鬼子母神です。彰
入選 切手ほどの表現がいいですね。秋の山村の光景ですかね。良仙
3点句 身に入むや一揆の寺の連判状(アイビー)
入選 季語が合い過ぎるほどぴったり。みさゑ
入選 龍野ひろし・おさむ
3点句 秋天へ鳶の滑翔伊良湖岬(光雲2)
特選 動詞を使わず漢詩のような俳句。みさゑ
入選 広々とした海辺の光景がいいですね。良仙
入選 雅風
2点句 一つだけ生りし糸瓜を描き残す(八千代)
入選 帰心・アイビー
2点句 此の月をちちろと愛でる手酌かな(瞳人)
入選 荒 一葉・一徳斎
2点句 紅葉やなにわを統べる天守閣(神島六男)
入選 統べるほどの天守閣に魅力を感じます。順一
入選 すーちゃん
2点句 女房にキスしたくなる新酒酌む(神島六男)
入選 古女房ですけれど。瞳人
入選 てふてふ
2点句 独り聴く午前零時の虫の声(捨吉)
入選 カネタタキかマツムシか。冷え込む前にお休みを。百代
入選 梦月
2点句 集落に婿来て山も粧へる(帰心)
特選 過疎の集落に若い婿さんが来て、村中が喜んでいる様子が良く出てますね。良仙
入選 一読して面白いなぁ!と思いました。山は、男の神、海は女の神がいるとされていますので「婿来て」よりも「嫁来て」のほうが?と思いましたが、解らなくなりました。佳楓
2点句 秋なすや塩気の強き里帰り(てふてふ)
入選 ケン・彰
1点句 小鳥来るほんに小さなカフェテラス(垣内孝雄)
入選 「ほんに小さな」に読み手の共感。──珉汰
1点句 夜業終へし婿にファミチキ三個買ふ(帰心)
入選 てふてふ
1点句 小鳥来る開店前のパチンコ屋(珉汰)
入選 待ち時間の小景。順一
1点句 寄り添うて幾年月ぞ菊の頃(良仙)
特選 しみじみと、思い出される、この年月。瞳人
1点句 燕帰る南の空を黒くして(梦月)
入選 雅風
1点句 秋の暮富士と夕日の浜しづか(雄一郎)
入選 静寂を堪能できました。順一
1点句 山粧ふ友へのLINEすぐ既読(八千代)
入選 帰心
1点句 金風や文字太ぶとと平和の塔(佳楓)
入選 ケン
1点句 昨日今日明日を思ほゆ長き夜(百代)
入選 雄一郎
1点句 十六夜や縁(えにし)断ち切る斧欲しい(捨吉)
特選 思わずぽろ、と出た感じが好きです。神島六男
1点句 鮨ネタの講釈耳に新酒酌む(雅風)
入選 鮨と新酒が付き過ぎかな?と思いましたが、和気あいあいとした光景が浮かびました。一人鮨ネタにうるさい方が見えるのでしょうねぇ。佳楓
1点句 鰡飛んで海の貴婦人迎へけり(佳楓)
特選 海の貴婦人、帆船海王丸は何万人もの若者が巣立った船ですよね。季語鰡は神代の昔から神社や祭りに奉納された縁起のいい出世魚。いいですね。鰡が跳ねて白い帆船を出迎える景が浮かびますね。季語がぴったりです。ケン
1点句 夕暮れの鉄路に似合う彼岸花(みな子)
入選 一徳斎
1点句 応えなき老舗の書店秋しづか(一徳斎)
入選 町の本屋さんの情景が目に浮かびます。百代
1点句 豪雨あと土手を染めたる曼珠沙華(雄一郎)
特選 景色が一瞬で目に浮かびます。八千代
1点句 寄る齢に難題多し鳥兜(彰)
入選 のんびり過ごしたいと思っていても何やかや出てくるものですね。季語が効いてます。良仙
1点句 川の名のこれより変はり葛の花(アイビー)
入選 合流や治水改修など、川や植生の歴史を思わされます。百代
1点句 蓮の実や愛犬ポチの笑ひ貌(珉汰)
特選 犬の笑い顔となると、飼い主にしかわからない魅力があるのかもしれません。順一
1点句 絵が描ける人羨まし美術展(百代)
入選 はて季は?瞳人
1点句 どびろくを友と楽しむ出湯かな(垣内孝雄)
入選 てふてふ
1点句 見向かれもせず健気なる蘆の花(龍野ひろし)
入選 彰
1点句 ゆずりあふ狭き道路や天高し(ケン)
入選 どんな時も譲り合って気持ちよくいきたいですね。神島六男
〈俳句気まぐれエッセイ55 猫の話⑦〉 今泉 かの子
たまたまテレビでねこの美術展のニュースをみた。明治期から現代まで、猫のイラストや絵本が展示され、活況を呈しているらしい。うれしいことに、猫のグッズを持参すれば入場料が百円引きになるという。その気になって猫のグッズを探してみたが、全然見当たらない。半ばあきらめてトイレに入ったら、そこにいた。ねこは壁のへりに座り、釣りをしていた。三十年ほど前にバリ島で買った、ちょっとすました猫の人形。この大きさならバッグに入れられる。
さらに美術展では、猫の写真を持っていけば「わが家の猫自慢」として会期中、展示されるという。私の周りにはなぜか猫好きが多く、その熱烈さも相当と思える。婿さんはアメリカから猫を呼び寄せたほどだし、娘も「猫吸い」するほど。山家の隣人は始終猫の動向を気にかけている。私なんぞが自慢するのもおこがましい気がする。若干気がひけるので、「自慢の猫」ではなく、「愛すべき猫」と受け取って、地域の猫衆の写真を持参した。そして無事「ねこ割」で入館、写真もねこのポストへ投函できた。時代の変遷を感じる絵本や原画の展示に、ゆっくりと流れた秋の午後であった。
話し声ネコ語へねこの美術展 かの子
二次元のねこもかわいいが、生きている猫も、言わずもがな。今月(十月)育休中の娘が、二人の孫を連れて一週間ほど山の家に滞在した。子どもは猫に近づきたがるが、撫で方、力加減がわからない。おそれを知らない一才児は、ニコニコしながら猫の背をぺたぺた叩いたり、しっぽを掴もうとしたり。何をされてもその間、愛猫オリーブはじっとしている。三才児は、恐る恐る手を出して、毛の流れに沿った撫で方ができるが、緊張気味。その間もちろんオリーブは動かない。我慢しているのだろうと思うが、逃げ出しもせず、じっとそこに居続ける猫は、いじらしくも思える。猫にとっては受難の日々でもあったかと思える。が、夜になればなぜか、孫たちの部屋に行き布団の隅で寝ていた。ねこの不思議、ねこの魅力。
秋の夜のねこの健気や子の寝息 かの子

第63回ウェブ句会(2025年9月募集)
☆作者名は( )内に記述。
6点句 自由てふさびしき気まま濁り酒(荒 一葉)
特選 寂しくはないんだよ、この気まま、解るかな。瞳人
特選 「さびしき気まま」に同感いたしました。自由はあれども、何となく寂しい余生ですね。独りのむ「濁り酒」がなんとも詫びしい!!佳楓
入選 中七のさびしき気ままがいいですね。季語とあってると思います。良仙
入選 自由をさびしき気ままと言ったことに惹かれました。人とは無いものねだり、自由も欲しい欲しいと思ってるうちが華かもと思ってしまいました。八千代
入選 なるほど。人間は複雑ですね。神島六男
入選 雅風
6点句 満月や海へ迫り出す千枚田(雅風)
特選 雄大でとても大きな景が目に浮かびます。良仙
入選 いい風景ですね。千の満月が見えてきそう。荒 一葉
入選 石川県民です。千枚田の絶景が見えます。北村おさむ
入選 美しい光景が目に浮かびます。神島六男
入選 光雲2・ケン
6点句 朝顔や昭和を今に佃路地(みさゑ)
特選 佃島も島でなくなり開発も進んで来ていますが、佃煮屋や懐かしさを感じる昔ながらの路地の残るところがあります。昭和という言葉を入れて、そのあたりをうまく詠んでおられると思いました。立野音思
特選 雰囲気のある句。アイビー
入選 昔佃の近くに住んでいました。高層マンションと昭和な家並みが同居してする素敵な所ですね。神島六男
入選 龍野ひろし・てふてふ・一徳斎
6点句 菊正をコツプ半分志ん生忌 (瞳人)
特選 「美濃部美津子さんの著書「志ん生の食卓」より、「菊正をこよなく愛した」と言う。珉汰
特選 菊正宗をコップ半分が、志ん生らしくて良い。みな子
特選 龍野ひろし(コメントなし)
入選 コップ半分で済むかなあ。アイビー
入選 ああ、人気落語家の忌日に日本酒を飲む。「半分」に思いの深さがあるのかもしれません。順一
入選 帰心
5点句 鳳仙花弾けて昭和百年目(帰心)
特選 昭和百年とほうせんかが日々あっていい。光雲2
特選 雅風(コメントなし)
入選 「弾けて昭和百年目」というフレーズが抜群。アイビー
入選 歴史認識ですね。1926年12月25日大正天皇崩御。即日昭和に改元されました。順一
入選 彰
5点句 老いて知ることの多くて草の花(垣内孝雄)
特選 老ひてから知るのも、余生豊かと思ふべし。彰
特選 草花のような身近な存在にも深い味わいや人生の妙を見出す境地。荒 一葉
入選 本当にそうですね。83年長生きしていますが、知らぬことばかりです。俳句を初めて、どれだけの知らぬことを知ったか。勉強させられたか、私は俳句に感謝しています。「草の花」の季語が効きましたね~。佳楓
入選 龍野ひろし・梦月
5点句 今の子の足の長さよ運動会(アイビー)
入選 そこに目が行った、うん、そうだよね。瞳人
入選 とても気持ちの良い句だと思いました。青空の下躍動する子供たちの様子が目に浮かびます。確かに今の子はスタイルがいいですよね。八千代
入選 帰心・みな子・ケン
4点句 墓石(ぼせき)には満蒙とあり秋の草(梦月)
入選 27万人もの開拓団の悲劇が蘇ります。荒 一葉
入選 戦後八十年の句。秋の草の漠然さが揚句ではなるほどと思う。珉汰
入選 そんなに整備されていない墓地に偶然見つけた墓石をイメージしました。その墓石に色々な思いを馳せている作者の立ち位置も感じさせる句だと思いました。八千代
入選 てふてふ
4点句 巽橋わたる小路や鱧茶漬(垣内孝雄)
入選 こりゃ、祇園か、鱧は高いよ、辰巳橋・浪速なら安うて食えます。瞳人
入選 固有名詞が効果的。アイビー
入選 光雲2・龍野ひろし
3点句 早朝のバスに居眠る墓参かな(八千代)
特選 遠方の「墓参」かな。垣内孝雄
入選 帰心・てふてふ
3点句 音も無く記憶剥がるるうそ寒さ(佳楓)
特選 一読した時思わず身体がぞくっとしました。老いは知らないうちに、すぐ隣に忍び寄り少しずつ私は私をなくしていくのかと。季語「うそ寒さ」絶妙です。八千代
特選 ケン(コメントなし)
入選 北村おさむ
3点句 ゑのころの風に押されてもどされて(八千代)
入選 ゑのころの景が描かれている。珉汰
入選 風のままですね。梦月
入選 帰心
3点句 空と海漕ぎ出す月の小舟かな(神島六男)
入選 月の小舟が広大な世界を進むさまが雄大。荒 一葉
入選 夜の空と海の情景が、詩情ゆたかで美しい。百代
入選 詩情豊かですね。山田渡海
3点句 濃く淡く寄せては返す秋の波(龍野ひろし)
入選 色の変化が美しい。梦月
入選 立野音思・一徳斎
3点句 坂道を上れば羊雲の群(神島六男)
入選 きつい上り坂道でしょうか。下を向いて登り切って腰を伸ば
し、仰いだ空に浮かぶ雲。情景が目に浮かびます。百代
入選 彰・一徳斎
3点句 亡き父に問うたことなし終戦日(北村おさむ)
特選 私もそうです。問えませんでした。山田渡海
入選 戦後八十年、戦地で戦った世代はほとんどいなくなりました。その方達の多くは、その体験を口にする事があまりなかった気がします。本当はもっと聴くべきではなかったのかと反省してます。八千代
入選 龍野ひろし
3点句 鳶の声ひときわ高し稲架日和(荒 一葉)
特選 米産地の景色、音も色も秋らしい。梦月
入選 たわわに実った稲田、空は澄み鳶は高舞う日本の元風景、 「ひときわ高し」の表現がこのお句を引き締めていると思いました。
日本の元風景、いつまでも続いてほしいですね。佳楓
入選 雅風
3点句 青春は銀杏落葉の並木みち(瞳人)
入選 ノスタルジーを感じます。北村おさむ
入選 彰・雅風
3点句 捨案山子空に大きな飛行船(立野音思)
入選 読者に委ねた句。垣内孝雄
入選 案山子と飛行船の取り合わせがいいですね。秋の澄んだ大空が目に浮かびます。良仙
入選 捨案山子、飛行船の取り合わせが新鮮。アイビー
2点句 ルージュ濃き朝ドラ女優カンナ燃ゆ(帰心)
入選 何か情熱的なドラマを感じさせますね。良仙
入選 「あんぱんまん」のノブさんでしょうか?ルージュ濃きとカンナ燃ゆが響き合って面白い。荒 一葉
2点句 カウベルの色なき風となりにけり(珉汰)
入選 「放牧」が終わったのかな。垣内孝雄
入選 色なき風がいいですね。ゆったりとした牧場の風景が出てます。良仙
2点句 手をつなぎ母と茅の輪を潜りたり(加藤春海)
特選 引くではなくつなぐがいいですね。年老いた母もありだし、子供の頃のお母さんの思い出もありだし。神島六男
入選 母子とも、無病息災、これいちばんをさりげなく。瞳人
2点句 静寂の並ぶ画廊や秋の雨(珉汰)
入選 パリやローマの街並みが見えます。北村おさむ
入選 山田渡海
2点句 ビル街に乱反射して秋夕焼(百代)
入選 立野音思・みな子
2点句 八月の黙祷三度重ね月(加藤春海)
入選 そうですね。八月は、「広島忌、長崎忌、敗戦忌」と三度黙祷しますね。「重ね月」という表現が、戦争にたいする苦しみ、悲しみ、怒りを訴えておられると思いました。佳楓
入選 御巣鷹の尾根事故(十二日)含めると三日毎に。彰
2点句 聴こゆのは風の囁き秋風鈴(光雲2)
特選 風の囁きが利いた風鈴が秋を感じる良い句です。一徳斎
入選 ことしは、とくに、これ、うれしき囁き。瞳人
2点句 煙草消しやをら稲刈再開す(アイビー)
入選 休憩が終わり、稲刈りが再開される。煙草の休憩が終わりました。順一
入選 雄一郎
2点句 祭馬老いて秋日を恣(ほしいまま)(アイビー)
特選 人生を思わせるようで、味わい深いですね。百代
入選 雅風
2点句 露草の紺の泪を掌に掬ふ(光雲2)
特選 句作者の心象風景が反映しているのかもしれません。順一
入選 一徳斎
2点句 信楽の歪みし皿へラ・フランス(光雲2)
入選 趣のある句。垣内孝雄
入選 みな子
2点句 名も知らぬ花に名のあり草の花(龍野ひろし)
入選 立野音思・光雲2
2点句 ついと消えついと咲きだす曼殊沙華(龍野ひろし)
入選 そうですよね。知らぬまに、道端にパッと咲いていたり、昨日迄真っ赤に燃えていたのに、今日はパッと消えていたり、人間の生死にも通じるものが有るように読ませて頂きました。佳楓
入選 光雲2
2点句 南瓜(なんきん)のお裾分け来る勝手口(荒 一葉)
特選 「勝手口」が、隣人と作者との近しさを伝えている。帰心
入選 立野音思
1点句 落日や引き込まれゆく鰯雲(立野音思)
特選 写生も調べも見事だと思いました。北村おさむ
1点句 棚経やはんにやはんにやとうたふ孫(てふてふ)
入選 般若心経の一部に感化されたのかもしれません。順一
1点句 低空の編隊飛行鯊日和(良仙)
入選 天と地の間の人の営み、大らかでいいですね。百代
1点句 薬剤に蜂はあわれに着地せり(北村おさむ)
入選 止むを得ずすることに覚える胸の痛み、共感します。百代
1点句 鯊釣や防潮堤の親子連れ(梦月)
特選 昔を思い出します。雄一郎
1点句 地おさめの開発用地に稲の花(百代)
入選 てふてふ
1点句 ポケモンの水着の吾子もまたポケモン(神島六男)
入選 みな子
1点句 姨捨の宙を深くし稲は穂に(佳楓)
入選 ケン
1点句 夕暮れに染まる里山鳴る稲穂(立野音思)
入選 雄一郎
1点句 足るを知る余生なれども蚯蚓鳴く(佳楓)
入選 ケン
1点句 杖の妻と秋風月を仰ぎけり(帰心)
入選 奥様との「安らぎ」。垣内孝雄
1点句 洛中の上ガル下ガルや地蔵盆(垣内孝雄)
入選 梦月
1点句 秋来れば一歩近づく老病死(山田渡海)
入選 雄一郎
1点句 白杖に道開く団地の宵祭(百代)
入選 山田渡海
〈俳句気まぐれエッセイ54 出会い〉 今泉 かの子
毎年行われている上州吟行会。参加すれば必ず小さな発見や感動があるのだが、今年はまた格別であった。ワカサギのフライと赤城高原の焼とうもろこし。九月も半ばというのに、こんなに甘いとうもろこしが食べられるとは!その驚きのおいしさときたら。思わぬグルメ旅ともなった、うれし楽しい今年の吟行会であった。さらに今回、全く予期せぬ出会いがあった。
赤城温泉に宿をとった二日目。マイクロバスに乗り込み、うしほ句碑を訪ねるべく、途中「赤城山総合案内所」に立ち寄った。こぢんまりとした施設で、半分は赤城山関係の展示があり、半分は売店と軽食コーナーが設けられていた。皆それぞれ、土産ものを見たり、山椒みそまんじゅうを口にしたり、自由に動いていた。中で展示の案内をする地元の女性、塩原さんがおり、何とはなしに取り囲む形となった。途中からではあるが、彼女の設置した展示にまつわる行動力に、その話しぶりに思わず聞き入ってしまった。そのうろ覚えの一端。
志賀直哉は、赤木山の白樺を愛し、それを由来として「白樺」を創刊。赤城山を舞台とした作品により得た賞金で、赤城分校に武者小路実篤ら文豪の本を寄贈した。そして、子ども達からお礼の手紙を受け取った三日後に息を引き取り、それは新聞にも掲載された。その後、同校が閉校となる際その本を譲り受け、塩原さんが「志賀直哉文庫」としてここに開設。そしてその一連を掲載した新聞記事を求め、またあちこち奔走。展示にこぎつけた。
さらに、著名な芥川龍之介には赤城山関連の本が一冊もないところから、なんとか考え、書簡に記されていた一節を展示することを思いついた。「ほんとうに佳いだらう 美しいだらう だから 僕は赤城が一等好きだって言ふんだ(後略)」この文言を一枚板に大きく墨書したらどうか。が、ヒノキの一枚板は、当時約百万円。そこでその材を提供してくれた材木会社に、その名が末代まで残るように「寄贈」の二文字を入れてはと提案。結果、本当に寄贈となって、百万のお代はチャラになった顛末等々。
彼女の逞しさは上州のまさに「かかあ天下とからっ風」パワーである。この武勇伝ともいうべき活躍はすべて「赤城山愛」のなせること。彼女云わく「『でございます』は私、いえないんですよ。『ござんす』になっちゃう。」この上州弁の話しっぷりも巧みだったのだが、つまるところそれは郷土愛、というもの。銀髪美しい御年八十六歳。胸のすくような粋な彼女に、上州人の一端をみたようで、なぜかわくわく、そして感動してしまったのだった。
白樺の赤城に秋を惜しみけり かの子
第62回ウェブ句会(2025年8月募集)
☆作者名は( )内に記述。
7点句 あるがまま生きる余生やあかのまま(荒 一葉)
特選 「あるがまま」と「ありのまま」は微妙に違うが、互いに対立するものではないとのこと。あかのままは素朴で好きな草です。彰
特選 光雲2(コメントなし)
入選 老後の達観した生き方。──龍野ひろし
入選 神から与えられた余生、どんな困難、辛苦にも負けず、頑張って生きるしか術がありませね。子供のころに戻りたい。今のわたくし。あかのまま、の季語がせつない。佳楓
入選 みさゑ・雅風・アイビー
6点句 野仏のさらの前垂れ涼新た(雅風)
特選 季語の「涼新た」がいいですね。百代
特選 人気のない山道の苔むしたお地蔵様にまで行き渡る信心。誰かの温かい心が、秋の涼しさを際立たせる、といった感じを受けました。横井あらか
入選 真っ新な赤い前垂れが清々しい。荒 一葉
入選 真っ赤な前垂れですかね。野仏も嬉しいのでは。神島六男
入選 良く観察されましたですね。野仏も新しい前垂れをしてもらい、さらに涼しくなり、畑や村人を守ってくれる事でしょうねぇ。佳楓
入選 帰心
5点句 今さらに妣の辛苦や敗戦忌(佳楓)
特選 「辛苦」の重み。垣内孝雄
入選 親世代の苦労はいかばかりであったろうかと思います。感謝しかありません。八千代
入選 帰心・彰・ケン
4点句 篝火や手縄の先にひかる鮎(八千代)
入選 「ひかる鮎」か「鮎ひかる」か悩ましい・・。北村おさむ
入選 みさゑ・雅風・一徳斎
4点句 もやもやを丸めてポイと夏の空(八千代)
入選 解ります、解ります。あ~もうめんどうくさい、成るように、なれ。ですよね。「もやもやを丸めて」素晴らしい表現です。佳楓
入選 てふてふ・彰・みな子
4点句 競馬紙を顔に被せて三尺寝(アイビー)
特選 そして、レースとなればむっくと起き上がったのかもしれません。順一
入選 見たような「景」。垣内孝雄
入選 「三尺寝」この句にピッタリの季語ですね。北村おさむ
入選 夏競馬は、むつかしいですね。瞳人
4点句 夕焼の染むる路地裏縄暖簾(立野音思)
特選 いつも目にした懐かしき路地裏。サラリーマンの憩いの場所ですね。一徳斎
入選 光雲2・雅風・ケン
3点句 カフェで飲む海の暮色のソーダ水(光雲2)
入選 ユーミンの世界に。彰
入選 すーちゃん・珉汰
3点句 火宅には風が揺さぶる古簾(光雲2)
入選 良い世の中になって欲しいですね。垣内孝雄
入選 みさゑ・すーちゃん
3点句 やうやくの深き寝息や夜の秋(立野音思)
特選 やっと眠りについたその安堵の気持ちに、その寝息を感じとる人の温かさを思いました。晩夏の季語「夜の秋」が効いています。すーちゃん
特選 赤子がようやく寝付いたと解しました お疲れ様「夜の秋」が効いてますね。北村おさむ
入選 何方かを介護されているのか、はたまた赤ちゃんでも寝かしつけているのか、色々想像しましたが、ホッとした感じが伝わりました。八千代
3点句 山裾のさびれし鉄路葛嵐(みさゑ)
入選 深い思いがつのる句。垣内孝雄
入選 季語がよく効いている。荒 一葉
入選 自然と人工物の対比が迫ります。百代
3点句 ちんちろりん男はみんな泣き虫さ(荒 一葉)
特選 珉汰(コメントなし)
入選 そうなのさ、男なんて、皆、これさ。瞳人
入選 アイビー
3点句 訊くほどに抽斗多き生身魂(雅風)
特選 博識で矍鑠とした姿、あやかりたいです。みさゑ
特選 私もボケずにこういう年寄りになりたいです。神島六男
特選 本当にそう思います。人生を長く生き、様々な経験と知識を身に付けられた立派なご長老と推察させて頂きました。「抽斗」が良かったですね。佳楓
2点句 ハフハフと暑気を払うや味噌煮込み(百代)
入選 夏こそ暑いもので暑気払い。龍野ひろし
入選 みな子
2点句 酔芙蓉灯ともしごろの厨窓(垣内孝雄)
入選 「くりや」と言う言い方に郷愁を感じます。順一
入選 光雲2
2点句 ビル街を縫ひゆく爺の麦わら帽(すーちゃん)
特選 都会のビルの間を縫うように歩いて行く麦わら帽子の爺が颯爽として見える。まるで帽子が縫って行くように。みな子
入選 帰心
2点句 古書店の名入りの袋パナマ帽(立野音思)
入選 「パナマ帽」の醸し出すお人。垣内孝雄
入選 てふてふ
2点句 旺盛な草や死を待つこがねむし(横井あらか)
特選 草の生命力と黄金虫の今際の対比が見事。「死を待つ」の措辞が胸を打つ。帰心
入選 自然に包まれて、自然に還って行くのでしょう。順一
2点句 きのふとは違ふ風の香秋立ちぬ(荒 一葉)
特選 雅風(コメントなし)
入選 光雲2
2点句 夏祓小さく見える母の背(加藤春海)
入選 年老いた母親が小さく見えるに実感。アイビー
入選 てふてふ
2点句 式典の黙祷三つ八月来(雅風)
特選 毎年8月に入ると風物詩のように報じられる式典ですが、沢山の犠牲のお陰で有る今の暮らしを壊さないためにも大事に続けたい式典だと思います。八千代
入選 珉汰
2点句 大輪の跡形もなし揚花火(龍野ひろし)
入選 打ち上げ花火の残像すら消えた真っ黒な夜空の虚無的な美しさを思いました。横井あらか
入選 あっけなさが後を引く感じが出ている。百代
2点句 ロンバケとタツローのいた夏昭和(神島六男)
入選 珉汰・ケン
2点句 雌求め喚く破戒の法師蝉(てふてふ)
入選 浄土真宗の蝉なら親鸞聖人もにっこり。横井あらか
入選 法師など名乗るからそう言われて。瞳人
2点句 朝蝉のひがなかなかな原爆忌(佳楓)
特選 ケン(コメントなし)
入選 光雲2
2点句 ほぼお湯の水を飲みけり揚羽蝶(横井あらか)
入選 わかります。やけどしないのかしら。神島六男
入選 それほどの暑さだったのかもしれません。灼熱の空気に水が、飲み水がほぼお湯に。順一
2点句 新涼や木目正しき格天井(龍野ひろし)
入選 正目の通った木目模様と新涼の対比が見事。アイビー
入選 珉汰
1点句 こんばんは影絵よろしく守宮君(山田渡海)
特選 口語体が成功。アイビー
1点句 伸ばす手にまだらな影や葡萄棚(龍野ひろし)
入選 てふてふ
1点句 立秋や最後に摘みしミニトマト(雄一郎)
入選 一徳斎
1点句 白球にかくる青春玉の汗(垣内孝雄)
入選 一徳斎
1点句 灌木に蝉爆弾を仕掛けけり(横井あらか)
入選 「蝉爆弾」の事初めて知りました。八千代
1点句 少年の尖る物言ひ今年竹(アイビー)
入選 「尖る物言い」でもすくすく伸びて欲しい少年への賛辞。季語が良い。荒 一葉
1点句 風吹きて鱗雲見ゆもうお盆(山田渡海)
特選 今夏は特別、まさにこれが実感、季二つも気にならず。瞳人
1点句 逝く夏の色の褪せたる挿し絵かな(珉汰)
入選 一徳斎
1点句 収集車うぃんうぃんと今朝の秋(八千代)
入選 みな子
1点句 昼下がり庭石やけて蝉しずか(山田渡海)
入選 真昼は暑過ぎて蝉も静かですよね。神島六男
1点句 ガーベラの三色ブーケトス空へ(神島六男)
入選 きっと赤、橙、黄の三色が、真っ白な雲の浮かぶ真っ青な夏空に向かって放物線を描いたのでしょう。カラフルで美しい光景だと思いました。横井あらか
1点句 百日紅懇意になれる医院かな(垣内孝雄)
入選 すーちゃん
1点句 白百合や果実の実る方へ行く(順一)
入選 すーちゃん
1点句 元結の切れて白星名古屋場所(すーちゃん)
特選 激闘のあと掴んだ白星。龍野ひろし
1点句 今朝秋の白さるすべり花盛り(みな子)
入選 彰
1点句 子の手にて終の入院秋晴や(雄一郎)
入選 もう出ないつもりですか、まさか。瞳人
1点句 目に見えて炎帝ゆらり四十度(北村おさむ)
入選 八千代
1点句 秋の海沖を間遠にたらひ舟(みさゑ)
入選 釣りをしていた人がいたのかもしれません。順一
1点句 ひまわりも焼けうなだるる猛暑かな(ケン)
入選 本当にそうですね。夏のシンボルのあの向日葵さえも、焼けうなだれてしまっています。道端の草や名も知らぬ小さな花も、この猛暑に打ちのめされたように、倒れていました。この暑さ、地球が燃えているようですね。佳楓
1点句 村人をまねて踊りし宿りかな(北村おさむ)
入選 雅風
1点句 丼に雲丹山盛りのてんこ盛り(神島六男)
入選 時節柄、紫雲丹でしょうか。山盛りの雲丹に重ねててんこ盛りの雲丹丼。美味しそうです。横井あらか
1点句 夕暮れのうすく色づく夏の雲(みな子)
入選 何気ない写生句に余韻を感じます。北村おさむ
1点句 幾世経し蔵に映えるや萩盛り(一徳斎)
入選 みな子
1点句 団十郎てふ朝顔は売切れに(みさゑ)
入選 帰心
1点句 蛞蝓の壁に印(しる)せる一夜の航(アイビー)
入選 子どもの頃、井戸館で見た記憶が。百代
1点句 短調の中の明るさ水中花(帰心)
入選 短調という言葉づかいに驚きました。北村おさむ
〈俳句気まぐれエッセイ53詠み手と読み手〉 今泉 かの子
新聞の切り抜きやパンフレット等、古い紙類を片づけようとして、ふと目にした俳句が気になった。俳人協会発行の新聞『俳句文学館』に掲載された一句。〈蜩や男湯にゐて女の子 小澤 實〉発行されたのは、ちょうど十年前の今月(八月)。この頃は、まだ子供の性犯罪についての危機意識が今ほど高くなかったのだろう、と思う。
つい先だって、小学校の教員らが、子どもの写真や動画を盗撮し、それをオンラインのグループで共有していた事件が発覚。しかも、地理的に随分離れた名古屋と横浜。どこでどうつながったのかと思うが、この事件の主犯格が勤めていたのは、なんと拙宅と目と鼻の先の学校だった。まだ新しい学校で、開校にあたっては地元住民へ学校名を募集する等、開かれたイメージの学校だった。事件後、もれ聞くところによると、長時間に及ぶ臨時保護者会が開かれたそうだ。保護者の評判はよかったようだが、とにかく、そんな目で子どもを見ていたとはおぞましい。
話を俳句へ戻そう。やや解釈に難しい、含みのあるこの句は、「俳句カレンダー鑑賞」として、望月とし江氏の核心をつく鑑賞文が掲載されている。以下、長くなるが引用したい。
「(中略)不特定多数の男たちのいる銭湯で、女の子は微妙な異分子だ。母親と女湯にいる男の子は多い。だが、その男の子とこの女の子は全く違う存在だ。第一次性徴の現れる前でも、女の子の肉体は男の前ではすでにエロスの匂いがするのだろうか。今は無邪気なこの身体も、すぐに無防備に男の前に晒せなくなるという事実に、胸を衝かれるからだろうか。『カナカナ』と鳴く蜩の声が切ない。何気ないほのぼのとした情景とも取れるが、すべての生き物には生きる哀しみがうっすらと纏わりつくのだ。」
男湯にいる女の子は、まだ性差のない期間限定の子。現代の状況では「何気ないほのぼのとした情景」とは素直に受け取れなくなっている。そう、十年ひと昔。この言葉そのままの穏やかならぬ視線が、現実に犯罪を引き起こしている。「すべての生き物には生きる哀しみがうっすらと纏わりつく」。ここで、望月氏の鑑賞は、時代のベールを越えた、一ステージあがった段階に昇華されている。生きものとしての肉体は、生まれたときから時間と共に変化し続ける。生まれたときから、どの命も死に向かっている。そして、いつか必ず尽き果てる。うっすらと漂う諸行無常の気配に、蜩のカナカナの美しい響きが余韻となって残る。
これぞ、と思う。詠み手と読み手の二つの手が合わさり、一つの作品世界ができあがる。これもまた、俳句のもつおもしろさの一つだと思える。
明けやらぬ枕辺へと来るカナカナカナ かの子
第61回ウェブ句会(2025年7月募集)
☆作者名は( )内に記述。
6点句 湯上りの子らの匂ひや庭花火(荒 一葉)
特選 子どものもつ健やかな明るさに、家庭の温かさが感じられ、郷愁の一句と思いました。すーちゃん
特選 親子で手花火を楽しんでいる光景が目に浮かびます。立野音思
特選 親としては花火が終わってからお風呂に入って欲しいものです。神島六男
入選 雄一郎・一徳斎・龍野ひろし
6点句 ははとこのおつむてんてんてんかふん(雅風)
特選 夏の季語「天瓜粉」を使い、平仮名17文字で表記した佳句です。梦月
特選 ひらがな表記の良さが出ている。お大事に。垣内孝雄
入選 わらべうたのひと節みたいで、目にも耳にも残りそうです。百代
入選 わらべうたみたいな味わいがいいですね。神島六男
入選 すべてかな表記にしたのが効果的。アイビー
入選 彰
6点句 甚平の猫背父似と笑ふ母(荒 一葉)
特選 私も亡父に似てきてるそうです。雄一郎
入選 ほのぼのとした句。垣内孝雄
入選 笑いつつ、母の胸の内とは……。瞳人
入選 立野音思・アイビー・かめしち
5点句 女郎蜘蛛風にもたれて糸紡ぐ(光雲2)
特選 擬人化表現に、絵本の一頁を見るような大らかな温かみを感じます。百代
入選 「風にもたれ」の措辞が巧み。アイビー
入選 帰心・八千代・雅風
5点句 レッスンの締めはタンゴや凌霄花(すーちゃん)
入選 ダンス教室での景だろう。凌霄花とタンゴは面白い。珉汰
入選 凌霄花(リョウセウクヮ) と読むのだろうが、ダンス教室をタンゴで終わる定番が面白い。梦月
入選 荒 一葉・光雲2・龍野ひろし
4点句 片白草採血あとの青き痣(すーちゃん)
入選 季語の「片白草」がいいですね。百代
入選 片白草(半夏生)が導く中七下五の景。「青き痣」と上五の関係が上手い。珉汰
入選 季語が心象風景のようで、採決あとの心象風景をよくあらわしているとおもいました。順一
入選 荒 一葉
4点句 古伊万里の色絵の香炉夏座敷(一徳斎)
特選 光雲2(コメントなし)
入選 良いご趣味ですね。垣内孝雄
入選 龍野ひろし・みさゑ
4点句 日の暮れの手持ち無沙汰を冷し酒(みさゑ)
特選 来し方、行く末、無心におもい致す、そういう静かなひと時を得て、こころ、また静かなり。瞳人
入選 一徳斎・かめしち・ケン
3点句 酒かけて井月の墓詣でけり(みさゑ)
特選 井上井月への思い。無季でシンプルではあるが、「酒かけて」に詠み手の思いが伺える。珉汰
特選 酒好きな放浪俳人の墓に酒を供える、作者の井戸月に対する思い入れが窺える。アイビー
入選 「酒かけて」の上五が凄く効いていると思いました。伊那谷を中心に、放浪とひょうはくを主題に詠むだ俳人、伊那のほかい人(こじぎ)と呼ばれた、井上井月ですね。私は最近、井月忌を知りました。佳楓
3点句 夕暮れの涼しき風や神の楠(横井あらか)
特選 なんでもないけど、夕風の涼しさが感じられる。神の楠だから、余計に。大木でしょうね。みな子
特選 三百年以上生きて来た神木だったのかもしれません。幹が太くて高い。そんな神域で涼風を感じる得難い場面だと思いました。順一
入選 自らもその景にとけ込んでゆくような心です。瞳人
3点句 青空を映し代田の広々と(みな子)
入選 気持の良い句。垣内孝雄
入選 雄一郎・雅風
3点句 裸電球点けて客待つ夜店かな(雅風)
入選 荒 一葉・立野音思・かめしち
3点句 梔子や忘れられない嘘のあり(八千代)
入選 その香がそう思わせるのです。瞳人
入選 かなり艶のある句。かって恋人と別れた理由への贖罪感。艶歌の世界に導かれる。珉汰
入選 すーちゃん
3点句 水無月や言葉どおりの年となり(龍野ひろし)
入選 今年の天候をよく捉えている。みな子
入選 今年の梅雨は短かったですね。神島六男
入選 立野音思
3点句 つるはしで道路を壊す半裸かな(雅風)
特選 映像の再現性の高い句。流れる汗も見えてくる。帰心
入選 安全の観点からか最近は半裸の土木作業員は見かけませんね。神島六男
入選 荒 一葉
3点句 ほうたるに一期一会の風の脚(佳楓)
特選 ケン(コメントなし)
入選 蛍の飛ぶ風に一期一会を想う。梦月
入選 光雲2
3点句 一生が修行ですよと鱧れうる (アイビー)
特選 鱧を捌けるまでには長年の鍛錬と経験が不可欠とか。みさゑ
入選 老料理人の呟き、名店でしょう。梦月
入選 すーちゃん
3点句 枇杷の木が目印ですと指す行く手(百代)
特選 枇杷の木を知らぬも、緑濃き葉に黄の実たわわなれば標とするに良し。彰
入選 この枇杷の木にはきっとたわわに枇杷の実がなっていただろうと、思われる。枇杷の木は季語でないようなので、残念です。木が実なら特選かな。みな子
入選 枇杷の実が実って居たと思うのですが、目印に使われた枇杷の木。行く手に何があるのかを想像させる句ですね。順一
2点句 初蝉や通りすがりの参拝者(北村おさむ)
入選 雄一郎・彰
2点句 鉄砲雨七夕竹をうち倒す(みさゑ)
入選 帰心・八千代
2点句 複勝を買えば四着ながしはえ(ケン)
入選 九州中津競馬での景か。「ながしはえ」の地方性で滑稽な上五中七の措辞を得た。珉汰
入選 「ながしはえ」とは、九州地方の梅雨の頃の南風とのこと。競馬の事は良く解りませんが、残念でしたですね。「ながしはえ」が良く効いていると思いました。佳楓
2点句 万緑を傾けさせて着陸す(アイビー)
入選 飛行機の着陸場面でしょうか。面白い表現ですね。神島六男
入選 飛行機の着陸自の状態が、良く詠まれていて、同感しました。万緑を傾けさせては景が大きいですね。佳楓
2点句 風のまま意のまま伸びし糸瓜苗(八千代)
特選 龍野ひろし(コメントなし)
入選 立野音思
2点句 驕れりと謂はれし今宵冷奴(瞳人)
入選 しょぼんとした感じが冷奴からよく伝わります。北村おさむ
入選 一徳斎
2点句 狛犬の欠けし足もと木下闇(加藤春海)
入選 狛犬の足元の木下闇に涼むです。梦月
入選 時の風化に木下闇。古刹名刹、神社など、涼風が吹いて居たのかもしれません。順一
2点句 柵外し豚一斉の大夏野(珉汰)
特選 光景が目の前に広がる気がしました。八千代
入選 勢いよく走る豚の大群が見えます。北村おさむ
2点句 禅堂の密めく闇の五月雨るる(一徳斎)
入選 龍野ひろし・すーちゃん
2点句 じゃんけんで勝って転がす竹夫人(百代)
入選 親戚の家や旅館で、子供たちや若者が楽しそうに竹夫人を取り合う光景が目に浮かびました。横井あらか
入選 光雲2
2点句 蚊帳の闇そつと伺ふ旅の月(瞳人)
特選 旅の夜の一コマ、旅の月が情景を引き出しています。一徳斎
入選 彰
2点句 逝く人を見送る眼青大将(珉汰)
入選 八千代・帰心
2点句 あぢさゐの彩にめざむる朝かな(垣内孝雄)
入選 一徳斎・光雲2
2点句 飯匙倩(ハブ)に注意墓に小さな覗き窓(佳楓)
入選 ハブに注意とは、物騒ですが、覗き窓はスコープ付きだったのかもしれません。順一
入選 ケン
2点句 押し切れず募る思ひや心太(立野音思)
特選 かめしち(コメントなし)
入選 みさゑ
2点句 きゃくきゃくと急かせるごとく雨蛙(加藤春海)
入選 きゃくきゃくが良い。みな子
入選 ケロケロでもゲロゲロでもなく、「お客さんだよ! お客さんが来るよ、早く早く!」と鳴いている雨蛙。親切にもお節介にも思えてユニークですね。横井あらか
2点句 瀬戸内を行き交ふ船や夏座敷(立野音思)
入選 ふるさとでしょうか。旅先でしょうか。風も、有るか無いか分からないが、海の匂いを感じます。百代
入選 夏座敷との取り合わせが絶妙。北村おさむ
2点句 湿布薬貼り合う余生浮いてこい(佳楓)
入選 すーちゃん・ケン
1点句 渾身の監獄ロックサマーフェス(神島六男)
特選 雅風(コメントなし)
1点句 また決めの甘さ突かれて心太(荒 一葉)
入選 ピタッと決めたいものと心太の取り合わせ、粋ですね。百代
1点句 母の家いとゆるぎなき柿の花(垣内孝雄)
入選 悠然と大きく広がりゆく柿の木です。瞳人
1点句 夏休み孫の化粧に言葉なく(雄一郎)
入選 うん、わかるわかる。北村おさむ
1点句 曇空晴雨兼用傘準備(横井あらか)
入選 雅風
1点句 炎天に濡るる背中の若さかな(てふてふ)
入選 八千代
1点句 熱帯夜立ちし刹那にくらみけり(雄一郎)
入選 彰
1点句 盛り塩を蠅取リボン客を待つ(かめしち)
入選 いやみではありません、女将の心はもっと純ですよ。瞳人
1点句 夏空や四番が放つ満塁弾(神島六男)
入選 アイビー
1点句 遥かなる故郷(くに)のかたさま雲の峰(垣内孝雄)
入選 かめしち
1点句 たかんなの採って描いて食すかな(加藤春海)
入選 帰心
1点句 遠雷がやがて雨呼びお茶を飲む(順一)
入選 天空の大自然から雨宿りの喫茶店へ、客の手元へ。視点の移り変わりが鮮やかだと思いました。横井あらか
1点句 胸はだけ男浴衣に風を入れ(龍野ひろし)
入選 ケン
1点句 取り分けし蛸の酢の物半夏生(帰心)
入選 さどかし美味しかろう。垣内孝雄
1点句 幾代経し大き杉玉土間涼し(一徳斎)
入選 みさゑ
1点句 焼酎や九州男児のぼつけもん (アイビー)
入選 「ぼっけもん」と言う言葉を初めて知りました。鹿児島の方言で、大胆、怖いもの知らず、とのこと。男らしくて、いいですね。焼酎がよ~く効きましたね。佳楓
1点句 女子寮や七夕竹の願ひごと(帰心)
入選 色とりどりの短冊に書かれた願いごとには、きっと切ないほどの恋心が込められているのでしょう。横井あらか
1点句 昼寝覚め蛍雪時代を魘されて(瞳人)
入選 雄一郎
1点句 この溽暑なげく阿修羅の憂ひ貌(光雲2)
特選 阿修羅でも憂うようなこの暑さは実感。荒 一葉
1点句 老鶯の澄みゆく声や鮎の川(ケン)
入選 老鶯だけでいいと思う。澄みゆくがいい。みな子
1点句 積まれたる袋の砂利の煮える夏(すーちゃん)
特選 真夏の太陽に熱された砂利の袋から、じりじりと熱気が伝わってくるようです。水害対策の土嚢でしょうか。炎天下の過酷な状況がリアルに感じられます。横井あらか
1点句 五十余年を一冊として三尺寝(八千代)
特選 昔は人生五十年、と言われていましたが、今は、人生百年です。その半分の五十年にまずは区切りをつけて、うとうとまどろんでおられる作者。羨ましい限りです。佳楓
〈俳句気まぐれエッセイ52俳句講座〉 今泉 かの子
今月、七月二十六日、今年の夏季俳句指導講座(俳人協会主催)が無事終了した。この講座は、俳句の裾野を広げるべく、教室で子ども達に俳句指導をする教員やボランティアの方を対象とした講座である。
今年の出席者は十七名。この数は多いか、少ないか。
夏休み中の土曜、先生方にとってはお休みの日である。参加費は九百円。比較的安価とはいいながら、この猛暑のなか、刈谷まで出かけていく元気と、交通費等も含め自腹を切っての参加である。つまり、学びたい、何か指導の手がかりを得たいという自発的な気持ちの表れた数。立派な数。十七。因みに昨年は十六。
がしかし、講座案内を発送した愛知県下の小中高、盲聾等合わせて約千六百校。千六百分の十七。この数からすれば、断然少ない。郵送の手間や費用対効果も考えるとやはり少ないと言わざるを得ない。が、簡単に分母の数を減らすわけにいかない。参加にあたっては、郵送された案内を見て、という先生が一番多いのだ。
いかに参加者を増やすかについては、今までもずっと話し合い、腐心してきた。参加者の数の安定を図るには、たとえば「教職〇年目研修」の一環としてこの講座が位置づけられればと、勝手に考えたりもするが…。(ちょっと無理な話か)
講座終了後の参加者には、毎回アンケートに答えてもらっている。それを見る限り、今年は午後の句会も含め、全員が「参考になった」と回答。実際、実践報告も講演もわかりやすく、明日から授業に生かせそうな資料も惜しみなく用意されていた。講演された林謙二氏の話の中でも印象深かった「選句はセンス」。これは生徒らの選句の姿勢に関わる魔法の言葉だった。また指導法以外にも、俳人の方々の話も紹介され、俳句の韻律について、四拍子のリズムをとったり、「クリスマスツリー」を一単語として続けて読んで、上や下の五音としておさめるなど、バラエティーに富んだ内容であった。
裏方としてこの講座に関わって二十数年。下働きとして、各学校への発送や申し込み受付などをやってきたが、自分の年齢からして、次の担い手へ手渡す時期にさしかかっている。伝統産業ではないが、
まずは後継者さがしだ。「時が来たら誇りをもって脇にどけ。」は、樹木希林(の母?)の言葉。誇りはなくとも、脇にどくくらいの弁えは、もっていたい。
鼻筋のとほる「れ」の字の涼しさよ かの子
第60回ウェブ句会(2025年6月募集)
☆作者名は( )内に記述。
8点句 無位無冠悠々自適牛蛙(荒 一葉)
特選 実に面白い句です。もしや自分を牛蛙に例えてかなと思いました。悠々自適が引き立ちます。一徳斎
特選 風貌といい、貫禄といいまさに牛蛙。作者自身の投影も。アイビー
特選 水草の茂る河川や池沼・湿地などに生息する体長15㎝ほどで、牛のような声で鳴く蛙。食用になるので食用蛙とも呼ばれる。牛蛙の様を漢字の羅列で詠んだところを買う。梦月
入選 どこにも属さず、誰にも縛られず、それでも堂々と生きている感じ。想像してみて納得感がありました。横井あらか
入選 牛蛙のあの、何物にも動じない形相。十七文字全て漢字にて表現されました。ぐらつかない一句に仕立てられました。上手いですね~。佳楓
入選 みな子・みさゑ・立野音思
5点句 油絵の太きひと筆夏の川(帰心)
入選 夏の川の質量を描く。梦月
入選 夏の力強さを感じました。北村おさむ
入選 一徳斎・立野音思・順一
5点句 千枚の棚田の闇へ蛍舞ふ(光雲2)
入選 静けさと美しさが同居する、日本の原風景が目に浮かびます。まさに絵画のようです。横井あらか
入選 能登白米千枚田か。梦月
入選 一徳斎・ケン・アイビー
4点句 枝折戸の朽ちゐるままに五月雨るる(一徳斎)
入選 「景」が浮かぶ。垣内孝雄
入選 五月雨のジメジメ感がある。梦月
入選 龍野ひろし・光雲2
4点句 山百合の咲ける那須路の出湯かな(垣内孝雄)
入選 日本らしい風景が目に浮かびます。神島六男
入選 スローライフ いいですね。北村おさむ
入選 一徳斎・雄一郎
4点句 梅雨の月鋸(のこぎり)屋根に引っかかる(彰)
特選 鋸の歯のような屋根のシルエットと梅雨の夜空に上がる月。どこの工場だろうか、鋸屋根がもつ郷愁を感じさせながら、三角と丸の形の取り合わせもまた面白い。すーちゃん
入選 鋸屋根は織物工場。月が屋根に引っかかるとは言い得て妙。アイビー
入選 俳味を感じます。百代
入選 鋸屋根なる屋根を私は初めてしりました。かすかに霞んだ梅雨の月が三角屋根に引っ掛かったように作者には見えたのですね。良く観察されましたですね。いいですね。佳楓
4点句 活〆や皮いち枚の鱧の首(ケン)
特選 写生が効いている。龍野ひろし
特選 グルメを標榜することの残酷さ、命を頂くと言う気持ちを忘れないようにと思います。八千代
入選 「皮いち枚」の表現が何とも我が身を斬られる思いがしました。上手いですね。佳楓
入選 立野音思
3点句 千代倉の法被涼しや揚羽紋(すーちゃん)
特選 完成度の高い句だと思いました。北村おさむ
入選 句として読める。垣内孝雄
入選 てふてふ
3点句 田植機を操る若き異邦人(百代)
特選 かめしち(コメントなし)
入選 農家も人手不足ですからね。神島六男
入選 彰
3点句 夏蜜柑育てる父の力こぶ(神島六男)
特選 「夏蜜柑」と「力こぶ」の取り合わせが新鮮。形状が響きあう。帰心
入選 長い間果樹園で働いたお父様の逞しさ、それを見る作者の眼差しの優しさを感じます。何時迄も元気であって欲しいと言う祈りも。八千代
入選 てふてふ
3点句 登校の列のまぶしき夏帽子(加藤春海)
入選 元気な黄色い帽子が見えました。北村おさむ
入選 龍野ひろし・かめしち
3点句 来ぬ人を梅雨の蕎麦屋の手酌かな(瞳人)
入選 梅雨の蕎麦屋で人を待つ手酌が絵になる。荒 一葉
入選 光雲2・珉汰
3点句 つちかへる園生の牡丹終の家(垣内孝雄)
特選 終の家と牡丹の取り合わせに惹かれました。百代
入選 雄一郎・すーちゃん
3点句 山ほどの新じゃが友は惜しげなく(帰心)
入選 瞳人・かめしち・門司侑里
3点句 慰霊の日の経にしみ入る蝉時雨(佳楓)
入選 一徳斎・ケン・門司侑里
3点句 刺身よしたたきなほよし初鰹(みさゑ)
特選 共感出来ました。「よし」の畳みかけるような表現が効いているような気がします。順一
入選 待ち望んでいた初鰹へのラブコール。荒 一葉
入選 美味しそう^_^。食いしん坊の私には見逃せない一句でした。八千代
3点句 十時には閉まるコンビニ蛸を干す(アイビー)
入選 田舎の方の、コンビニとは名ばかりの雑貨屋で、干された蛸をめぐる店主と旅人との会話……といった、紀行番組のワンシーンみたいな光景が浮かびました。横井あらか
入選 海辺近くの街のコンビニ。蛸を干しているのは、主が漁師でお店に自家製の干物を並べるのかもと。早朝仕事に閉店時間も早々と。八千代
入選 すーちゃん
3点句 総立ちの汗の笑顔やホームラン(荒 一葉)
特選 球場の「にぎわい」が伺える。垣内孝雄
入選 雄一郎・順一
3点句 塩粥の淡き匂ひや夏めきぬ(一徳斎)
入選 塩粥の香りに夏を感じたのが手柄。荒 一葉
入選 ほぼ炊きたての飯の香りと同じ、初夏のフローラルな香りです。梦月
入選 立野音思
3点句 梅の実のぽとりと犬の鼻つ先(みさゑ)
入選 驚く犬の顔が目に浮かびます。百代
入選 瞳人・彰
3点句 ゴルファーの水切ショトや雲の峰(ケン)
特選 難しいショットも決まって気持の良い句、季語が物語っています。みさゑ
入選 アイビー・順一
2点句 衣替へ遂に使はぬ春コート(てふてふ)
入選 帰心・雄一郎
2点句 仙人掌や気に病む棘のある言葉(光雲2)
特選 立野音思(コメントなし)
入選 目に見えない棘は浅く広く胸に刺さり消えない傷を作るのかもしれませんね。八千代
2点句 何者になることもなく額の花(八千代)
入選 てふてふ・かめしち
2点句 大空に山藤高く峠茶屋(梦月)
入選 旅先で茶屋に着き、まずはあたりを眺めて一句というところでしょうか。百代
入選 光雲2
2点句 紫陽花や昭和百年佃島(かめしち)
入選 光雲2・みさゑ
2点句 あじさゐや施設の兄はゆつくりと(八千代)
特選 珉汰(コメントなし)
入選 てふてふ
2点句 幼犬に傘差し掛くる夕立かな(龍野ひろし)
特選 優しさが滲み出てていいですね。神島六男
入選 彰
2点句 踏み入りて出口を失くす花野かな(佳楓)
特選 花野の景から生き様を忍ばせた佳句。荒 一葉
特選 ケン(コメントなし)
2点句 甚平着る顔を堅固につくろひて(瞳人)
特選 一日の仕事も終えて、甚平に着替えたすがすがしさ、すこやかな顔つきの様子を、俳味を持って表現されましたですね。上手いなぁ!と思いました。佳楓
入選 かめしち
2点句 荒海の飛魚(とび)は帆先の道しるべ(ケン)
特選 光雲2(コメントなし)
入選 帰心
2点句 曲がりたる胡瓜光りて裏庭に(雄一郎)
入選 形が悪くても美味しい。神島六男
入選 みな子
2点句 首に背にところかまわず天花粉(門司侑里)
特選 今でも覚えてゐる自分の赤子の頃の思ひ出のひとつ。彰
入選 昭和時代の色褪せた写真に写る赤ちゃん。懐かしく愛おしい情景を連想しました。横井あらか
2点句 玉響の日差しを恋ふる梅雨の蝶(光雲2)
入選 みさゑ・すーちゃん
2点句 脱衣場の角の自販機青葉冷え(珉汰)
特選 私も銭湯育ちだ。私の子供のころには自販機などなかったが。あったら、気になっていたと思う。いかにも角にありそうだ。青葉冷えが、効いていると思う。みな子
入選 龍野ひろし
2点句 炎天や動く気もせず死んだふり(雄一郎)
入選 すーちゃん・ケン
2点句 誰にでも心折れる日桜桃忌(荒 一葉)
特選 門司侑里(コメントなし)
入選 太宰治三十八歳、六月十九日、玉川に入水、四度目の自殺未遂とのこと。誰にでも心折れそうになる日はありますよね。私も琵琶湖に身を投げようと船に乗った昔があります。ジーンときました。佳楓
1点句 小満や仁王も目尻ゆるむべし(北村おさむ)
入選 龍野ひろし
1点句 白き雲渡る代田や水車小屋(立野音思)
入選 景が見える。荒 一葉
1点句 早苗田に立つ地震(ない)の地のカメラマン(佳楓)
入選 ケン
1点句 雲の峰ここはテキサスアラモの砦(瞳人)
入選 珉汰
1点句 噴水で待ち合わせして美術展(帰心)
入選 さもありなん。垣内孝雄
1点句 乗り換えの時一服のラムネかな(加藤春海)
入選 彰
1点句 俯かずスマホを向けよ麦の秋(北村おさむ)
入選 みな子
1点句 浮いてゐるたのしさ風の蕗の原(すーちゃん)
入選 順一
1点句 禅苑を巡る晩鶯のしきりなる(一徳斎)
入選 門司侑里
1点句 夏鴨の着水の田に空の色(順一)
入選 みな子
1点句 取出して今年は着やう海水着(梦月)
特選 同感です。もう一度海に行きたいと私も思ってます。雄一郎
1点句 夏の夜手を引かれつつ隠し事(雄一郎)
入選 帰心
1点句 名を聞けばいかにも蛍ぶくろかな(アイビー)
入選 門司侑里
1点句 こち亀を全巻どどん夏休み(神島六男)
特選 夏休み四十日として、一日五冊で読破! 想像しただけで大変そうですが、頑張ってくださいw。横井あらか
1点句 余技をもて文名上げし傘雨の忌 (アイビー)
入選 瞳人
1点句 卯波かな高みをめざす夢追ひて(珉汰)
入選 アイビー
1点句 馥郁と木香薔薇のアーチかな(みさゑ)
入選 帰心
1点句 夏燕高ければ今日寺参り(彰)
入選 不思議な因果を感じました。北村おさむ
1点句 琉金の尾鰭ひらひら吹き流し(龍野ひろし)
入選 視点が面白い。垣内孝雄
1点句 寝転べば鼻腔くすぐるクローバー(神島六男)
入選 草むす地面に実際に寝転んだことは無いが、こんなこともありかなと。百代
〈俳句気まぐれエッセイ51 映画〉 今泉 かの子
映画を観に映画館へ行ったのは、いつだったか。今はほとんど複数のスクリーンを持つシネコン(シネマコンプレックス)である。そこでは、映画だけでなく舞台公演も上映されている。大スクリーンによるシネマ歌舞伎の迫力は以前触れたが、オペラもすごい。わずか数週間前にニューヨークのメトロポリタン歌劇場で上演された演目が、日本全国、日本語の字幕付きで観られるのだ。オペラなどには縁のなかった私だが、これがまたおもしろい。「トスカ」のドラマティックな展開、「フィガロの結婚」のスピード感等々。世界一豪華な劇場で上演された、総合芸術オペラの醍醐味を味わえる。とはちょっと大げさか。本場より少々薄味。でも充分おいしい。また、ライブ公演の上映も然り。中島みゆきの「歌会」などは大好評、大感動だったらしい。そういう私めも、恥ずかしながら推しのライブ上映には数回足を運んだ。そこで出会った女の子からシールを貰ったり、同年代の女性とは、その後お茶までした。スクリーンを通してではあるが、さながらライブ会場のような連帯感だった。
が、しかし、つい数日前(六月中旬)本当の映画を観た。映画館で観てこそ!という宣伝に、その気になってしまった。百年に一度の呼び声も高い作品「国宝」である。観た日から二日間くらい、心が囚われていた。美しさの余韻なのか、突き詰める魂の凄みに当てられたのか。約三時間の長さを感じさせない、緩急ありつつのめくるめく展開だった。あらすじをひと言でいえば、極道の出自をもつ少年が、歌舞伎の道を極め「国宝」となるまでを描いた一代記である。そこに裏となり表となって関わるのが、横浜流星演じる、同年の正統な跡取り。血筋か、才能か。「かけた時間も熱量も桁違い」と主演吉沢亮のいう通り、美しくもむごい極上の作品であった。
一方、全く個人的レベルで、半世紀経た今も記憶に残る、懐かしい映画がある。それは、初めて友だちと観た「愛と死をみつめて」。二人とも大号泣だった。小学生だった私たちは、ハンカチはもちろん、服の端?マフラー?やらで涙をぬぐって、ぐしょぐしょにした。なぜ二人だけだったのか、友達の家が映画館をもっていたからか、その辺りのことはもう忘れてしまった。が、主題歌の♪まこ、甘えてばかりでごめんね~このフレーズは、その後二人の間で、折に触れ登場した。そしてその度に大笑いした。「お涙頂戴」もの上等である。
新しいものに出合い受け取った感動と同じように、懐かしさもまた、時間が育んでくれる穏やかな感動のように思う。
梅雨晴れ間すぐ泣く少女すぐ笑ふ かの子
第59回ウェブ句会(2025年5月募集)
★特選コメントは百字以内で必須、入選コメントは自由。
★作者名は( )内に記述
8点句 少年に薄き口髭夏に入る(荒 一葉)
特選 子供の成長過程で中高生ぐらいの思春期ですね。みさゑ
特選 成長期の男の子、夏に一段と逞しくなる。梦月
特選 思春期の少年と夏の取り合わせが見事。アイビー
特選 ついこの前まで子供だと思っていた孫の口元にうっすらと伸びた髭を見た時の気持ちを思いだした。八千代
特選 珉汰(コメントなし)
入選 青春時代の始まりですね。恋をして、変声期となり、少年にとって大好きな夏がきました。口髭に大人の匂いを感じとりました。佳楓
入選 龍野ひろし・帰心
8点句 被写体の妻は臨月さくら咲く(北村おさむ)
特選 出産を待ちわびる夫の気持ちが桜に投影されている。雅風
特選 いい記念になりますよね。僕も臨月の妻の写真、撮っておけばよかった。神島六男
特選 子の誕生に向けて気持ちが高まる様子をうまく捉えている。立野音思
入選 微笑ましき写真、さくら咲くが効いている。荒 一葉
入選 五十年前を思い出します。雄一郎
入選 龍野ひろし・帰心・八千代
6点句 遠州に大凧うなる五月来ぬ(瞳人)
入選 季重なりでも良いよいものは良い。アイビー
入選 大凧が空いっぱいに上がっている様子がわかる。その音のうなりも。五月らしい。みな子
入選 雅風・光雲2・みさゑ・ケン
5点句 春風や野球少年父となる(神島六男)
特選 爽やかさを感じる句。龍野ひろし
入選 目出度いことですね。垣内孝雄
入選 珉汰・北村おさむ・てふてふ
5点句 キラキラと苔食む鮎や解禁日(ケン)
特選 解禁日の鮎、踊る魚に釣り人の心も踊る。荒 一葉
入選 解禁日の川の様子が、「キラキラと苔食む鮎」に詠まれていて、夏川の爽やかな涼しげな川底の石迄透けて見えそうです。佳楓
入選 雅風・帰心・一徳斎
5点句 葉桜や今が棄て時写真帳(百代)
特選 私もぼちぼち断捨離を。雄一郎
入選 北村おさむ・てふてふ・八千代・かめしち
4点句 若楓メビウスの輪のモニュメント(帰心)
入選 「メビウスの輪」は、始まりも終わりもない一続きの形状から永遠や無限を象徴します。 初夏の楓の若葉の美しさも格別です。梦月
入選 メビウスの輪というなめらかではっとするものに小さなわか楓の若緑がよく映える。みな子
入選 珉汰・順一
4点句 酒蔵の煉瓦煙突風五月(龍野ひろし)
特選 季語が良いです。垣内孝雄
入選 みさゑ・彰・アイビー
4点句 朝市の競り声高し初鰹(立野音思)
入選 初鰹の競りはさぞかし賑やかなことでしょう。荒 一葉
入選 美味しいですね。垣内孝雄
入選 初鰹となると競り人もひときわ気合いを入れます。梦月
入選 かめしち
4点句 どの鍵も合はぬ鍵穴青葉闇(すーちゃん)
入選 季語が動かない。荒 一葉
入選 鍵が合えば秘密の花園に続く扉が開くのだろうな、と少しわくわくしました。横井あらか
入選 珉汰・みさゑ
4点句 夏場所や郷土力士の勝ち名乗り(かめしち)
特選 勝っても負けても 郷土力士を応援していますから勝ち名乗りはうれしいです。加藤春海
入選 応援しますよね。垣内孝雄
入選 昇進がかかっている場所ともなると、声援にもより力が入ります。神島六男
入選 門司侑里
3点句 ラーメンは大盛が良し夏燕(順一)
特選 断定の潔さ、大盛りの食欲が夏ツバメの飛ぶ勢いの良さに繋がっている。すーちゃん
入選 燕さんも体力付けてね。垣内孝雄
入選 門司侑里
3点句 開け放つ学び舎の窓初夏の風(立野音思)
特選 教室から窓を開ければ初夏の風に伴い同級生のざわめきが聞こえて来るようです。ただ下五を「風は初夏」とすれば如何でしょうか、より風が生き爽やかさが感じられると思いました。一徳斎
入選 木造平屋の校舎、窓ガラスは歪んでたりして。彰
入選 最近は虫が入ってくるのを嫌がる子が多いので、なかなか窓を開けっ放しにはできないみたいですね。神島六男
3点句 釣瓶井戸十薬の白際立ちぬ(みさゑ)
入選 釣瓶井戸という古き良きものに十薬という強くしたたかなもの、それでいて白く美しいものを配している。みな子
入選 個人的に、子どもの頃の鮮烈な記憶そのものです。百代
入選 光雲2
3点句 真面目でも敬語カタコト新社員(門司侑里)
特選 その硬さに注目度が集まっているのかもしれません。順一
入選 親が敬語など使わねば、しゃあないよね。瞳人
入選 カタコトが片仮名なのがいいですね。雰囲気出てます。神島六男
3点句 万葉の道に青梅如意輪寺(垣内孝雄)
入選 吉野宮滝万葉の道は、五月上旬にふさわしいハイキングコースです。梦月
入選 初夏の如意輪寺に青梅を配したところになんとも言えない味がある。アイビー
入選 季語の青梅が瑞々しく時を繋いでいるようです。百代
3点句 ゴンドラはいま新緑へ急降下(龍野ひろし)
特選 勢いがある。ゴンドラの動きにスピードが感じられる。みな子
入選 下りに入ったロープウェイ、眼下に広がる緑の中に吸い込まれていく感覚をうまく捉えている。立野音思
入選 頂上からゴンドラが下って行く景と読ませて頂きました。「新緑へ急降下」新緑の中に今まさに作者は、全身を沈めるのですね。羨ましい限りです。佳楓
3点句 聖五月命ふるはせ泣くやや児(佳楓)
特選 ケン(コメントなし)
入選 まさに、命を感じさせます。瞳人
入選 光雲2
3点句 軽トラの移動スーパー村薄暑(荒 一葉)
入選 年寄りには移動スーパー、助かります。神島六男
入選 帰心・かめしち
3点句 ゼンマイの切れし玩具や夕薄暑(龍野ひろし)
入選 玩具が動かなくなってしまったことを通じでうまく哀しい気持ちを詠んでいる。立野音思
入選 珉汰・てふてふ
3点句 キッチンの窓全開に夏は来ぬ(百代)
特選 しばらくは自然の風が快いお勝手ですね。彰
入選 「窓を開け光や風に夏の到来を感じた」という様子がをまく表現している。立野音思
入選 窓全開が良い。みな子
3点句 藏河岸の雨気を切り裂く初燕(アイビー)
特選 鮮やかです。百代
特選 光雲2(コメントなし)
入選 ケン
2点句 丑三つやアサリも聞くか深夜便(加藤春海)
入選 喰われる前に、やつも楽しんでいるのかなあ。瞳人
入選 門司侑里
2点句 巣作りに燕の迷ふシャッター街(ケン)
入選 シャッター街の増えて行く昨今、燕の巣作りも一苦労でしょうね。最近は、鳩も雀も海鵜も数が少なくなって来たように思えます。堀川運河の海鵜の大遡上が少なくなってきました。佳楓
入選 光雲2
2点句 新緑や鼓動を刻むひのひかり(立野音思)
入選 彰・八千代
2点句 初夏の海球児ざこねの二等室(一徳斎)
入選 すーちゃん・八千代
2点句 風纏ひ若やぐ肌や更衣(荒 一葉)
入選 彰・一徳斎
2点句 辻馬車の鈴りんりんと夏めきぬ(一徳斎)
入選 軽快な鈴音、いかにも夏らしい。アイビー
入選 すーちゃん
2点句 花菜風襷リレーの殿(しんがり)へ(光雲2)
特選 「花菜風」の措辞から、どのリレー選手にも声援を送る作者の温かい眼差しが感じられる。帰心
入選 すーちゃん
2点句 豆腐屋のラッパ過ぎ行く夕薄暑(雅風)
入選 下町の風景が見える。季語もよい。──荒 一葉
入選 龍野ひろし
2点句 ペディキュアとアンクレットの夏の人(神島六男)
特選 一読して「涼しげだなぁ」と感嘆しました。横井あらか
入選 そろそろ素足で歩く季節ですね。雄一郎
2点句 大病を機に酒やめて草の餅(アイビー)
特選 そういう達観というのが貴重です。瞳人
入選 禁酒したら甘いものが楽しみですよね。雄一郎
2点句 卯波立つ浜をなだめる浜甚句(かめしち)
入選 宮城の「からりこ節」が似合いそうです。梦月
入選 雅風
2点句 渋滞へ割込み御免つばくらめ(梦月)
特選 まさかまさか、燕が渋滞に割り込んで来るとは、意表を突く表現に思わず笑ってしまいました。 失礼しました。「割り込み御免」スッキリ、ハッキリ、ドッキリ、の表現が大好きです。佳楓
入選 ゴールデンウィークの渋滞中ですかね? 「おのれツバメばっかりすいすいと……!」と恨みつらみが溜まりそうw横井あらか
2点句 大空へ伸びに伸びたり新樹光(八千代)
入選 かめしち・順一
1点句 まだ嫁が来ぬか端午のほーほけきょ(横井あらか)
入選 てふてふ
1点句 足跡やゴジラ上陸春の浜(門司侑里)
入選 発想がユニーク。立野音思
1点句 古戦場跡のほうたる生臭く(佳楓)
入選 ケン
1点句 梅雨晴間物干し竿にそよそよぐ(垣内孝雄)
入選 一徳斎
1点句 母の日や施設の母に読み聞かせ(雅風)
特選 門司侑里(コメントなし)
1点句 お喋りのあい間をふつと若葉風.(八千代)
入選 龍野ひろし
1点句 蔓ばらの風に抗ふ五、六輪(梦月)
入選 一徳斎
1点句 春暁や牛乳ビンに起こされて(加藤春海)
入選 北村おさむ
1点句 春深し畳匂へる里帰り(てふてふ)
入選 順一
1点句 尺取虫(しゃくとり)にも毛虫にも好かれ水戸を行く(みな子)
入選 「ぼくらはみんな生きている」感が温かい。百代
1点句 水脈蹴って風切る海鵜のタンゴかな(佳楓)
入選 ケン
1点句 砂時計天地返せば夏立てり(アイビー)
特選 かめしち(コメントなし)
1点句 禁猟区レンズの奥の翡翠の矢(雄一郎)
入選 禁猟区なのに矢? とだいぶ長いこと考えて、ようやくカメラか双眼鏡で漁獲中のカワセミを見ているのだと気づきました。ヒスイの矢、なるほど。横井あらか
1点句 怪獣の棲まふ園庭百合の花(梦月)
入選 北村おさむ
1点句 聴かせてよ命の鼓動緋の牡丹(光雲2)
入選 順一
1点句 花衣をとめ心はとこしへに(北村おさむ)
入選 雅風
1点句 涼しげにユニ着こなしてカープ女子(神島六男)
入選 門司侑里
1点句 朝桜大道芸人準備中(横井あらか)
入選 すーちゃん
1点句 まくなぎのうはさを避けてまはり道(すーちゃん)
入選 「まくなぎ」が「噂」の比喩として迫ります。百代
1点句 母の日や百四歳の三回忌(かめしち)
入選 どんなに元気で長生きしたにせよ、もっと元気で長生きしてほしかったと思うのだろうなぁ。横井あらか
1点句 目覚むれば明けの明星さえかえる(加藤春海)
入選 明けやすしだなあ。瞳人
〈俳句気まぐれエッセイ㊿ 猫の話⑦〉 今泉 かの子
我が家の愛猫オリーブに、またしても「狩り」の本能が目覚めた。先だってのこと。ふと外に目をやると、何か黒いものを口にくわえて、悠々とこちらに歩いてくるオリーブを発見。思わず絶叫した。絶対に家の中に持ち込ませてはいけない。瞬時に判断、猫の出入り口をふさぎ、サッシに鍵をかけ、夫を外へ追い出した。夫に見せたくて、褒めて貰いたくて、見せに来ている。それが猫の習性とはわかっていても、強者の姿にはついていけない。今度の弱者は、馴染みのあるヒヨドリ。あわれ鵯、まだきれいな姿だったそうだが、そのまま静かに土に埋められた。しかし鵯まで獲るとは…恐るべし。
そんな逞しいオリーブの様子が急におかしくなった。隣の畑で、ご近所さん等と立ち話をしていたときのこと。さっき、ビニルハウスの隅で用を足したと思ったら、また離れた所でおしっこをしている。家の内と外を自由に出入りし、好きなように動いているので気づかないでいたのだが、いつからこんなに頻尿になったのか、どこか体調が悪いのではと危惧していたら、それが決定的になった。排泄はほとんど外で済ませることが多いが、一応家の中にも猫用トイレは備えてある。その排尿用の猫砂が微妙にピンクがかっている。よく見ると赤いところもある。尿に血がまじっているのだ。
そういえば以前にも似たことがあって、そのときはあわてて医者に駆け込んだ。結局のところ、食事療法が最良の方法らしかった。エサ代も、まあそれなりにかかることになった。かくして今回も、栄養バランスを考え尿路結石をケアするエサに、即切り替えた。きっとあまりおいしくないだろう、しかし体には良いエサになり、当分の間、おやつのチュールやカニかま(ネコ用)も、もちろんおあずけとなった。程なく、尿の回数も減り、毛並みもそれなりに戻って元気に動き回るようになった。
以前、縄張り争いをした近所のトラも、急に元気がなくなったときがあった。兄弟として同じDNAをもつトラも、尿関係の不調、トラブルが原因だったらしい。もうすっかり復活し、耳の一部を噛まれるような激しいバトルを(ハクビシンと?)したとか。今は、室内飼いの血統書つきの猫に恋しているそうだ。深窓の令嬢を呼ぶように鳴く、トラのかなわぬ恋。気持ちとしては、ちょっと応援してやりたい。
一般的に、ネコは高齢になれば腎臓病になりやすいと聞く。オリーブはまだ5才。が、年とともに罹患の可能性は大きくなる。猫も人も年を重ね老いてゆく。皆、自然のならいのままに。
大いなるひひらぎ丸き落葉かな かの子
第58回ウェブ句会(2025年4月募集)
★特選コメントは百字以内で必須、入選コメントは自由。
★作者名は( )内に記述
7点句 ポニーテール結び目少し上げて春(神島六男)
入選 春らしい句。垣内孝雄
入選 弾むリズムに春への期待を感じます。何かいい事がありそう。八千代
入選 「少し上げ」の措辞に春の気分高揚が感じられる。荒 一葉
入選 襟足に春風を受け元気活発・爽やかに、ハイポニーテール。梦月
入選 春の気分がよく出ている。ちょっとのことで、気分があげられる。みな子
入選 北村おさむ・彰
6点句 艶めける春灯淡し神楽坂(みさゑ)
特選 光雲2(コメントなし)
特選 龍野ひろし(コメントなし)
入選 春の夜の神楽坂が目に浮かびます。神島六男
入選 一徳斎・雅風・ケン
6点句 桜貝集めて吾子の宝箱(神島六男)
特選 子供を慈しんでいる親の優しい眼差しを感じさせる句です。立野音思
入選 微笑ましい句。垣内孝雄
入選 光雲2・龍野ひろし・雅風・てふてふ
6点句 来年もここでこの花このひとと(彰)
特選 全く同感です。明日が当たり前でなくなった今だからこその思いです。八千代
特選 一病を抱える爺の心を見事に表現されてます。雄一郎
特選 かめしち(コメントなし)
入選 恙ないことが一番、意味深い内容をやさしく表現して成功。荒 一葉
入選 「こ」の繰り返しがいいなと思いました。「このひと」が誰か次第で印象が大きく変わりますよね。老いらくの秘めたる片想いに一票。「花」と恋の儚さが響き合い、「来年」の重みが増すので。横井あらか
入選 すーちゃん
5点句 春疾風小麦畑をさざなみに(八千代)
入選 春になりあたたかくなってきた風を感じさせます。立野音思
入選 麦畑の麦の小さな葉たちが春疾風に緑のさざなみになる。みな子
入選 一徳斎・北村おさむ・彰
4点句 春昼の自動演奏駅ピアノ(雅風)
入選 「春の昼自動演奏駅ピアノ」であれば特選候補。珉汰
入選 最近の流行りでしょうか、よく見かけます。みさゑ
入選 光雲2・帰心
4点句 しやぼん玉爆ぜてもめごと治まりぬ(みさゑ)
入選 目が覚める、ですね。瞳人
入選 子どもの揉め事を納めたシャボン玉。梦月
入選 しゃぼん玉が飛んで割れるまでの短い間に始まって終わるような、子供同士のちょっとした喧嘩かな、と思いました。大人はこうも軽やかにはいきませんので。横井あらか
入選 北村おさむ
4点句 遠き日の吾見るごとし新社員(アイビー)
特選 雅風(コメントなし)
特選 門司侑里(コメントなし)
入選 はっと、そのころ、にわかに。瞳人
入選 一徳斎
4点句 春愁や金網越しの仁王像(龍野ひろし)
入選 春愁と仁王の取り合わせに味がある。アイビー
入選 光雲2・珉汰・順一
4点句 差し招く夫に声無き春の夢(百代)
特選 色々な思ひ出も寂しさも春だからこそ増幅されるのでせうか。彰
特選 もし俺が先なら、そういう夢、きっと見ておくれでないかえ、なあ、おまえ。瞳人
入選 あの世まで連れていかれないように!雄一郎
入選 すーちゃん
4点句 たゆたひて堰を一気に花いかだ(すーちゃん)
入選 まさに「筏らしい動き」を捉えられたのがいいなと思いました。百代
入選 静から動に変わる光景をうまく捉えています。立野音思
入選 花筏の動きが目に浮かぶ。荒 一葉
入選 花いかだが流れゆく様が目に浮かびます。神島六男
4点句 子の嘘に騙されてやる四月馬鹿(アイビー)
特選 思い遣りの優しさ、お子様の喜んでいる顔が浮かびます。みさゑ
入選 大きくなった子どもだと、ちと、苦み在りだな。瞳人
入選 龍野ひろし・門司侑里
3点句 冴返る空の青さや鳥の声(雄一郎)
入選 空がいつもより青く、鳥の声がいつもより響くと感じさせる。立野音思
入選 とても気持ちの良い句です。八千代
入選 空の青さと鳥の声しかない。鳥の声を聞くとより空の青さが深くなる。みな子
3点句 堤防を往き交う人へ桜東風(八千代)
入選 清がしい「景」が読み取れます。垣内孝雄
入選 春と桜の訪れが待ち遠しい堤防です。梦月
入選 帰心
3点句 古希近しランチの会の多き春(北村おさむ)
特選 深く納得。小生も先日中学校の同級生から、「七十になる今年、クラス会やろうよ」と言われたばかり。帰心
入選 元気なのは何よりですね。神島六男
入選 かめしち
3点句 母の背の童となりぬ春の雪(珉汰)
入選 一徳斎・てふてふ・順一
3点句 針山に妣の辛苦や昭和の日(佳楓)
特選 裸電球の下夜遅くまで針仕事をする昭和の母、自分のお袋を思い出しました。有り難うございます。じーんとくる句ですね。ケン
入選 「妣の辛苦」はまさに昭和。荒 一葉
入選 辛い時も喜びの時もあった時代だけど、昭和のお母さんは浮かれず子供たちを。彰
3点句 入学や少し長めの学生服(龍野ひろし)
入選 「読み」を楽しませてくれる句。垣内孝雄
入選 いいんです。伸び盛りですので、すぐ丁度よくなりますよ。みさゑ
入選 珉汰
3点句 花の塵をやはらかく掃く翁かな(帰心)
特選 「やはらかに掃く」に桜に対する静かな愛情を感じる。荒 一葉
特選 散り積もる桜の花びらを、優しく柔らかく掃いているおじいさん。絵になりますね。おばあさん、だったら又違う光景にならますよね、やはらかくの表現が良かったです。佳楓
特選 散った花へ哀惜の想いが溢れる。梦月
3点句 大阪はおばちゃんだらけ山笑う(神島六男)
特選 この山は大きな声で賑やかに笑っているのだろうなぁと思い、楽しくなりました。横井あらか
入選 それでええねん、気取ることなか。瞳人
入選 門司侑里
3点句 眦に早も茶目っ気四月馬鹿(帰心)
入選 冗談でもウソをつくのは難しい。ばれてる情景が微笑ましく捉えられていると思います。百代
入選 子どもの嘘はすぐ分かる。アイビー
入選 4月1日の嘘をつくときの様子が微笑ましい。みな子
3点句 春惜しむ蝶よお前も印象派(荒 一葉)
特選 ルノアールの絵を思い浮かべました。神島六男
入選 門司侑里・てふてふ
3点句 はくれんや風の意のまま錆きざす(みさゑ)
入選 龍野ひろし・帰心・ケン
3点句 命綱はかるお爺や海女の笛(佳楓)
入選 北村おさむ・雅風・ケン
2点句 今日の日はぼーつと生きて花曇り(彰)
入選 花曇りの日はぼーっとか、ぼーっとして気付けば花曇りか、どちらもいいですね。百代
入選 すーちゃん
2点句 バス停に見送る友や夕桜(垣内孝雄)
入選 立場は逆ながら、先日まさにこんな光景を体験して、心惹かれました。百代
入選 夕空に桜の花が融けあひ、充実感と寂寥感とを感じられたやうに思ふ。彰
2点句 花のいろ容(かたち)も空に融けにけり(彰)
入選 満開の桜、散りゆく桜、花の彩が空に融けるのは良くありますが、「容」迄空に融けるとは、詩情豊かな作者であられますね。特選に次ぐ秀句と思いました。佳楓
入選 光雲2
2点句 灰色の雨の降る日や枝垂梅(横井あらか)
特選 枝垂梅に降る雨が灰色に見える。枝垂梅の白さが映える。みな子
入選 すーちゃん
2点句 入学の子のランドセル背にあまり(加藤春海)
入選 可愛いピカピカの一年生。みさゑ
入選 雅風
2点句 腹八分老いには老いの朝寝かな(かめしち)
入選 腹八分が良かったですね。朝寝は実に気持ちの良いものです。主婦ともなりますと、老いても、朝寝がなかなか出来ません。佳楓
入選 私も3食後、うたた寝してます。雄一郎
2点句 花月夜とっておきなる大吟醸(北村おさむ)
特選 仲間と分け合ったのかもしれません。順一
入選 ういーっ、これがたのしみ、たれに、気兼ねも要らぬ。瞳人
2点句 菜の花や暮れゆく里を包みけり(立野音思)
入選 かめしち・てふてふ
2点句 春暁や柴又からの渡し船(梦月)
入選 立野音思・かめしち
1点句 草青む駅前カフェに井桁紋(すーちゃん)
入選 岐阜・関ヶ原の「伊吹庵」ではクッキーも井桁紋です。梦月
1点句 筑波嶺を越ゆ蒲公英(たんぽぽ)の絮飛行(光雲2)
入選 ケン
1点句 シャガールの空飛ぶ馬や春の暮(龍野ひろし)
入選 門司侑里
1点句 野火果てず消防ヘリの今日もまた(梦月)
入選 雄一郎
1点句 ノルマには千歩足りない春の土手(荒 一葉)
入選 暖かくなってきたので一日一万歩を志したが九千歩目で疲労困憊、今はここの景色を眺めて休憩中、さて帰るかもう少し頑張るか……という状況だと思いました。横井あらか
1点句 厳かなピアノの和音卒業歌(帰心)
入選 子ども達の緊張した顔と親御さんの感慨が伝わります。八千代
1点句 切り札は春の嵐ぞ大統領(ケン)
入選 今だから解るお句ですが、まさにトランプ大統領は、春の嵐を世界中に吹き荒してくれました。投資家さんたちはおもはぬ春の嵐に、引き摺り回されておられる事でしょう。佳楓
1点句 啓蟄や海援隊の歌まねて (珉汰)
入選 順一
1点句 カーナビを載せて何処まで花筏(かめしち)
入選 花筏にカーナビが搭載されているわけがなく、カーナビの搭載されている自動車の中からは花筏は見えにくいはずですが、何故か心惹かれる取り合わせだと思いました。横井あらか
1点句 老木の重き小枝や花の雨(ケン)
入選 かめしち
1点句 胎の子に囀り聞かす娘かな(雅風)
入選 帰心
1点句 佐保姫や酔つたあなたはなほ素敵(門司侑里)
特選 春を告げる女神を酔わす面白い句です。酔えばどうなるのか興味をそそられます。一徳斎
1点句 振り上げし拳の始末葱坊主(荒 一葉)
入選 拳の始末の「始末」を良く表現されたと思いました。子供同士の喧嘩でしょうか?振り上げた拳骨に、一瞬はっと、する迷い、の景でしょうか?上手いですね~。佳楓
1点句 禅寺のライブ公演亀鳴けり(一徳斎)
入選 順一
1点句 まなかひは花の社に丹の鳥居(垣内孝雄)
入選 辿り着いた目先に広がる光景に一瞬疲れも吹き飛んだのではないでしょうか。八千代
1点句 空き店の軒に行き交ふ燕かな(加藤春海)
特選 今年も「巣作り」、店は閉店、しみじみとした句。垣内孝雄
1点句 坪庭に日差し溢るる春迎ふ(雄一郎)
特選 「春迎ふ」の表現がいいなぁと思いました。百代
1点句 揺れながら吊り橋渡る桜東風(光雲2)
入選 龍野ひろし
〈俳句気まぐれエッセイ㊾ 土井善晴氏〉 今泉 かの子
食べ物のテレビ番組が多いなと思う。専門職としての料理人はもちろん、料理研究家も実に多い。最近は和田明日香さんをよく目にする。姑に当たるのが平野レミさんで、大胆とも思える発想や、豪快とも思える手さばきは、見ていて痛快でもある。小っさなことなんか気にしない、こぼれたって、少しぐらいはみ出たってかまわない、と安堵させてくれる。
個人的に好きな研究家は奥園さんや脇さん等多いが、テレビに程よく出演されて、和食界の重鎮とも思えるのは、やはり土井善晴氏である。父勝氏も、家庭料理の第一人者として有名だった。
若い人へ指南する際には、大さじ一杯を実際にその指に受けさせ、実感として覚えよといい、また、レシピ通りでなくてもそのさじ加減を実際に味見させそこで判断せよ、といわれる。料理は自由にやっていいと、思わぬものを味噌汁の具にしたりする。カマンベールチーズをトッピングしてみたり。また、まな板を使わず大根をささがきのように切って、そのまま鍋へ入れたりする。自由なのだ。
先だって善晴氏のドキュメンタリー番組(映画)を視聴する機会があった。「自宅に来客があった」というナレーションと共に登場したのは、なんと若き哲学者斎藤幸平氏。ご近所さんで、時折料理の手ほどきを受けているらしい。今回は「タルタルソースサラダ」を作りましょうとなった。大きなボウルにゆで卵や野菜を入れ、そこへマヨネーズを上から半分かけて、できあがり。斎藤氏が「このままで混ぜないんですか。」と尋ねると、「このままできれいでしょ。おいしそうでしょ。それを混ぜて、一緒にすることないんですよ。」とおっしゃる。さらにマルクス研究者に「平等でなくていいんですよ。小さい子もいれば、いろいろな人がいるから。それに、均一にしたら単純でつまらない。」
そのとき、私はいきなり亡くなった叔母のことを思い出した。叔母は私と違って料理上手。いつも焼いてくれたマドレーヌは絶品だった。その叔母とサンドイッチを一緒に作ったときのこと。辛子は全体に塗らないでところどころにチョンチョンと置けばいい。辛子バター等を全面に塗らなくても、ところどころに辛みがあった方がおいしいと言ったのだった。今にして思えば、マスタードでなく、練ってその容器を伏せて辛みを出す和からしだったからとも思う。が、その土井氏の言葉が、時を経て重なった。
生姜焼きでも、肉全体に均一に味がつかなくても、味の濃いところや薄いところがあっていい、と言われる。家庭料理のストライクゾーンは広い。がしかし、譲らぬものは厳然としてある。頼りになるのは、自分の指と舌なのだ。「一汁一菜」を提唱されつつ、自分の五感こそが軸になると、その言葉に深く納得する。
ワインお猪口にふきのたうディップかな かの子
第57回ウェブ句会(2025年3月募集)
★特選コメントは百字以内で必須、入選コメントは自由。
★作者名は( )内に記述
6点句 尼寺の詠歌流るる彼岸かな(加藤春海)
特選 季語彼岸の日と御詠歌が溶け合い女性達の春の日の法堂に凛とその声が響きます。とても味わい深い句と思いました。一徳斎
入選 光雲2・龍野ひろし・北村おさむ・雅風・順一
6点句 菫咲く猫の店主の花屋さん(かめしち)
特選 猫が店主とはユーモラスです。順一
特選 光雲2(コメントなし)
入選 花屋は比喩なのでしょうが、観賞用の菫が売られている実店舗、看板猫がまるで店主のよう、という解釈もできて面白いと思いました。横井あらか
入選 花屋の店長が猫なんて、良いね。みな子xx
入選 すーちゃん・彰
6点句 また一年また一年の桜かな(神島六男)
入選 みさゑ・荒 一葉・帰心・北村おさむ・珉汰・かめしち
5点句 「行基の湯」女ひとりにおぼろ月(百代)
入選 風情がありますね。垣内孝雄
入選 行基の湯は東府やの露天風呂かな?広くて気持ちいい露天風呂でした。女湯だったと思う。朧月が良いね。入れ替え制だったかも?みな子
入選 光雲2・荒 一葉・北村おさむ
5点句 春一番隣家の婆は地獄耳(アイビー)
入選 どこの町内にも、一人はおられますよね。季語の「春一番」が地獄耳にピッタリですね。滑稽俳句だったら間違い無く特選でしょうね。佳楓
入選 すーちゃん・帰心・一徳斎・ケン
4点句 この海は世界に通ず菜の花忌(アイビー)
入選 司馬遼太郎の忌に相応しい、海を見て世界を感じている。みな子
入選 一読して司馬遼太郎の世界観が広がる感じがしました。八千代
入選 ロマンがありますね。順一
入選 てふてふ
4点句 炒飯の仕上げに菜花サクと混ぜ(八千代)
特選 菜花をチャーハンの仕上げに入れるという、ねぎではなくて。季節は春ということだ。あっさりとしていていいかも。みな子
入選 時の野菜ですね なばなの辛し和えもおいしいですよ。加藤春海
入選 彩りもよく、美味しそう。神島六男
入選 帰心
3点句 風光るボーンチャイナの白と黒(帰心)
入選 句意が新鮮。垣内孝雄
入選 うらうらと晴れた春の明るい風に、黒い縁取りの白い陶器が光る。梦月
入選 食卓に並べられた食器に春の優しい日差し。今日は特別な日なんでしょうか、とっておきの食器のワクワク感が伝わってきました。八千代
3点句 水軍の海傾けて稽古海女(佳楓)
特選 かつて水軍が強さを誇った海、その海を今「傾けて」、見習い中の海女が潜っているという捉え方が、おもしろいと思いました。すーちゃん
入選 「瀬戸内海女」というパフォーマンスチームがあります。梦月
入選 龍野ひろし
3点句 春光を返し煌めく寺の鴟尾(龍野ひろし)
特選 春光にきらめく屋根の装飾に嘱目の一句。巧い!雅風
入選 東大寺大仏殿の鴟尾を想像します。梦月
入選 一徳斎
3点句 頭陀袋風に吹かるる夕遍路(光雲2)
入選 山頭火の歩く姿をイメージしました。八千代
入選 雅風・ケン
3点句 花詠むや我が人生を推敲す(北村おさむ)
特選 かめしち(コメントなし)
入選 俳句の推敲は凄く自分らしさが出ますよね。神島六男
入選 門司侑里
3点句 筋トレの足に纏わる余寒かな(珉汰)
入選 解ります。身体を鍛える為、長生きの為の筋トレ、とはいえ、
何となくうそ寒さを感じるものです。私も、一年前に、「肩鍵盤断裂」の手術をしまして、いまだに毎日のリハビリです。下五の「余寒」に同感です。佳楓
入選 みさゑ・ケン
3点句 鶯の「けきよ」の辺りが片想ひ(荒 一葉)
入選 へたっぴ鶯!へたっぴ鶯じゃないか!おまえ毎年どこかにいるよな!? 今年は婚活大丈夫なのか!? と鶯に声を掛けてやりたい気持ちになりました。横井あらか
入選 すーちゃん・彰
3点句 夢殿をけぶらす春の雨すだれ(雅風)
特選 美しい。百代
入選 細い雨滴のシトシトと降り続く斑鳩の里である。梦月
入選 みさゑ
2点句 のどけしや駐在さんの鉄アレイ(荒 一葉)
入選 駐在さんが勤務中に筋トレする暇があるほど平和なのでしょう。心が温かくなりました。横井あらか
入選 一徳斎
2点句 発ち際に湖へひと鳴き鳥雲に(雅風)
特選 ケン(コメントなし)
入選 湖は、琵琶湖でしょうか?別れを惜しんで飛び立つ様が目に浮かびました。「有り難う~元気でね~又来るわね~」佳楓
2点句 啓蟄の庭に黒猫顔を出す(みな子)
入選 てふてふ・彰
2点句 バス停の屋根にぼこぼこ春の雨(八千代)
入選 てふてふ・かめしち
2点句 汽水湖の香る湧き湯や鬼蜆(ケン)
入選 鬼蜆が大きくて美味しそうだ。みな子
入選 雅風
2点句 片手落ちは世の常なりや大石忌(佳楓)
入選 荒 一葉・順一
2点句 仕舞はるる雛人形の凛として(雄一郎)
入選 光雲2・てふてふ
2点句 パーカーの似合ふ校長うららけし(帰心)
入選 制服にパーカーを取り入れた学校があると知ったばかり。パーカーが似合う校長の春、いいですね〜。百代
入選 一徳斎
2点句 メモ帳に句を書き込めば風光る(順一)
入選 門司侑里・かめしち
2点句 問へば妻いま幸せと桃の酒(荒 一葉)
入選 羨ましい限りです。神島六男
入選 門司侑里
2点句 海おぼろ傾き戻る漁舟(みさゑ)
特選 龍野ひろし(コメントなし)
入選 情景から、思いが強く迫るようです。百代
2点句 君の手にふれることなき花見かな(ケン)
入選 龍野ひろし・かめしち
2点句 受験子に子持ち昆布の握り飯(百代)
入選 「好物」かな。垣内孝雄
入選 子持ち昆布は、鰊が昆布に卵を産み付けた昆布。昆布は、喜ぶ
ニシンの卵は、子孫繁栄。もうもう、合格間違い無しですね~。佳楓
2点句 梁へ緋の布を巻きつけ雛の家(すーちゃん)
特選 鮮やかな光景が目に浮かびます。神島六男
入選 散策途中に見かけた町屋に飾られた雛人形、私も何処かで見かけたような既視感を感じました。八千代
2点句 若冲の鶏冠の赤や春の雪(龍野ひろし)
入選 荒 一葉・ケン
2点句 薄雲の溶け落ちるごと春の雨(八千代)
特選 春の雨は悩ましいものです。彰
入選 すーちゃん
2点句 山笑ふ物干し竿にワンピース(垣内孝雄)
特選 物干し竿の春物のワンピース、なぜか笑える。梦月
入選 帰心
1点句 春の野へ「行ってくるね」とAIに(百代)
入選 スマートスピーカーだけが家族、と解釈すると寒々しいですが、行き先が春の野なので、軽やかにおひとりさま満喫中、と理解しました。横井あらか
1点句 ぶらんこや乗りし我が子の一人立ち(てふてふ)
入選 「一人立ち」が良いですね。垣内孝雄
1点句 遠山に上る日北に寄りて春(彰)
入選 言い切ったところに感じ入りました。百代
1点句 東風荒るる能古の白波おさまらず(一徳斎)
入選 光雲2
1点句 干からびたぜんまい戻し生あくび(門司侑里)
入選 彰
1点句 レッドコードに任すリハビリ春の昼(みさゑ)
入選 百代
1点句 春立ちぬ磁力微かにチバニアン(光雲2)
入選 門司侑里
1点句 春泥や獣のかほりするヌタ場(門司侑里)
特選 シンプルな景を詠んでいるが、山里に春が匂う。荒 一葉
1点句 幽玄の秘仏開眼や堂凍つる(一徳斎)
特選 門司侑里(コメントなし)
1点句 いささかに疎水はやむや山笑ふ(垣内孝雄)
特選 浅い春に少しずつ目覚めていく自然を感じます。八千代
1点句 山火事の苦難や神のお告げ雨(ケン)
特選 本当に今回の大船渡市の山林火災は、発生から八日間も、燃え続け雨か雪が欲しいと念じましたね、そこへ、本当に恵みの雨が、これこそが本当に「神のおつげあめ」ですね。今の今を良く詠まれましたね。佳楓
1点句 山笑ふ赤と緑の三輪車(垣内孝雄)
入選 珉汰
1点句 マジシャンのコインの消ゆる春の闇(龍野ひろし)
特選 季語を他の季節の闇に変えて読んでみて、春の闇が一番幻想的だと納得しました。横井あらか
1点句 春の宵浅く永くと蕎麦の友(逆瀬川)
入選 北村おさむ
1点句 春風やなでなで出来る猫カフェ(かめしち)
特選 猫好きにはたまりません。垣内孝雄
1点句 厄除けと賜る護符や春の雪(加藤春海)
入選 順一
1点句 消防に視られそば焼く花見会(雄一郎)
特選 上五中七の俳味に思わず笑ってしまった。帰心
1点句 清明の風あをあをと椰子の花(佳楓)
入選 雅風
1点句 三寒の松明赤し二月堂(神島六男)
特選 東大寺のお水取りでしょう。みさゑ
1点句 見世蔵の藍染のれん鐘朧(みさゑ)
入選 龍野ひろし
〈俳句気まぐれエッセイ㊽ 老いてこそ〉 今泉 かの子
以前、私の句友の一人、レイコさんから「この俳句、私には全然わからないけど、どういう句なんでしょう。」と丁重に尋ねられたことがあった。〈Zigeunerweisenぼくら鶏頭だった罰 知念ひなた〉これは昨年の俳句甲子園で出された沖縄の女子高校生の俳句。Zigeunerweisen(ツィゴイネルワイゼン)は、サラサーテの名曲としても知られるが、ドイツ語としての意味は「ロマ(移動民族)の旋律」ということらしい。
実は、TⅤで見て知ってはいたのだが、私自身もはてな?のまま、スルーしていた。5対2の判定で勝利した一句だ。審査員のお一人が「句の意味がわからないというだけで査定してはいけないのではないか、そこに詩のかけらがあるなら…」と話されていたのが、印象的だった。花の真紅の深さとともに、「鶏頭」の字面の強烈さ。重い十字架のような末語「罰」との不可解なつながり。そもそも「ぼくら鶏頭だった」と複数形、過去形でいわれても、抽象的で理解しかねるし。説明を拒否するがごとき言葉が並んでいる。
ぼんやりの猫に入れ知恵万愚節 かの子
が、しかし。レイコさんは御年九十三歳。私の齢をはるかに越えた方の、こちらに向かって投げかけられたこの疑問になんとか応えたい。応えられなくても、その気持ちに寄り添いたい、と思った。
全く個人的には、鈴木清順監督の映画「ツィゴイネルワイゼン」のイメージを想起した。生と死の境を超える荒唐無稽さや、極彩色の絢爛、耽美な世界。意味が分からないようでいて、断固確立した世界の美学を描いてキネマ旬報一位に輝いた。といってもそれは、句の作者が生まれてもいない昭和の時代の、単なる映画の題名つながり。俳句の説明にもならない。
二階より垂るる緋の紐春の暮 かの子
言葉の放つイメージを繋げつつ、結局うまく説明はできなかった。その魅力は個人の感性に依る処が大きく、私は俳句の許容量の豊かさとして受けとめているなぞと、しどろもどろに話したように思う。
いつの間に蚊帳の外なる日永かな かの子
そして、そんな解釈の難しさを越えて、私自身が強く受けとったのは、レイコさんのその姿勢である。私もこうでありたい。常に興味をもって、アンテナを高く張っている。また先般、レイコさんは、新たに歳時記を購入された。昔の歳時記に載っていない季語もあるから、と。学ぶ姿勢は人をいつまでも輝かせる。
先だって見たドラマの中で「若い人がやったら普通のことでも、年寄りがやれば素晴らしいと言われる。その資格がある。末期がんの身にあれば、その笑顔で人を勇気づけることができる。その役目がある」というくだりがあった。老いていくとできなくなることが多いが、それでも新しくできることも、まだまだあるのだ。
この「若竹」にも誇るべき白寿の濱嶋君江さんがいらっしゃる。毎月の守石荘句会では、庭や畑の花を手づから切って、主宰の前に活けてくださる。句もまこと若々しい。三月の句会では、〈蝶ひらひら母の好みのミニ花壇 君江〉さらに長寿といえば、百一歳で天寿を全うされた、生身魂の潮児師がいらっしゃる。
前を歩いていく多くの先達がいる。自分はその列の端にいつまで加わることができるだろうか。
第56回ウェブ句会(2025年2月募集)
★特選コメントは百字以内で必須、入選コメントは自由。
★作者名は( )内に記述
8点句 足るを知る日々の暮しや菜飯炊く(荒 一葉)
特選 ケン(コメントなし)
入選 幸せな人生の先輩。北村おさむ
入選 菜の彩と湯気が目に浮かびます。彰
入選 青菜の炊込みご飯と味噌汁・香の物があればじゅうぶん、これ以上言うこと無しだ。梦月
入選 年金生活の食への心情に共感。雅風
入選 菜飯炊くが良く効いていると思いました。「足るをしる日々の暮らし」 反省してこれよりの余生を過ごさねばと再認識させられました。佳楓
入選 光雲2・一徳斎
7点句 ラストランのドクターイエロー風光る(ケン)
特選 何度か見たことのあるドクターイエローは、本当に頼もしくすっきりとスマートでした。思わず写真を撮ったほど。ラストランの日のニュースでも見た、その姿は風光るの季語がよく合っていると思う。みな子
特選 光雲2
入選 「新幹線電気軌道総合試験車」というのが正式名称だそうだが、2025年1月29日引退。梦月
入選 句材と季語のコラボがいい。雅風
入選 ドクターイエローを出して時事性も取り入れた。燕太
入選 惜しまれて勇退したドクターイエロー、上手く詠まれたと私は思いました。「風光る」の下五、ドクターイエローを惜しみ、誉め讃えているのですよねぇ。佳楓
入選 すーちゃん
7点句 真っ新なノートに名前春を待つ(帰心)
入選 ノートに記名したのは、4月から小学校に上がるお子さんを持つ親御さんなのだろうな、と思いました。横井あらか
入選 入学か新学期か、わくわく感がよく出ていますね。神島六男
入選 新学期ですね。垣内孝雄
入選 この春に小学校に上がるお孫さんでしょうか。春が待たれます。燕太
入選 荒 一葉・百代・門司侑里
6点句 雪解水飛ばして回る水車かな(雅風)
入選 安曇野の大水車を思い出しました。飛ばしての表現が春が深まつていく様をよく見事に決めましたね。佳楓
入選 帰心・百代・八千代・燕太・ケン
5点句 枝先の日々のふくらみ春動く(加藤春海)
特選 春を感じている詠みぶりがいい。雅風
特選 龍野ひろし(コメントなし)
入選 春は、木々の枝先の芽の膨らみから動き出します。梦月
入選 「春動く」?──垣内孝雄
入選 みさゑ
5点句 風光るローランサンのパステル画(龍野ひろし)
特選 描写が美しいですね。垣内孝雄
特選 ローランサンの淡いパステルカラーを基調の絵画と季語のアンサンブルが素晴らしい。燕太
入選 絵画的感受性を誘因する光る風。順一
入選 荒 一葉・光雲2
4点句 でもいいいと妻の承諾梅ふふむ(垣内孝雄)
特選 ちょっと我慢、つつましき妻の承諾。あたたかさを感じます。彰
入選 はて、何ならんと思いつつ、笑み誘う、うれしいな。逆瀬川
入選 てふてふ・門司侑里
4点句 キャンデイの透けるセロハン春立てり(龍野ひろし)
特選 春の明るさがおしゃれな感じに伝わりました。すーちゃん
特選 カラフルなセロハンを透過して柔らかく色付く、早春の日の光がパッと脳裏に浮かびました。横井あらか
入選 セロハンの透けるのが、立春に合っている。みな子
入選 荒 一葉
4点句 穴馬のゴール手前や春の雷(ケン)
入選 そのままあ、の声、つい、雷に聞えるとう、大音声でした。逆瀬川
入選 まだ結果が出ていないところが憎いです。そのままゴールしたのかどうか気になる。神島六男
入選 春の雷がほどよい位置。珉汰
入選 穴馬の一着を讃えているかに思える春の雷である。雅風
4点句 挽きたての珈琲豆や空つ風(八千代)
入選 引き立てのコーヒー豆で淹れたコーヒーは格別だ。外に空っ風が吹いていても。みな子
入選 暖かな室内に満ちる珈琲豆の香ばしい匂いと、寒い屋外から聞こえてくる空風の音を連想しました。横井あらか
入選 挽き立てと空つ風の距離感。珉汰
入選 サイフォン、ドリップどちらかな。垣内孝雄
4点句 底石の見えてたばしる春の川(みさゑ)
入選 すーちゃん・光雲2・百代・てふてふ
4点句 寒明の砥石に光る刃先かな(龍野ひろし)
特選 寒明けは厳しかった寒さが過ぎ春を間近くに感じる情景が中七から下五に読まれいい句と思いました。一徳斎
特選 冷たくて美しい刃物が目に浮かびます。少し触れただけでも指先が切れそう。神島六男
入選 寒明けのまだ寒さの残る感じが砥石の刃先に感じられる。みな子
入選 研ぎ澄まされた刃の輝きは厳冬の方が冴えるのでは、と思いましたが、冬の間は手が冷たいから包丁研ぎをサボっていたのかも、と考えたところ、季語が腑に落ちました。横井あらか
4点句 引き払ふ娘の下宿春早し(帰心)
入選 龍野ひろし・てふてふ・門司侑里・彰
3点句 侘助や卒寿の父の声に艶(神島六男)
特選 お父様に対するお気持ちが伝わってきます。八千代
入選 帰心・龍野ひろし
3点句 甲斐はまだ春は名のみや龍太の忌(雅風)
特選 龍太の忌日は2月25日。甲斐はまだまだ寒いですね。みさゑ
入選 いかにも、さもありましょうね。逆瀬川
入選 彰
2点句 消防士二人残して野焼跡(梦月)
入選 素朴な風景が心に響く。北村おさむ
入選 帰心
2点句 ポタージュのまろき甘さや寒の明(荒 一葉)
入選 ポタージュの温かさ、甘さが寒の朝にはありがたい。みな子
入選 みさゑ
2点句 息白し聞いて聞いての止まぬ吾子(神島六男)
入選 甘えかかってくるお子さんの話を優しく受け止めるのだろう親御さんの温かさが、息が白くなるほどの寒さを打ち消しているように思いました。横井あらか
入選 龍野ひろし
2点句 妻を待つ坂のなかほど梅ひらく(みさゑ)
入選 おーい、咲いてるぞ、咲いてるぞ、早く来おおい、とつい。逆瀬川
入選 こんな風な穏やかな日常が何よりの幸せ、そんな気持ちにさせられました。八千代
2点句 還らざるものの声する涅槃西風(ねはんにし)(光雲2)
特選 若干つき過ぎかも知れないが、上五中七に詠み手の実感を感じる。珉汰
入選 すーちゃん
2点句 来るものは拒みたくなる余寒かな(かめしち)
入選 素朴な感覚ですが共感出来ました。順一
入選 ケン
2点句 手作りのミトンに朝の余寒あり(加藤春海)
入選 光雲2・一徳斎
2点句 蜜柑食ぶ時折指の爪を見て(帰心)
入選 私には若い女性のネールアートが見えた。北村おさむ
入選 のんびり食べている景が思い浮かびます。順一
2点句 探梅や納経帖へひとひらが(門司侑里)
特選 「ひとひら」にお経の魂が乗り移っているような気がしました。順一
入選 八千代
2点句 鋤焼きや男料理にレシピなく(燕太)
入選 「鋤焼きは俺の出番」得意気に采配をふるうお父さんの姿が目に見えます=(^.^)=八千代
入選 龍野ひろし
2点句 野遊びの果ては米軍無線基地(佳楓)
入選 すーちゃん・ケン
2点句 トランクに荷物と夢を春の朝(神島六男)
入選 応援したくなる。北村おさむ
入選 彰
2点句 約束を違えず咲きし水仙花(彰)
入選 我が家の水仙は荒地にありますが春のおとずれを一早く知らせてくれました。加藤春海
入選 てふてふ
1点句 気を発す小兵の手あり初相撲(すーちゃん)
入選 舞の海関の奇策、猫だましを思い出しました。神島六男
1点句 榛名湖の魚氷(うをひ)に上る天を突き(光雲2)
入選 ケン
1点句 億年の若き地球よ初日の出(北村おさむ)
入選 スケールの大きな句ですね。初日の出で地球側に目がいくのが凄い。神島六男
1点句 山茶花の散りて朱塗の小庭かな(北村おさむ)
入選 一徳斎
1点句 立春や狭庭に昨夜の豆残る (燕太)
入選 一戸建ての小さな庭の、豆打ちの明くる日の風景、一見何ともない景に思はれますが、作者の優しさと句ごころが、読みとれました。庭の無いマンション暮らしの憧れの一句です。佳楓
1点句 チンドンの鉦くすぐるや寒明くる(すーちゃん)
入選 『チンチン・ドンドン・チンドンドン』が先か、寒の明けが先か。梦月
1点句 野焼き勢子土の彩かへ風叩く(佳楓)
特選 御句の「野焼き」に、子どもの頃に見た当地の「野焼き」などとは全く違う迫力を感じ、調べてみて初めて特別なものと知りました。百代
1点句 禅苑はなべて老樹の冬深し(一徳斎)
入選 百代
1点句 恵方巻予約受付春隣(横井あらか)
入選 良くまとめられましたね。垣内孝雄
1点句 むづかりて泣く子食べる子春あられ(すーちゃん)
特選 春のあられ餅を前にして、子どもの生態のいろいろが見える。梦月
1点句 薔薇(さうび)の芽(め)色やはらかに伸びにけり(梦月)
特選 中七の「色やはらかに」の措辞がいかにも春らしい。荒 一葉
1点句 犬好きの父の命日小春空(垣内孝雄)
入選 帰心
1点句 ぐびぐびと喉通る酒蕗の味噌(荒 一葉)
特選 ぐびぐびの表現がとても良かったですね。付け合わせの蕗の味噌に、春を感じさせられました。佳楓
1点句 万馬券ふれぬがままに去年今年(ケン)
入選 門司侑里
1点句 大笑ひだけで元気に風邪心地(八千代)
特選 病は気からを地でいくところに好感を覚えました。門司侑里
1点句 落第を唸る寝汗やこの時分(逆瀬川)
入選 一徳斎
1点句 この宙の穢れ包むや牡丹雪(光雲2)
入選 雅風
1点句 立春や背戸にこぼるる昨夜の豆(加藤春海)
入選 荒 一葉
1点句 遠巻きにあまた青き目どんど焼き(北村おさむ)
入選 日本の文化に興味を持ったのでしょう。順一
1点句 ファックスのづづと紙吐き日脚伸ぶ(燕太)
特選 「づづ」というオノマトペが、聴覚を刺激する。「日脚伸ぶ」の季語の斡旋から、このファックスは2、3枚送られてきたのではないか、と想像が広がる。「吐き」という措辞も的確。帰心
〈俳句気まぐれエッセイ㊼ 猫の話⑥〉 今泉 かの子
ネコノミクス。この造語は、猫関連の商品やサービスが生み出す経済効果のことを言うのだそうだ。今年は二兆九千億円を超えるという。お犬様を差し置いて、お猫様のこの金額には、たまげる。
奥三河には、この冬も結構な寒波が押し寄せた。山の家周辺の外飼いの猫たちは、しっかりとした冬毛で、凍える夜の寒さをしのぐ。我が家の猫オリーブは、家の中で炬燵にもぐるか、薪ストーブ前の一番いい場所におさまる。甘ちゃんなのである。
オリーブには、実は兄弟分のトラがいる。もともと母猫が交通事故に遭い、産まれたばかりの子猫数匹が残された。その内の一匹が近所の家に貰われたトラ、最後の一匹が我が家のオリーブ。トラは気安く人に近づいたり、足の上に頭を乗せてみたり、人懐っこい。
そのトラが家の敷地内へやってきた。人によくなつき、かわいい猫でも、猫同士となれば、また話は別である。オリーブの縄張りを脅かしにきたのだ。唸り声や威嚇するような態勢にオリーブはひるんだようだったが、夫が現れると、負けじと向かう姿勢を見せたという。後ろ盾があると立ち向かえる、臆病な猫。その後、何度か睨み合いやら、わめき合うバトルがあったらしい。それは、本能のなせる業。オス同士の縄張り争い。致し方ない。
ところが、トラは、だんだん元気がなくなり、なにか病気になったようだった。そのうち、今度はオリーブがトラの家の敷地へ行くようになった。石段の所でトラが出てくるのを待ち構えている姿が何度も目撃された。驚くことに、トラをいじめているらしい。そして追いかけ回したり、なんやかやの挙句、なんとトラは、外へ出て来なくなり、引きこもってしまったという。どこで暴れているのか、オリーブは顔に傷を作って来るようになり、顔役のような貫禄も出てきた。
さらに、家の中でも事が起こっていた。あるとき、トラの飼い主が居間でご飯を食べていたら、すっと襖が開いて、顔を出したのは、なんとネコ。襖を開けたのは、人間ではなく、オリーブだった!よそ様の家に勝手に上がり込んで、しかも二階まで行っていたらしい。
うちの箱入り息子が、いつの間にか近所で噂の与太ものになってしまった。トラの飼い主から「もともと兄弟だで」と言ってもらえて、今では笑い話になったが、さぞかし肝を潰されたことと思う。申し訳ないっ。現在トラもそれなりに復活し、元気になっている。両者は、ほどよい距離感を保っているようだ。
春の雪よけて軒下たどる猫 かの子
第55回ウェブ句会(2025年1月募集)
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11点句 古傷に生傷重ね喧嘩独楽(佳楓)
特選 喧嘩独楽ならではの傷に焦点を当て、かつての古傷から今の生傷まで、17音に上手くまとめられている。また調べも滑らか。すーちゃん
特選 気を持たせ、最後にひっくり返すところが巧者ぶり。燕太
特選 ベーゴマでしょうか。随分昔に遊んだことがあります。下手くそで負けてばかりでした。神島六男
特選 最後にある「独楽」の二文字で、それまでの印象が綺麗に裏切られる気持ちよさがあると思いました。横井あらか
特選 いいですね。昭和の長屋が懐かしいですね。ケン
特選 龍野ひろし(コメントなし)
入選 独楽の傷を見つめる目が、生身の傷を見ているようで、心を捉えられました。百代
入選 共感できる人生句。北村おさむ
入選 荒 一葉・光雲2・みさゑ
11点句 好きといふ想ひ丸めて雪つぶて(荒 一葉)
特選 昔日の思い出。垣内孝雄
入選 冷たい雪礫に、熱い想いを込めて優しく投げる。梦月
入選 実った恋か実らぬ恋か…。北村おさむ
入選 男女の機微の曰く言い難いところ。燕太
入選 こんな愛情表現ができる感性が羨ましいと思いました。八千代
入選 こういう冬が私にもあれば!雄一郎
入選 雪合戦にて敢えて好きな女の子を狙う男の子を連想しました。横井あらか
入選 昔は雪もやう降り、かういふ胸キュンなことありけり。彰
入選 帰心・龍野ひろし・雅風
5点句 風花の地へは届かぬ命かな(雅風)
特選 中七で雪の命の儚さを見事に詠まれた佳句。帰心
入選 風花の儚さ美しさがよく現れていると思います。神島六男
入選 風花は天からの便りとのこと。中七の「地へは届かぬ」の表現に、成る程と思うと同時にいろいろと考えさせられました。佳楓
入選 北村おさむ・てふてふ
5点句 篝火の燃えさし匂ふ初詣(帰心)
入選 新年の明るさの中に旧年「大晦日」の残り香を嗅ぎとる感覚が鋭いと思いました。横井あらか
入選 みさゑ・雄一郎・彰・かめしち
4点句 見せ合ふて一緒に結ぶ初神籤(八千代)
入選 重ねて結ぶだけで、立春大吉です。梦月
入選 初々しい雰囲気がよい。音便形だから「見せ合ううて」とすべきでは。燕太
入選 合ふては文法的には合うてだと思います。雅風
入選 帰心
3点句 どんどの穂伊吹颪に猛くるかな(佳楓)
入選 勢いのある句だと思いました。八千代
入選 荒 一葉・龍野ひろし
3点句 虚子詠の棒をまたぐや去年今年(雅風)
入選 その手があったか。燕太
入選 虚子の有名句を大胆にオマージュした勇気に一票!神島六男
入選 「つらぬくぼうのごときもの」と言うフレーズが思い浮かびました。高浜虚子大先生に学ぼうとする姿勢が好もしいと思いました。順一
3点句 武士真似て味噌を肴に寒造(神島六男)
特選 上杉謙信などを思い出しますが他に例があるのかもしれません。この句から感じられるユーモアがいいと思いました。矢張り「真似て」ですね。ふとした思い付き何気ない思い付きを実践してみる、そこにある作者の主体性。順一
入選 江戸期の御家人や浪人は焼みそを肴に一杯やっていたようですね。貧しい中にも酒だけは止められない思いが伝わり私も真似てみたくなりました。一徳斎
入選 鎌倉武士を気取りつつもほくほくと酒をあおる呑兵衛の姿を連想しました。横井あらか
3点句 賽の目や昭和を遊ぶ絵双六(かめしち)
入選 躍動的でいいですね。北村おさむ
入選 最近は、絵双六も歌留多もしなくなってきました。中七の(昭和を遊ぶ)が懐かしかったですねぇ。佳楓
入選 光雲2
3点句 寒の入り顎までつかる湯舟かな(北村おさむ)
入選 下五を野天湯か露天湯にすれば寒の入りの季語がより生きると思いました。一徳斎
入選 荒 一葉・かめしち
3点句 田起こしの土輝ける四日かな(帰心)
特選 みさゑ(コメントなし)
入選 荒 一葉・てふてふ
3点句 淋しさをいふは易しと冬の蝶(八千代)
特選 淋しさを口にするは容易なれど、生きるに必死の冬の蝶に感動するものあり。荒 一葉
入選 すーちゃん・かめしち
3点句 祖師堂へ上がるきざはし初参り(梦月)
特選 リズムよく句の建て方が巧いです。雅風
入選 一徳斎・ 順一
3点句 福助の月代(さかやき)青きお元日(燕太)
入選 「月代」の選び。垣内孝雄
入選 光雲2・龍野ひろし
3点句 寒鰈片目を閉じてさばき待つ(門司侑里)
特選 光雲2(コメントなし)
入選 覚悟を決めたかのような魚。「さばき」と言う言い方に、何か人間の業のようなものを含ませたのかもしれません。順一
入選 帰心
2点句 松の内踏切待ちが長くなる(順一)
入選 実感を思う。垣内孝雄
入選 門司侑里
2点句 着ぶくれもモードのひとつ老いてなほ(みさゑ)
特選 年寄は風邪でも大事になるので、厚着しがちです。着膨れても、見栄えを大切にするのは、流石と思いました。雄一郎
入選 門司侑里
2点句 延命地蔵拝してよりのふぐと汁(佳楓)
入選 河豚は食いたし、命は惜しい。燕太
入選 八千代
2点句 おみくじに吉き事ありと福寿草(加藤春海)
特選 かめしち(コメントなし)
入選 今年一年良い年に、そんな想いがつたわります。八千代
2点句 爺ちやんの脊なの丸みや掘炬燵(みさゑ)
特選 雪に埋もれた過疎の村の家、昭和の時代の風景を思い起こせる味のあるいい句です。一徳斎
入選 龍野ひろし
2点句 冬の夜やパンタグラフに火花飛ぶ(龍野ひろし)
入選 静電気を溜めやすい体質で、すぐにパチパチしてしまいます。パンタグラフの火花も人事ではない気がして。神島六男
入選 雅風
2点句 祖母と歩すいつもの径の小春かな(一徳斎)
入選 「いつもの道」に小春を。垣内孝雄
入選 帰心
2点句 フェリーゆく壱岐水道の北風粗し(一徳斎)
入選 長崎県の東松浦半島と佐賀県壱岐市に挟まれた海域。朝鮮、中国方面への交通の要地、で壱岐海峡、壱岐水道と呼ばれ、壱岐水軍や、村山水軍等がかって活躍した、との事。季語の「北風粗し」がぴったりです。佳楓
入選 すーちゃん
2点句 元日の低き日差しや古畳(彰)
特選 穏やかに新年を迎えた様子が伝わりました。特に中七の「低き日差し」の表現が心に残りました。八千代
入選 「古き畳」の醸し出す世界。垣内孝雄
2点句 無精髭今日で三日目寝正月(荒 一葉)
入選 門司侑里・ケン
2点句 大年の酒の二号と焼ししやも(垣内孝雄)
特選 始め、「二号」を「二合」と読み替えて、諦めや寂しさに潔さみたいなものがいいなと。しかし、元の「二号」で読み直すと、粋がった開き直りに昭和的な滑稽味がまたいいなあと思いました。百代
特選 門司侑里(コメントなし)
2点句 廻れ独楽舞ふ風となれ渦となれ(荒 一葉)
入選 独楽の起こす小さな風が、風を呼び渦となる。梦月
入選 すーちゃん
2点句 タスキ継ぎ箱根路駆ける二日かな(加藤春海)
入選 東京箱根間往復大学駅伝競走、1月2日は往路を21チームが駆け抜けました。梦月
入選 雅風
1点句 シュレッダー脇に終活事始め(百代)
特選 仕事始めにあらず、終活始めです。体力・気力の十分な65歳頃から始めるのが良いようです。梦月
1点句 炊立ての飯に新海苔黒光る(龍野ひろし)
特選 わが家は産地に近く、味付海苔でなく板海苔の片面を焙りハサミで切り分け醤油つけぬ方で飯をつつむやうに。さういえば家のは紫や緑に透け、麦飯なわけで。彰
1点句 配られ紙紙一枚の飾り松(加藤春海)
入選 てふてふ
1点句 忍法の甲賀も伊賀も山眠る(燕太)
入選 光雲2
1点句 終電や凍ゆ月夜も手も足も(横井あらか)
入選 一徳斎
1点句 右斜め十度うつむく水仙花(光雲2)
入選 てふてふ
1点句 加賀しぐれ米のあまさの飴を買ふ(すーちゃん)
入選 日本海側の城下町の冬の情景が目に浮かびます。百代
1点句 賀状来る琵琶湖移住の顔写真(かめしち)
入選 ケン
1点句 尻皮の考の匂ひや虎落笛(ケン)
特選 「尻皮」とは、山仕事をする者が、尻敷用として腰に下げている敷皮。裏庭か土間に干してあったのでしょうか、それに触れてみると亡きお父様の匂いがした。虎落笛の季語が良く効いて、秀句と思いました。佳楓
1点句 東京に幅を利かすやはば雑煮(ケン)
入選 「はば雑煮」調べました。千葉県の郷土料理で、ハバ海苔を使った雑煮で、一年中はばを効かすことが出来るので、有名との事です。何故、東京なのか、東京と千葉県は昔から仲が悪いとのこと。佳楓
1点句 列車待つ凍てしむ風を身に受けて(一徳斎)
入選 ケン
1点句 あれあれと言ふ間に三日過ぎにけり(百代)
入選 みさゑ
1点句 着膨れて泣く子の手にはりんご飴(八千代)
入選 ケン
1点句 人の世に何ぞありとて除夜の鐘(てふてふ)
入選 かめしち
1点句 立冬や無言の母のひとりごと(北村おさむ)
入選 彰
1点句 リュックには蜜柑キティのお弁当(神島六男)
入選 キティは猫の事かと思いました。猫と行く旅行か登山か分かりませんが、道行きは愉快なものであるに違いありません。順一
1点句 徒歩ナビを手に訪るる年賀かな(雄一郎)
入選 すーちゃん
1点句 雪月夜赤湯温泉野天風呂(梦月)
入選 彰
1点句 駅を出て途絶ゆる家並み冬銀河(梦月)
入選 門司侑里
〈俳句気まぐれエッセイ㊻ スター〉 今泉 かの子
近頃よく聞く「推し」という言葉。私にも、推しといえるほど積極的ではないが、好ましい思いで見てしまう方がいる。角界に梨園にKポップ界にあちこちに。その中でも学術的分野のスターが、斎藤幸平氏(三十七歳)である。
斎藤氏を知ったのは、『人新世(ひとしんせい)の「資本論」』が新書大賞となり、ベストセラーとなった時分から。つい四、五年前である。マルクス研究の最高峰「ドイッチャー記念賞」を世界最年少、日本人初の三十一歳で受賞。注目されてこなかった手書きのノートを丹念に読み解き、環境問題に警鐘を鳴らすマルクスの新しい一面を掘り起こした。若い彼には「マルクス」に対する色のついたフィルターはなかったようだ。高校時代の斎藤氏は、パンクロックに夢中。その後東大に三か月在籍し米国へ、さらにドイツで哲学を研究された。現在は、再びドイツで家族四人で生活されている。
実際に氏にお目にかかれたのは、三年ほど前。「親鸞とマルクス」と題された対談で、名古屋の東別院においでになったのだ。僧衣をまとった研究者と一時間ほど対談され休憩に。その際、サインを貰っている人が一人いた!チャンスとばかり早速私も、持っていた本をお渡しした。ほかに私のようなミーハーはおらず、名前なぞ尋ねられて、しばらくの間、言葉を交わした、否、言葉をかけて頂いた。何をどう言われたのか覚えていないが、左利きの手つきや私に向けられた笑顔の「尊い(最上級の賛辞)」こと、尊かったことは覚えている。年甲斐もなく、ちょっと舞い上がっていたのかと思う。
がしかし。「今泉サマ SⅮGsはアヘン!斎藤幸平」開いた本に書かれていたのは、衝撃的なこの言葉。どうとらえていいのか、初めは理解に苦しんだ。氏の著書によれば、SⅮGs(持続可能な開発目標)が免罪符となって、温暖化対策をしていると思い込み、真に必要な行動を起こさなくなってしまう、ということらしい。ふーむ、そういわれても…。この資本主義の大きな構造の中で、途方もない気持ちになってしまう。と、そこを踏まえてさらに氏は、奮起を迫り、三・五%の底力を提示する。(詳細はまたの機会に)
斎藤氏がすばらしいのは、単に理論だけでなくそこに実践を伴っているところ。時にウーバーイーツの配達をし、時に鹿の解体に立ち会う。欧州に比べ、減る一方の日本の都市の樹冠被覆率(土地の面積に対し、樹冠(枝や葉が茂っている部分)が占める割合)を憂いつつ、思索しながらも呼びかけ、行動し、挑戦を続けている。言葉を拠りどころとしながら、言葉だけではないスターなのである。
君の持つペン先はるか冬の星 かの子